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「AI時代の子どもたちに必要な教育とは?"Most Likely To Succeed" 上映会& ダイアローグ」イベントレポート

先日「AI時代の子どもたちに必要な教育とは?"Most Likely To Succeed" 上映会& ダイアローグ」というイベントに参加してきましたので、その模様をレポートします。日にちは6月23日、場所はNagatacho GRID、主催はGRID CINEMA/Brightening The Future。(以下画像は主催者FBより)

今回のイベントが特徴的なのは、映画の舞台であるHigh Tech High留学経験者と、小学校でProject Based Learningを実践している先生が登壇し、ダイアローグが行われた点。このnoteでは映画の部分は割愛し、登壇者のトークや来場者とのやりとりで印象的だったお話をご紹介します。なお私個人の印象に残ったものを私なりに解釈したものなのでその点ご容赦ください。

ダイアローグのお題は「AIで半数の仕事が自動化されるリスクが高い時代 子どもたちに必要な教育とは?」です。

HTH留学経験者 岡佑夏さんのお話から

岡さんは高校生の時に交換留学をし、その留学先がたまたまHTHだったとか。1年間をHTHで過ごした経験から話してくださいました。

一斉授業ではなくグループワークが中心。良くも悪くもグループで一緒になるメンバーに左右されるところがある。そのため、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルが高められる。そして成功体験と失敗体験を無数に積み重ねることになる。期末の発表会とプレゼンに向け、どんなアウトプットをするかを考えながら活動するため、自ずと学習意欲が高まる。

HTH卒業生たちの評価としては「大学受験だけを考えるならベストではない。だけど、私たちは生きていくために必要な力を身に付けた。」

HTHの経験で、自分を表現したり主張できるようになった。日本に帰ってきて画一的で息苦しかった。

留学経験者の生の声が聞けたのは貴重な機会ではないでしょうか。映画でもHTHに対して慎重な姿勢を残しますが、岡さんの同級生たちの高校卒業後、そして社会人の今はどうかという点についても、大学の卒業率は他と比べて高く、魅力的な仕事や生き方をしている、ということでした。

都内の小学校でPBLを実践する山下徹さんのお話から

初めてお話を聞きましたが、とにかく情熱的でガンガン実践をなさっている山下さん。山下さんご自身がすっごく勉強されて行動に移している様子がうかがえました。その実践の経験から「AI時代の子どもたちに必要な学びとは?」について惜しみなくシェアしていただきました。

最も重要なのは「自律した学び手を育てる」ことだと言います。
そしてそのために必要なのは次のようなこと。

・PBLを通じた良質な経験と、良質なリフレクション
・教科横断的な学び
・中心概念をつかむ
・探求のサイクル
・積極的に社会に関わろうとする態度を育成すること
・学習の出口を社会につなげること

そして先生の仕事の質も変わっていくといいます。大切なのは、環境をどう整えるか。これは映画のなかにも出てきました。「教育は工業的なものでなく農業のようなもの。生き物が育つための環境を整えること」だと。

モンテッソーリ教育に精通する木村智浩さんのお話から

お子さんをモンテッソーリなどに通わせていらして、Gaiaxで人事をされているという木村さん。そのお仕事からしてもユニークなお考えなんだろうと思いましたが、ものすごく新鮮な情報の嵐でした。子どもたちに必要な教育とは? かいつまんで紹介します。

・「教育の最大の秘訣は、教育しないことにある」by エレン・ケイ
・まずは子どもを幸せにしよう
・自己決定すること→幸福度を上げる
・強みを理解し、フォーカスすることで 生産性↑ 離職率↓
・グロースマインドセットを持とう
・これまでの学習はHOWばかり
・WHAT WHY が重要
・自律的な学び手になるには→自分の感情、自分の大切なものに意識を向ける

つまり、方法論の前にマインドセットだよねということ。「幸せなときの学び」は、そうでないときより圧倒的に優れているという話は驚きでしたが、たしかにそうかもしれません。

来場者とのダイアローグから

後半は来場者との質疑応答。話の内容は主に、そうはいっても変えにくい現状をどう変えられるだろうか?という現場のリアルな悩みでしたが、いくつか処方箋が示されました。

Q)何かを変えたい先生が周りの先生を仲間にするには?
A)話すしかない 熱意をもって話すしかない 切に説いていかないといけない

Q)日本でも総合的な学習の時間があってPBLなどはやればできる。日本には前年踏襲、横並び、などよろしくない風習があるが、それだけが理由ではない気がする。それは何か?
A)社会がまだそれを望んでいないから。成熟した社会にならないと学校が本気にならない。

学校の改革において、実は保護者がボトルネック。親が民主的な組織にいれば子供も民主的になる。

HTHの魅力は、先生が楽しんでいること。先生同士が尊敬しあっていること。

「教育が変わらないのは、社会がまだそれを望んでいないから」「教育の改革のボトルネックは実は保護者」。たしかに…。身につまされる思いがいたしました。そしてますます、教育のあり方を考え対話する場を増やしていきたいと切に思いました。

主催のBrightening The Futureでは7月中に再度、都内そして横浜でも上映会参加者募集中、残席わずかのようですので、お見逃しなく。

新しい学びを知り、共に考える祭典

「新しい学びを知り、共に考える祭典」を副題にした、新しい教育を共創する一大イベントがこの夏行われます。
https://learnx.jp/

各方面の最前線で活躍する方々が集い、先生、行政、企業、NPO、保護者、子どもたち、も参加し、新しい教育を起こすムーブメントになりそうな予感です。

現在ボランティアも募集中で私も参加予定です。興味ある方は今のうちにぜひ!  Learn by Creationオフィシャル Webサイト

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