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永劫児童と花海棠


ろ 出逢う迄


愚者と花海棠が出逢う迄、両者にどの様な物事があったか。

愚者は素より、花花には疎く、匂いを嗅いでは楽しんで、咲いてる姿を讃えていた。

手折って、自室に飾ろうとする氣も起きず、ましてや、所有して育てる事など想いもせぬ、そんな風に生きて来た。

花海棠は珍しく、自身の過去を男に告げた。

それが何故かは自らも知らず。

如何してかはわからないが、話したい、話さずにはいられない、そう感じたのだ。

彼女は今まで、様様な人人のもとで世話されてたが、それはいつも最初のことで、大概いつも水も与えられず、放っとかれた過去を話した。

男は彼女に共感しつつ
「でも、彼らを恨まないで、彼らの幸せを祈ってあげて」
と告げた。

そして、彼女は言うか如何か迷ったが、自分には所有者がいる事も告げた。

男は最初から、その事を予想していた。

だから、彼女に手折ってくれと頼まれた時にも躊躇した。

だが、その可憐さ・寂しさに切なさを感じ、想わず、花瓶に連れ帰ったのだ。

男は地面に植え直して元気になった彼女に毎日、話し掛けにきたが、やがて、その可憐な花は何も答えず、匂いも発さなくなった。

何度話しかけても応じない彼女に寂しさを感じ、男は他の美しい花花に語りかけ、談笑し合ったりした。

それを横目で眺め、彼女は何を感じてるのか……

だが、彼女はいつも平静を装い、いつもその様子を見ていた。

男は男で、花海棠が、何故、急に黙りこくっているのかもわからず、何も出来ず、また、再び、親しく交流出来る時間を待ち続けている。

そして、その数年の時の経過の中、彼女からの精一杯の彼への告白は
「楽しい気分、幸せな新しいことがもたらした、楽しい夢の不思議が新たな夢をもたらした、心の欲望にもっと空気を与えてください今年はあなたにとって新しい年です。
あけましておめでとう」
という、とても暑い異国の言葉によるものだった。

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