「友達」

もし、これから新たに長い付き合いを続けられそうな人と出会えたならば、それは貴重な出会いであり、大切にしてもいいかなとは思う。
一応断っておくが同性の話だ。

しかし、今の年齢(もうすぐ34歳です)にもなって新たな人と知り合った時、自分は一人の大人として相手を見るし、相手も大人としての立場から自分を見てくるというドライな所からスタートする。

もちろん学生時代と違って、人それぞれ時間の流れ方が決定的に違う。経済的なレベルや生活習慣、住んでいる場所も経歴、職場、社会的役割、仕事をしている時間帯、休日は何曜日か……何もかもが違う。

出会ったその瞬間から「対等に近い立場である」ことなど、ほとんどあり得ない。
趣味や休日の過ごし方が多少似ているという共通点を知ったところで、情報がそれぐらいしかない以上、今後深い付き合いをするかどうかを決断するには、メリットやデメリット、リスクやリターンを考えたり、どうしても打算的な部分が出てきてしまう。

そもそも、僕には学生時代から今に至るまで長らく付き合いを続けてくれている人たちがいて、お互いに長所も短所も趣味嗜好も大半を知り尽くした上で、お互いに受け入れ合っているような関係を築いている。そんな素敵な人間関係を数こそ決して多くはないが持っている。

相当なひねくれ者で、腹の底はどす黒く、ヤな奴であるという自覚すら持っている俺みたいな一人の男に何らかの価値を見出してくれて、途轍もなく長い期間にわたって大事にしてくれる人っていうのは、一生大事にしなければならない人生の財産だと思うんだ。

その人たちが困っている時は、金のこと以外であれば、どんな面倒な事であろうと徹底的に手を差し伸べる覚悟が僕にはある。
心の底からそう思える関係こそ、「友達」だとか「仲間」っていうんだろうな。
今からそんな人間関係を構築出来るかと言われれば、途轍もなく難しい。

何となくノリだけで一線を超えて仲良くなり、「友達」だとか「仲間」だと呼び合える人間関係を新たに構築することはもう不可能になったという確信を抱いたとき、僕は歳を取ってしまったんだなと少し寂しくもあり、また少し大人になったような気がした。

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