「好きじゃないとやってられない仕事」じゃダメなのよ。

「憧れのあの人と働けるなら!」とか「修行だから」と
無報酬(or極端な低賃金)で働く労働契約。
残念ながら、私がいるラジオ産業でもまだまだ存在します。
先程、「芸は無報酬で学ぶもの」とし、
自身が出した求人に「報酬は?」と尋ねた人を「悲しいね」とか「今風だね」と評しているDJ氏の記事を見かけたので、筆を執りました。

求職者側(応募側)がそういう立場なら仕方ない場合もあるけれど、求人側(採用側)がそれを求めるのって、普通に考えてとんでもないことです。
でも僕らの業界にもそんなことを云う人や企業が実在します。
私はラジオ産業の一員として、そんな求人に応じて欲しくないなと思います。

「お金よりやり甲斐」は、求人側が使うべき言葉ではありません。
何度も書いていますが、SEVENがオーディションなどで出演料の見積もりなどを求めるときに、「0円見積もり」や「いくらでもやります」の提案を
"即失格"扱いで排除するのは、「お金はちゃんと払います。その分プロとしてお仕事をしてください」という立場を守るからです。

無償ボランティアや奉仕活動などは別として、お金が発生しない業務は責任の所在が曖昧になりがちです。適正な報酬があってこそ、そのぶんの責任は果たしてくださいとお願いできます。逆に、きちんと業務とその責任を果たしたなら、その対価を求める権利があります。

憧れの世界だから、働きたい人は多いから、無償労働でもいいだろう?なんて求人側を信じてはいけません。それが「好きだからできる仕事」を「好きじゃないとやっていけない仕事」にしてしまいます。それは、当該求人/求職だけの問題ではないのです。産業全体に暗い影を落とすことになるのです。

私のいる産業では「カネの話は最後の最後」になりがちなので、あえて弊社では「金の話が最初」としています。納品や放送の日時は関係なく、フリーランスの方は原則的に「稼働月の月末締め/当月末日払い」にしています。そうすることで、この産業で働く意欲を持っていただきたいと思っています。
この業界で30年もご飯を食べさせてもらっているんですから、せめてそれに応じた「産業の魅力」とか「産業の未来」への貢献は果たしたいと思います。日本の民間ラジオ産業は、80年近い時間と、数千・数万の先輩方が汗を流して作りあげてくださったものです。

「ラジオが好きならタダでもいいだろ?」は間違いです。
私は「ラジオが好きだから、できるだけホワイトな環境で働きましょう」が正しいと信じています。著名だから、人気だからとブラック求人を正当化する人を信じすぎないようにご注意くださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?