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疲労と空腹の言葉

10日ほどの連勤が終わり、明日ようやく休日をもらうことができた。この10日間は体力の消耗、そして腰の痛みとの戦いの日々であった。もう何部屋掃除したのからわからない。体力も切れかけて、今日に至ってはほとんど気力のみで動いていた。明日が休みと知れて、うまく力が入らない。脳がリラックスモードに入っていて、活動的なことの一つすらもままならないくらいだ。本当にどうしようもないと思う。



その多忙の中でよく毎日noteを書き続けることができたものだと、自分に対して素直な褒めの言葉が浮かぶ。あんなに余裕のない精神状態で、もう願わくば二日間くらい眠りこけていたいくらいの疲労感だったのに。その忙しさの中で、さすがに小説を書くことはできなかったが、ぎりぎりの状態でも動くことは諦めなかったのだ。
だから自分へのダメ出しはしない。


もう疲れすぎたのと明日が休みという開放感のせいで、ふわふわしている。腹が減っているはずなのに、もうこのまま部屋でじっとして余韻に浸っていたい気もする。さっさとすすきののマクドナルドに行って大量のマックポテトとチキンナゲットを持ち帰り食い散らかしたい気もする。なんか色々な欲望が混在しあってどれが第一志望なのか判別がつかない。揚げ物を口にしながら、濃いめに割ったハイボールで喉を潤せばもう数秒でぶっ倒れちまうに決まっている。だから外食はできないかもしれない。外に飲み歩きたい気もないではないが。


今の自分は、目の前に出されるとどんな料理でもがっついてしまう獣だ。そして疲れと眠気で正常な判断ができない。これはある意味危険でもある。こんな奴を外に放り出したら、どこかで問題でも起こして帰ってきそうだ。


今日の帰宅時にも、訳分からんタイミングで道路を横切ろうとしてタクシーにクラクションを鳴らされてしまった。ちょうど渋滞になりかけの徐行の具合だったので渡れると思い込んだのだ。それを阻まれてしまったので、その時の自分は何てガラの悪い運転手だと気を悪くしてしまったが、あとあと冷静になってみると悪かったのは自分の方だと思う。どう考えても後続車が来ている中で無理やり自転車で渡ってやろうとする頭の悪い奴だったのだ。なんだが周りのことを考える余裕が失われていた。なんでも勢いで誤魔化すのはよくない。運転手に申し訳ないことをしてしまった。


しかしここでいくら悔やんでもその運転手がこの文章を見ることは地球上から一粒の砂を特定するくらいに確率の低いものだといえる。なのでここでいくら懺悔してもただのひとりごとにしかならず、これを書いている自分は暖簾に腕押しの虚しさを身体中に巡らせて、これを見ている人は一体何を見させられているんだと虚無を表し、その運転手は今頃クラクションを鳴らしたことなんか忘れてビールでも飲んでいることだろう。悔やんだり悲しんだりすることはいつも時差のように、解決不可能なほど遅くに響いてくるものである。その事実がさらに虚しさを加速させる。ただでさえ疲れて空腹でまともな思考もままならないのに。



そんな状況でも、よくこうしてとりあえず文章を書き続けられるものだなと我ながらに思う。お前もう疲れとるんちゃうんかいと、そう自分に問いかけても、こいつはタイピングする手をやめない。欲望に任せれば早く食いたいし寝たいし、もうそれだけの狼なのに。


ああ、頭の中が食い物のイメージで満たされていく。マクドナルドに餃子の王将、びっくりドンキー、吉野家。あれっ。どうして思い浮かぶのはチェーン店ばかりなのだろう。ここは札幌市中央区にある、とあるマンションの一室。このグルメの街札幌で、いくらでもうまい寿司屋やラーメン屋が軒を連ねて自分を呼んでいるはずなのに、一体どうして。


ここまでの疲労と飢餓感に見舞われると、手早く飯にありつきたいという欲望から解りやすい飯のイメージが浮かぶのかもしれない。新しい店に行くときは新鮮さもある反面、ちょっとした緊張感というかアウェイなところもあって、それどころじゃねえだろとなる。別に元気なときならばいくらでも良さげな寿司やラーメンを食えばいいのだ。でも今は違う。ただ飯を食いたい。そうなれば思い浮かぶのはマクドや王将だ。


こうして文字に起こすとなおさら食べたくなる。さっきまで餃子の王将なんて候補にも入っていなかったのに急にあのチャーハンが食べたくなった。学生のころから美味いチャーハンといえば王将のチャーハンだと刷り込まれて育ってきた。どんな食育やねんと思われるかもしれない。しかしこの気持ち、関西人ならわかってくれるだろうと信じている。ちなみに関東人は日高屋がメジャーな中華屋らしい。関西に住んでいるとほぼ関わることのないチェーン店だ。ここ札幌でもあまり見たことがない。


札幌に来る前、その日高屋に行ってみたことがあるが、なにより安い。しかしそれだけしかなかった。ごめんやけど。でも味のクオリティ、店員の態度、客層、その他諸々、その全ての要素が安いが故に成り立っている風に見えた。やっぱり自分は王将が好きだ。多分関西人だからだろう。とりあえず飯が食いたい。






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