見出し画像

書いてみせろ


いつもよりも少し遅い時間にこれを書く。
いつもならば仕事を終えて家に帰り、夜の7時か8時ごろにはnoteを書き始めているはずである。しかし今は夜の10時を超え、窓の外から涼しい風が吹き、そろそろ1日も完全に終わりそうな静かな札幌の閑静さである。なるべくならば毎日更新を目指したいと書き続けて早一ヶ月が経つ。こんな時間に書き始めて、もし書き終えるのに間に合わなくて日付が変わってしまったら毎日更新が途絶えてしまう。できるだけ早い時間帯に書いた方がいい。だから今までは早めに書き始めて、ゆとりを持って終わらせてしまうことを意識していた。


しかし一ヶ月も書き続けると、どれくらいの時間でnoteを書き終えられるかも何となく判別がつくようになった。一つの日記で2000文字の量を目安にしているのだが、自分はこの文章量を休憩しながらで1時間ちょっとで終わらせているのが常である。どれだけ遅くても2時間はかからない。なので夜10時くらいから書き始めてもおそらくは間に合うだろう。過去の経験から分かることだ。もし間に合わなかったらお笑いだが。


それにしても最近、めっきり読書の量が減ってしまった。減ったどころか、全く読んでいない。せっかく買った夏目漱石の全集も、2巻の途中で頓挫している。理由はなんとなくわかっている。単純に忙しいことも関係してるが、あまりにも読書の量を増やしすぎると、当分は何も読みたくなくなるのが自分の傾向としてある。先月、自分は文章を読みすぎた。夏目漱石もそうだし、新聞を読むようになって、取り込んでいく文章量が各段に増えた。そりゃ頭もパンクしてしまうことだろう。おそらく今の自分は、頭の中がいっぱいいっぱいで、それらを消化していくのに精一杯だ。そして書くのも精一杯だ。


毎日2000文字を書く。すると一ヶ月後には6万文字を書いたことになる。そこまで書いた覚えがないのに、書いたことになっている。現実として、毎日更新している『さざなみ日記』には27本ほどの記事が放り込まれている。ここまで毎日続けている事実、我ながら信じられないような話であるが、ほかでもない自分が醸し出した現実である。こんな、一人の人間が6万文字分の出来事を引き出すなんて、もうそれだけでも大変なものであり、現に今書くことがそろそろなくなりつつあるような、そんな勢いのなさに少し焦っている。やはり毎日2000文字は厳しいものだろうか。うまく頭が回らない。


「詰み」だろうか。読むこともできなければ、書くこともできやしない。全く持って文章に取り組む力を失いつつある。読む力に書く力。自分からこの力を奪ってしまったら、一体どうなってしまうことだろう。もはや何の力も残されてやしない。せいぜい、悩みあぐねて説明のつかない悟りを手に入れる力か、ハイボールで頭の回らなくなった状態でジャンカラに行き、爆音で音痴を歌い上げる力くらいしか残されていないだろう。何たるていたらくだ。自分にもっと力があればこんなくだらない悩み、すぐに吹き飛ばすことができるのに。いつも自分の弱さに辟易する。


いや、自分の弱さ、ではない。つい周りに遠慮して全力を出し切ろうとしない勇気のなさが嫌なのだ。世間の人々は、皆んなそれなりに自分を曝け出して、表現して対価を得ているものだ。自分はどうだろうか。怖がりで繊細で、いつも頑張って何かを務めては言い逃れのできる逃げ道を探している。いつも安心したいと心から願っている。人から距離を置いて、それが自分だと決めつけている。そんな人生をもう30年も続けている。


自分を弱い者だと決めつけすぎだ。何もない者だと決めつけすぎだ。先ほど、書く力も読む力がない自分はどうしようもない奴だと書いたが、そんなもの嘘半分のジョークでしかない。ただの謙遜だ。でも自分はこの謙遜に引っ張られて、謙遜が本当になってしまっている。できることはなんだってあるだろう。書く力が弱まっているのは事実だが、いろいろ探していけば、きっとあるはずだ。


自分は決して弱いものではない。それは事実だが、繊細なのはこれはこれで事実だったりする。うまく自信を持つことができない、自分を押し売りしないのは、自分が小さなことを気にしてしまう心があることを踏まえているからだ。大胆なことができるポテンシャルを持っていても、貧弱なハートを一発射抜かれたらもうしばらくは動けない。そこがネックだ。諸刃の剣だ。これもまた事実である。


じゃあ結局どうしようもないじゃん、いつも通りの内面弱々君でいくしかないじゃん、ギャルにイジられ笑われてそうなガリガリの内面弱々君が自分でしかないなんて、そこには悲しさしかない。だからこうしてnoteは書いているわけだ。ここなら書き続けることの強さで押し切ることができて、そして少なくとも自分の身は守ることができる。人前に出るのが死ぬほど嫌いな自分にとって、書くことが唯一の自己表現だ。


だから書けないとか言わずに、これからも書いてみせろ。本も読め。新聞も読め。そして毎日更新しろ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?