初めての


初ゲット


初ゲットは特別なものだ

なんたってゼロからイチを生み出すのだ

童貞喪失とは何かが違う

多くのオスにとっては初ゲットも単なるご新規さまにすぎないかもしれない、しかし自家去勢寸前まで落ち込んでいた非モテたちにとっては全く違う意味を持つはずだ


TAVを思い出す

何百回と聞いた、あの『okada02.MP3』だ

要約すると

「年収とか人脈、自信に理由があるやつがいる。しかし、対女性関係では理由のない自信が絶対に必要だ。自分自身の存在に自信をもって女性と接することができれば、一生女に苦労することはない」


この初ゲットまでずっと、自身の存在に理由を、鎧を必要としていたひ弱なオスにとって…

少なくとも俺にとっては特別な経験だった



秋は収穫なく過ぎていった

俺は塾長の的確な指導を受け、媚びの残る自分のキモい声を聞き、なんとか伸びるきっかけを探してもがいていた


時はきた

12月はクリスマスの一週間前、池袋だった

その日は18時から出撃していた

なんとか1人、地雷系ファッションを連れ出した

しかしながらサンシャイン60通りのカフェで対峙会話負け

…もう21時30分だ

ラストの声かけにしよう


前をゆっくり歩く子をみつけた

髪はキレイだ、ちょっと大柄なだけ、、、ゲット未経験者が女性を選ぶほどストリートは甘くない

俺は所定の位置をとり、声量に気をつけて声をかけた


♂こんばんは!寒いですね

♀、、、

♂素敵なコートですね

♀、、(アイコンタクトあり、聞いている様子)

♂とっても暖かそうでいいですよー、俺のこのウルトラヘビーダウンと交換してくれません?

♀ぃや、

♂だめに決まってますよね、ほんと何言ってるんだかって感じですけど、、どこ行くんですか?

♀特には、、、


と発語は少ないが聞いている様子

共有スペースを追加するも反応あがらず

もう後がないので少し強引に立ち止めを試みる

、、、っ止まった!


♂寒いですよね、あそこにいい居酒屋あるので暖まりましょうっ!(誘導の立ち位置から背中を押すと抵抗はほぼない)

♀さっきまで飲んでたんです

♂そうですか、飲まなくても、俺が温まるのを見ててください


と訳の分からない打診でなんとか個室居酒屋に入店した

店内に入ると発言が増えて


♀さっきは飲んだあと熱くなってたので冷ますために散歩してました


と俺の打診は完全に逆走していた

しかし打診をしなければ連れ出せなかったので不思議なものだ


その子は休みで昼から飲んでいた

完全に出来上がっていた

仕事と恋愛の話を質問する

(この時は共感や深掘りが出来ていない尋問のような会話だっただろう)

俺は相手を観察する余裕はなく、ひとしきり会話のネタを収集し終わる

内心ビビりながらボディータッチを始める、、問題なし

キスを試みる、、拒否なし

退店して会計をする


学んだ限りでは二人の距離を一步ずつ縮めているはずで、ホテル打診が近づいている

ぁあ、誘わなければ、、、

恐怖心が腹から上がってくる

手をとり繋ぐ、、大丈夫


胸の音が自分でもうるさくなる、食道までひりつきを感じながら、勇気を出して打診する


♂次はちゃんと熱が冷める場所にいこう


声もかすかに震えていた、声量は足りたか


♀次ですかぁ


聞こえていた

間をもたせながら手を引きホテルまで誘導して、、、そのまま入室したっ!


ホテル内では特にグダなく初ゲットとなった


その時は分かってなかったが、ゲット後に女の子とはよりリラックスした会話ができる


その日は解散前に家族のやや深い話も聞けた、相手からの好意も感じた


♀休みの日は土日?

♂そうだね、だいたいカレンダー通り

♀普段よく池袋にいるの?


俺もゲット後だから余裕がある

その言い方から、流れでラインを聞けば今後も繋がれるだろう


♂ぃゃぁ、いつもは新宿でたまたま。新宿より北はあまり行かないんだよね


そう、俺はまだまだやらなきゃならないのだ

存在の自信を取り戻す旅だ 

彼女は酔っていたしクリスマス前の寂しさもあっただろう、俺はその隙間に入り込めたのかもしれない

ただ、それだけのことだが彼女は俺に大きな自信を与えてくれた


この駅でお別れになる


♂♀今日はありがとう


お互いに感謝していた

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