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「志村けんになった」の災難。

5、6年ぶりに証明写真機で証明写真を撮った。

みなさんもよほどのことがない限り、なかなか証明写真機を使う機会もないだろう。

ネットで「証明写真機」と検索をしてみると、今は”美肌に撮れる機能””目元がパッチリ撮れる機能”、さらには”背景の色まで変えられる機能”があったりと、実に様々な機能がありとても充実しているようであった。

そんな中、「男前に撮れる」という夢の機能を搭載した証明写真機を発見してしまったのだ。

肥溜めに浸かってるような顔面、床にこぼした牛乳を拭いて一週間生乾きさせたボロ雑巾顔面でお馴染みの私にとっては、これはまさに画期的な機能である。
思うに、この機能を使えばいくら肥溜め牛乳生乾きボロ雑巾顔面とは言えど、フットボールアワーの岩尾くらいにはなるだろう。

しかも設置場所を調べると幸いにも、近所にその機能を持った証明写真機が置かれているようだったので、すぐさま撮りに行くことにした。

ありがたいことに証明写真機はすぐに見つかり、確かに「男前」という文字が機体に書いてある。

これに間違いない。
中に入り撮影機の前のイスに座ると、深く深く深呼吸をした。

「おそらく長年使う写真のようなので、自らが満足できるような素敵な写真にしよう」

そう心に誓い、撮影に挑んだ。

今の時代、プリクラだってもはや別人になるレベル。
もっと言えば、AIによってイラストや文章が自動で生成される時代だ。
きっと証明写真だって、AIやら何やらで上手いことやってくれるに違いない。

しかし、現実というのはいつも残酷なものである。

出来上がった写真を見ると顔のバランスに不可思議な補正が入り、まるで”だっふんだ”をしているような顔になっているではないか。

「これは志村けんの変なおじさんだ!」

補正で肌が白っぽくなることにより髭がより強調され、変なおじさん感がとても強くなってしまっていることも原因だろう。
しかし、人はここまで”だっふんだ”するものなのだろうか?

もしや、私はてっきり「男前機能」が搭載された証明写真機で撮ったつもりだったが、勘違いで「志村機能」が搭載された証明写真機で撮ってしまったのかもしれない。
そうじゃないと到底、納得することができない志村感だ。

その後も3回という限られた撮影チャンスもむなしく、どれも”だっふんだ”だった。

これはまさに、”私+証明写真機の男前機能=志村けんの変なおじさん”という公式が成り立った瞬間であった。

もう撮り直しもきかないため、私はこの”だっふんだ”写真を握りしめ、涙ながらに帰路についたのだった・・。

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