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ワイン小咄

ブルゴーニュの銘酒街道の一角。

十字架の列が目にとびこんできた、村人の墓。
まわりのぶどう畑では、せっせと房を摘んでいる。

ぶどうの摘みとり 佳境      2000


 
このあたりにこんな歌が伝えられている。
 
もしも、わたしが死んだなら
墓穴のなかのわたしのそばに
なみなみと注いだワイングラスを
忘れずに置いてくれ
………

もしも俺が死んだなら
酒蔵のなかに埋めてくれ
いいワインのある酒蔵だ
酒蔵のなかだぞ いいかい
よいワインでいっぱいの酒蔵だぞ
俺の墓石のうえに刻んでおくれ

「酒飲みの王 ここに眠る」
                 ―福本秀子『ワイン小咄』

 
ぶどう畑のど真中に墓がある村人は、あの世でもワインが飲める。

しかもうまいワインを。なんと幸せなことか。

ブルゴーニュ南部    ソリュトレの岩山 標高500m その麓の葡萄畑  2000


 
開高 健の文に「一本のワインには二人の女がいる。一人は栓をあけたばかりの処女、もう一人は、それが熟女になったとき……
一本のワインで処女と熟女が楽しめる」

                  ―開高 健『知的な痴的な教養講座』


ソリュトレの街角     プイィ・フュイッセ 白ワイン   2000


 

 
 


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