![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/96559207/rectangle_large_type_2_4b82237d455442d8597c7dc4804aa378.jpeg?width=800)
焼きおにぎり
だし汁をとっては注ぎ、
だし汁をとっては注いで
140年あまり。
京都でいちばん古い、明治の初年創業の
おでん屋「蛸長」。
四条・南座の裏手から近い。
「蛸長」と染め抜かれたのれんをくぐり、
10席ほどのカウンターに落ちつけば、
銅鍋からだし汁の湯気が
立ちあがっている。
九条ねぎの刻みをたっぷり添えた
だし汁にひたし、うすく重ねた生湯葉。
とろりと柔らかい。
京にいる幸せを思う。
![](https://assets.st-note.com/img/1674890725382-2dHvjKNrfc.jpg?width=800)
旬の種もわくわくする。
春は、朝堀りの筍。夏、加茂茄子。
秋から冬、聖護院大根、海老いも、越前蟹。
残念ながら松茸と一度も
ご対面したことがない。
だが、店の名にあるとおり、
明石の蛸を頼まぬならば、
店の敷居をまたぐべからず。
絶品。
わが輩の固くなった頭も
名物の蛸を食すれば
柔らかくなる。
お品書きに裏種とある。
裏街道の種!?
その日の裏街道の正体は、
阿蘇赤牛のローストビーフ。
お彼岸のころは、
あんころ餅も登場とか。
おでん屋のデザート。
![](https://assets.st-note.com/img/1674890769771-Rx6Z7Ulgzf.jpg?width=800)
旧と新が混じりあい、ウイットに富んだ
主の心意気が伝わってくる。
四代目の河合達也さん語るに、
初代からおでん一筋で、
家訓は、おでん以外のものに
手を出すな、と。
蛸長の〆には、
いつも蛸飯の焼きおにぎり。
おにぎりにだし汁をたっぷりかけ、
崩しながらお茶漬けをあじわう。
![](https://assets.st-note.com/img/1674890809789-2uiGPoBNax.jpg?width=800)
京の旅は
蛸長からはじまる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?