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『なんとなく好き』を大切にしたい。【組み写真編】

『なんとなく好き』って大切だよね。

SNSは写真をすごく面白くしてくれたけれど、逆に楽しさを削いでしまった部分もあって、それはAIやアルゴリズムでは計算しきれない『なんとなく好き』な部分だと思う。みんなそれぞれ『なんとなく好き』があるんだけれど、その『なんとなく』にはもちろん個性や流動性があって時と共に変化するし、その要素はとても曖昧だから数値化しにくい。

そんな『なんとなく好き』な写真は一枚では伝わりにくい事があるかもしれないけれど、複数枚でのカルーセル投稿や写真を使った動画であれば、一枚では伝えきれない深さを伝えることが出来るはずで、昔からプロのフォトグラファーとはか写真集とかアルバムにして伝えてきたのだけれど、今はプロじゃなくても手軽に複数枚の写真で一つとした組み写真を撮ることも、世に出すことも出来るわけなので、今日はそんな『なんとなく好き』を大切にした、組み写真について考えて行きます。

ちなみに、今日の写真はiPhoneの焦点距離とも近い、 28mmのGR3で撮っているのでiPhoneで写真を撮られる方にも参考になると思います。

『なんとなく好き』を主役にしたい!

RICOH GR3 + TOKYO GRAPHER OPF 550-L

この写真。どうですか?
打ち際で海面に反射する光が綺麗で、夕暮れ時の色味がなんか懐かしさと哀愁を感じさせてるし、言葉で説明できないのだけれど僕は『なんとなく好き』

でも。正直なところ僕以外の方が見たら、可もなく不可もなく脇役のような写真だと思うし、いつも見ている海岸のいつも見ている波打ち際の写真なので、僕自身も何ヶ月とか何年か先にこの写真一枚を見たら撮った時の背景を忘れてしまって、イマイチというか何撮りたかったのだろう?思うに違いない。

主役を引き立てる脇役が必要だ!

RICOH GR3 + TOKYO GRAPHER OPF 550-L

何と言ってもパッと見で分かりやすくて、夕陽が良い感じで、リフレクションが綺麗で、とにかくなんか楽しそう。
この写真に写っている子たちが家族だったり駆け出しのアイドルグループだったりしたら間違いなくメチャ良い写真だよね。

でも。これ海辺で会った見知らぬ子達なんですよね。
彼らにプレゼントする事ができたら凄く良いんですが連絡先聞かなかったし、個人的にプリントして部屋に飾るほどは良い写真なわけじゃない。
良い写真だとは思うのだけれど、iPhoneのストレージが圧迫されてきたら、きっと削除してしまう気がする。w

そういう事で、この写真はパッと見は主役級でも僕の撮っては脇役な訳ですが、『なんとなく好き』な波打ち際の写真と組み合わせると何かが変わるかもしれない。

まずは主役と脇役を組み合わせてみる

RICOH GR3 + TOKYO GRAPHER OPF 550-L

脇役のような主役の『なんとなく好き』な波打ち際と。
主役のような見知らぬ子たちの楽しい時間。
この二枚を組み合わせると。

おぉ!何か良い感じ!波打ち際が少年たちの視点のように感じられて、写真の奥行きが増すし、絵的にも光の入り方とか同じシーンであることが明確で、The 青春って感じが何とも好き。

好きなのだけれど。僕が感じた『なんとなく好き』からは少しズレてしまったというか。脇役なはずの若者がやっぱり主役になってるよね。

視点を広げ、その場が伝わる背景を足してみよう

RICOH GR3 + TOKYO GRAPHER OPF 550-L

そこで、三枚目にGR3やiPhoneの焦点距離28mm付近の若干広角な画角で撮っていると一番多く撮りがちな引きの風景写真を足してみる。

これもまたこの一枚では伝わることの少なそうだし、砂浜には足跡が沢山残り、右端には誰かの肘が入っていて、写真としてはイマイチなんだけどれど、10月とは思えないTシャツ一枚でも汗ばむような陽気だった三連休の最終日。夕暮れ時の海岸にはいろいろな人がいて、特に中・高生や海外の方が目立ってそんな様子が今を表してる気がする景色。

試しに主役級と背景を組みあせてみる

RICOH GR3 + TOKYO GRAPHER OPF 550-L

主役と背景を組み合わせると。
何だろうね。微妙に撮った時間がずれていて色温度の違いからちぐはぐ感がある若干あり、何かいまいち。やっぱり主役級な若者たちのパワーに負けて背景はただの引き立て役というか。これだったら主役級な若者たちの写真一枚だけの方が良い気がする。

視点の違う三つの写真を組み合わせてみる

RICOH GR3 + TOKYO GRAPHER OPF 550-L

これ!これです!

僕が『なんとなく好き』だった感じはこの感じ。
視点が近い波打ち際から、中くらいの若者、引いてとった景色とバラけていて良い感じだし、そのおかげで僕的な主役写真の波打ち際の『なんとなく好き』が際立ってる。

もしかしたら、若者たちと波打ち際の二枚の組み合わせの方が良い写真じゃん!と思っている人がいるかもしれない。その二枚で伝わるだろう青春感とか懐かしいし、何と言ってもわかりやすいよね。

でも。わかりやすさって怖いよね。
三枚を組み合わせ写真と、二枚のとは明らかに重みというか『なんとなく好き』な波打ち際の印象が異なると思うんだよね。
そうやって自分が感じた事とは違うメッセージとなって伝わっちゃうこともあるわけだから。僕がこの『なんとなく好き』な写真に何を感じたのかを上手く言葉に出来ないのが困ったことだけれど、二枚で組み合わせたのとは明らかに違うんだよね。

んー。難しい!
だからこそ写真は面白い。

あなたの『なんとなく好き』を大切にしてほしい

今の時代、写真を撮っているとどうしてもSNSの存在は大きくて、頭のどこかで、ここ撮ったら「いいね!」沢山もらえそう!とか考えてしまう事あるよね。僕もそうだしそれが悪いなんて思わないのだけれど、SNSを意識しすぎると、わかりやすい写真が良いと自分自身で決めてしまって、少し写真が窮屈になる気がする。

僕は写真を自分や家族のために撮って行きたいし。主には自分のために撮りたいので、自分の『なんとなく好き』な感覚を大切にしたいし、その『なんとなく』が個性であり、想いのコアなんだと思う。

SNSで見る絶景写真や新しいアイディアの詰まった写真も面白いけれど、僕はわかりにくくてもあなたの『なんとなく好き』に興味があるし、わかりやすい誤解より、わかりにくくても曖昧な自分の言葉のような写真が撮りたいよね。

組み写真を撮るときの視点のポイント

ちなみに、日頃からカメラを持って出歩くときは癖として引きで景色をとったら、足元の波や花などを寄って撮ったり。後ろを向いてみて撮っておいたり。そんな視点の遠近・前後バランスを保つようには意図的に心がけてます。
特に夕日の絶景だったりすると、太陽の方ばかりの同じような写真を何枚も撮ってしまうのだけれど。意識して視点をずらすことで、より写真の深さがますし、SNSだったらカルーセルとかで並べた時のメリハリもつくから、みんなも意識してみて。

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