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東海の小島の磯

天気が良いので、コンブ、イカ、ウニの匂いがただよう⼤森浜の砂をふんで、啄⽊⼩公園から函館⼭へむかってそぞろ歩いた。

⽬に⾶びこんできたのは、浜辺にたつ⽩亜の館。陽の光に輝いている。
まるで、“エーゲ海の⽩い宝⽯”といわれるミコノス島の⽩いペンキを塗りたくった家のようだ。

いきなり現れたギリシャにどっき り。
真っ⽩に輝く館は、ヘア&メイク「ルルーディー Luluwdy」。
店の名前は、ギリシャ語で“花”を意味するとか。
⽩髪頭の“枯れ⽒”でも散髪、いやカットしてもらえるだろうか。
お洒落な店のなかを思い浮かべては、いつも⼊ろうか否か、迷ってい る。

ルルーディー“花”


⽯川啄⽊は、⼤森浜の浜辺を散策して『⼀握の砂』を詠んだ。

東海の⼩島の磯の⽩砂に
われ泣きぬれて
蟹とたはむる
      ―我を愛する歌

 潮かをる北の浜辺の砂⼭の
かの浜薔薇(はまなす)よ
今年も咲けるや
     ―忘れがたき⼈⼈


⼤森浜

浜辺の潮騒のなか、啄⽊のつぶやきが聞こえた̶⼩さな蟹は⾜元を這いまわるが、あの砂⼭は消えてしまった。
向うに⾒える⽩亜の館は何だ? ここは、エーゲ海の浜辺か。はて、東海の⼩島の磯をどう歌うか……。思案のしどころだな……。


啄⽊、何を想う 啄⽊⼩公園 2020


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