東京五輪 サッカー日本代表OA考察 5つのポイント
東京五輪世代のチーム立ち上げから、ほとんどの試合を見てきた観点をもとに、U-24日本代表の呟きをしていきます。
オリンピックでは招集できる人数が18人、
そのうちOA(25歳以上の選手)が3人選出可能です。OAは使わなくてもいいという意見も、一部賛同しますが、今回はOAを選ぶとしたら、という前提で誰にするかを呟きます。
まずはポイントを5つまとめてみました。
①A代表の主軸、常連クラスの海外経験豊富な選手に限定して選考する。
②U-24の選手層から招集を考慮するポジションはFW,ボランチ,左SB,CB,GK。
③攻撃の核ではなくチームを支える黒子タイプの選手が適している。
④FWの招集は戦術的対応力が高い、経験豊富な選手が理想。
⑤想定される欧州クラブの招集拒否は日本協会の交渉が鍵を握っている。
1つずつ解説していきましょう。
①A代表の主軸、常連クラスの海外経験豊富な選手に限定して選考する。
リオ五輪でのOA選考失敗から得た教訓として、これは絶対と考えます。
どれだけJリーグで活躍する選手であっても、五輪では海外の強度について行けないという可能性があるためです。
実際にリオ五輪で選ばれたOAの選手はバタバタした対応に追われてしまい、若手を牽引するどころか自分の事でいっぱいいっぱいとなっていました。
それであればOAを使わずに本来のメンバーで臨んだ方が連携面を考えてもベターであることは明らかです。
現在のA代表での立ち位置でいうと、
第一候補はA代表の柱となっている選手、
吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航、大迫勇也
となるでしょう。
第二候補はA代表でも実績がある
岡崎慎司、鎌田大地、南野拓実、柴崎岳、長友佑都、権田修一、シュミット・ダニエル
などが挙げられると考えます。
五輪OA枠有力候補の(左から)大迫勇也、吉田麻也、遠藤航
②U-24の選手層から招集を考慮するポジションはFW,ボランチ,左SB,CB,GK。
東京五輪世代の層は厚く、有望な選手が多いです。しかし、東京オリンピックの目標は金メダルと明言している以上は森保監督も選手選考を妥協しないでしょう。
U-24日本代表候補の2列目には久保建英や堂安律、三笘薫、相馬勇紀、三好康児など多士済々なメンバーが揃っておりOAの必要性を強く感じません。
また右SBにも菅原由勢、橋岡大樹、岩田智輝、原輝綺など層は厚いように見えます。
逆に最も層が薄いのは左SBですが、難しい事にこれはA代表も同様です。
FW、ボランチ、CB、GKに関しては五輪世代にも有力な選手がいますが、センターラインの強化は他のポジションよりもプライオリティが高いと言えます。
GKにはA代表に絶対的選手が不在のうえ、谷晃生や大迫敬介などと比較してもプライオリティは下がります。
CBにはU-24にも瀬古歩夢や町田浩樹、渡辺剛など実力者がいますが、吉田麻也と冨安健洋のコンビがA代表でも圧倒的な安定感を示しているため森保監督はそのリーダーシップを含めて招集を積極的に考慮していると予測されます。
ボランチは田中碧を筆頭に板倉滉などいますが、五輪が過密日程であることを考えると、信頼できるOAが必要でしょう。
また、吉田麻也、遠藤航、大迫勇也が同時先発した試合の勝率の高さ、失点数の少なさは目を見張るものがあります。この3人のチームへの貢献度は多大なものがあると考えます。
③攻撃の核ではなくチームを支える黒子タイプの選手が適している。
OAの選手の合流のタイミング、練習期間が長くないことを考慮すれば、連携面に大きな期待は持てません。また、攻撃の中心となるポジションにA代表の選手が入れば、必要以上にパスを集めてしまうなど存在感がデメリットに傾く可能性は大いにあります。
実際に、アテネ五輪のOAである小野伸二は、「共通点もなにもない中に入っていって、1カ月足らずの中でうまくコミュニケーションを取るのは(難しい)。僕自身は取っているつもりでも、向こうからは積極的に入り込めていなかったりして。オーバーエージがいないほうが彼らの持っているものがもっともっと出たんじゃないかなって感じた」と語っています。
では、OAが担うべき役割は何でしょうか。それは、ロンドン五輪の吉田麻也や徳永悠平のようにチームの土台を支える役割でしょう。
GKやCB、中盤の潰し屋がどっしりと構えていれば精神的支柱として、若い選手も安心感を持って攻撃に出られます。
これはFWでも担える役割です。例えば質の高いポストプレーやファーストディフェンダーとして機能すればチームは大きく助かることになります。
このようにOAの選手は精神面や経験値で若手を牽引しながらもプレーはチームの土台として黒子になれる選手が適していると考えます。
(もちろん、細かく見ればケースバイケースでしょうが、あくまで確率論です)
④FWの招集は戦術的対応力が高い、経験豊富な選手が理想。
昨今のサッカーでは、FWにも高い守備戦術の実行力が求められます。プレスのはめ方やコース取り、ポジショニング等々ありますが、最も難しいのは、それらの最適解が試合の戦況や相手の動き方で変化することです。
ここへの観察眼、対応力こそOAのFWに求めたい大きな要素です。岡崎慎司や大迫勇也といった選手はこれらの能力が備わっています。逆に、南野拓実や鎌田大地は守備面に関しては彼らほど優れているわけではありません。
⑤想定される欧州クラブの招集拒否は日本協会の交渉が鍵を握っている。
是が非でも招集したいA代表の主軸は、欧州クラブでも重要な立ち位置にいる場合が多いです。遠藤航を筆頭に、このコロナ禍の中で欧州クラブが拘束義務のない五輪にわざわざリスクをおかしてレギュラーを派遣してくれるかは不透明です。前回五輪の例では、久保裕也が所属するヤングボーイズから当初はOKされていた本大会の招集を直前に拒否された過去があります。
解決例としては、同じく自国開催であったブラジルがバルセロナと交渉し、条件をつけたうえでネイマールの招集に成功したことが挙げられます。条件とはネイマールを五輪に招集する代わりとして、五輪後に開催される数試合のW杯最終予選の招集を行わないという交換条件です。
幸いにも日本のボランチは守田英正や田中碧の成長により層が厚くなってきているため、W杯最終予選の数試合に遠藤航が不在でも(大きな痛手ではありますが)乗り切れるのでは、と期待しています。
このように、OAの招集は日本協会の交渉力が試される側面もあります。
①〜⑤のポイントを考慮し、OAの最適解は吉田麻也、遠藤航、大迫勇也と考えます。
その他にも
吉田麻也、酒井宏樹、大迫勇也
酒井宏樹、遠藤航、大迫勇也
吉田麻也、長友佑都、岡崎慎司
権田修一、柴崎岳、大迫勇也
といった組み合わせもあります。
長友佑都や岡崎慎司はコンディションやフィジカル能力の低下などの懸念は否めないため、プライオリティが高いとは言えないかもしれません。
やはり最適解の組み合わせを実現できれば、メダルは大きく近づきそうです。
東京五輪でサッカー日本代表が金メダルを取れば低迷傾向である日本代表へのサッカー熱を再点火する最良の転機になります。さらには、その熱と勢いのまま、来年のカタールW杯へ挑む事もできます。
選手にとっても、アピール次第によって欧州からのオファーやカタールW杯メンバー入りへの大きなチャンスであることは間違いありません。
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