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名もなき英雄たちが業界を去る。

今日はみんなが知らない酪農の話をしよう。

酪農家とは、主に牛乳を生産している農家のこと。
乳牛(白黒のホルスタインのメス牛)を飼育している人たち。
スーパーで売られている国産牛(F1の子牛、乳牛と和牛の交雑種)も生産していますし、近年では受精卵が普及してきて高収益の黒毛和牛も生産をしてきています。
黒毛和牛の子牛生産は本職である黒毛和牛繁殖農家よりも酪農家が生産している黒毛和牛の子牛の割合が増えつつあります。

牛乳を搾るだけが酪農家のお仕事ではないのです。
いろんな子牛たちを哺育したり、餌となる牧草収穫やデントコーンなどの作付け、他にも畑作業をしたり敷料となるもみ殻やオガクズ集めに奔走したりします。様々な業者や獣医さんと付き合いながら、家族で労力を賄っているところがほとんどです。

しかしながら
近年の国際情勢や疫病蔓延、さらに物価高からくる飼料価格の高止まりで牛乳や肉の消費が伸び悩み大変苦しい状況にあります。もはやもっと飲んでください、食べてくださいともいえない状況下にあります。生産者は家畜を飼いながら自分たちが暮らしていくだけで精一杯なのです。

生き物を健康に飼うには手間もお金も時間もかかります。

畜産業はとにかく利益回収が遅い業種ですし、数字を弾いて計画通り、予定通りにことが運ぶことはほぼ無いです。そんな中で頑張り続けるのが畜産農家です。自分たちの食い扶持も守らなければならないうえに牛たちの食い扶持も守るのがお仕事です。
肉体労働にみえて、案外頭脳労働との両立です。


我が家の育成牛たち
冬の牛たち

新聞でも廃業の話を聞きますし
儲かっているところなんてどこの酪農地帯にもいないんですよ。儲かってそうにみえて実は労働分の人件費を算出すれば、その牧場が人一倍働いて経費削減して人と牛とが努力しているだけなんです。

先人たちが次から次へと辞めていく。
機械や施設の借金が残っていて辞められない人たちのほうが多いです。

若い後継者は希望を見失って迷走してしまう。
酪農地帯は活気を失う。畑は荒れる、人が減る。

死屍累々と辞めていった先人たちの屍の上で私達生産者は何を思うのか。

個人が儲かればそれでいいのか。
業界を憂いている。

このままではダメなんじゃないのか?
私達はもう一度立ち上がり、時代に合った新しい産業に生まれ変わる時が目前に来ているのかもしれない。

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