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基礎編3 「サイコロ2回の分母①」大小のさいころ2個

 大小2つのさいころを同時に投げるとき,2つとも同じ目が出る確率を求めなさい。(栃木県2019)

問題を解く前に① なぜ高校入試にサイコロ2つの問題が多い?

 基礎編3~17は、2つの偶然が起こるときの確率の求め方を考えます。

 高校入試で出される確率の問題の8割は、偶然が2つ起こるやつです。そして、その中でもダントツなのは、大小2つのさいころをつかって2つ偶然を起こす問題です。高校入試問題をつくる人は、どうも2つのさいころが大好きのようです、ダイスだけに。

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 中学校で確率を求める問題のしばりとして「図表を使ってすべての場合(分母)が求められる」というのがあります。なので、高校入試の問題を作る人からしても、手軽に適度な難しさの確率の問題が作りやすい、というのがあるのでしょうね。

問題を解く前に② なぜサイコロ2つは表を書く?

 本題に入る前に、もうひとつ続けます。

 受験参考書なんかでは「2つのさいころは表を書け!」と標語のように書いてあるものがあります。教科書でも、あからさまには書いていませんが、この大小2つのさいころの問題はしれっと表を書いて問題を解きます。

 しかし、なぜ2つのさいころだと表を書くのでしょうか? その理由を説明しているものは見たことがありません。

 ここで、だれも教えてくれない、その理由を書いてしまうことにしましょう。

 偶然が2つ起こるときは、表で考えるとそこそこ考えやすいからです。

分母は・・・

 大小2つのさいころ  →偶然が2つ起こる  →表を書きます。

 でも突然「表を書け」と言われても困るかも知れませんね。表の書き方を説明しましょう。偶然が2つ起こるので、一方の偶然で起こるすべての場合を縦にします。

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もう片方の偶然で起こるすべての場合を横に並べて、

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こんな感じの表にします。今回の問題の場合は、大きなさいころの目を縦に、小さなさいころの目を横に並べておきます。どっちがどっちかは、自分で決めていいです。

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 そうすると、このマス目マス目1つ1つが、

 「大きなさいころで1、小さなさいころで1が出るとき」
 「大きなさいころで1、小さなさいころで2が出るとき」
 「大きなさいころで1、小さなさいころで3が出るとき」
 「大きなさいころで1、小さなさいころで4が出るとき」
 「大きなさいころで1、小さなさいころで5が出るとき」
 「大きなさいころで1、小さなさいころで6が出るとき」
 「大きなさいころで2、小さなさいころで1が出るとき」
 「大きなさいころで2、小さなさいころで2が出るとき」
 「大きなさいころで2、小さなさいころで3が出るとき」
 「大きなさいころで2、小さなさいころで4が出るとき」
 「大きなさいころで2、小さなさいころで5が出るとき」
 「大きなさいころで2、小さなさいころで6が出るとき」
 「大きなさいころで3、小さなさいころで1が出るとき」
 「大きなさいころで3、小さなさいころで2が出るとき」
 「大きなさいころで3、小さなさいころで3が出るとき」
 「大きなさいころで3、小さなさいころで4が出るとき」
 「大きなさいころで3、小さなさいころで5が出るとき」
 「大きなさいころで3、小さなさいころで6が出るとき」
 「大きなさいころで4、小さなさいころで1が出るとき」
 「大きなさいころで4、小さなさいころで2が出るとき」
 「大きなさいころで4、小さなさいころで3が出るとき」
 「大きなさいころで4、小さなさいころで4が出るとき」
 「大きなさいころで4、小さなさいころで5が出るとき」
 「大きなさいころで4、小さなさいころで6が出るとき」
 「大きなさいころで5、小さなさいころで1が出るとき」
 「大きなさいころで5、小さなさいころで2が出るとき」
 「大きなさいころで5、小さなさいころで3が出るとき」
 「大きなさいころで5、小さなさいころで4が出るとき」
 「大きなさいころで5、小さなさいころで5が出るとき」
 「大きなさいころで5、小さなさいころで6が出るとき」
 「大きなさいころで6、小さなさいころで1が出るとき」
 「大きなさいころで6、小さなさいころで2が出るとき」
 「大きなさいころで6、小さなさいころで3が出るとき」
 「大きなさいころで6、小さなさいころで4が出るとき」
 「大きなさいころで6、小さなさいころで5が出るとき」
 「大きなさいころで6、小さなさいころで6が出るとき」

という意味になります。これを書いて並べるのはうっとうしくてしょうがないですね。表にコンパクトにまとめられるので便利だ、というわけです。

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 そして、それぞれのできごとは同じ確率で起こります。同じ確率で起こることを同様に確からしいといいます。確率を求める、ということは、同様に確からしいことを全部並べて、それをくじに見立て、「くじは何本? その中で当たりは何本?」というのを求めることと同じです。分母はくじの本数ですね。

・・・・というわけで、起こりうるすべての場合の数、くじの本数が分母になるのでした。この問題(というか、大小2つのさいころの場合は)36ということになります。ちょっと説明が長かったですね。

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分子は・・・

 条件に合うのは、

 「大きなさいころで1、小さなさいころで1が出るとき」
 「大きなさいころで2、小さなさいころで2が出るとき」
 「大きなさいころで3、小さなさいころで3が出るとき」
 「大きなさいころで4、小さなさいころで4が出るとき」
 「大きなさいころで5、小さなさいころで5が出るとき」
 「大きなさいころで6、小さなさいころで6が出るとき」

の6通りです。

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 こうやっていちいち並べるよりも、せっかく表を書いていますので、条件に合うところに印をつけて、くじの「当たり」にしてしまいましょう。

 表のますめの数が全部のくじの数、○をつけたのが当たりですね。

分子は 

答え

というわけで、確率の公式に当てはめて答えましょう。

6/36 = 1/6

1/6

約分ができるかどうか、最後に確認を忘れないようにしましょうね。

問題を解いた後に・・・偶然が2つ起こるときは表を書く

 今回は、超ていねいに言葉にしたのですが、逆にこうやって言葉にするとまどろっこしい感じもします。でもいったん超ていねいにやって行くと、このあと見失ったときに、ここに戻ってくればいい、というのを考えて、あえて超ていねいにやっておきました。(後で戻ってきて、なるほどと思ってもらってもいいし)

 まとめると、偶然が1つのときは、表を書くまでもありません。そして、3つ以上起こるときは表は使えません。樹形図の方が便利ですが、樹形図の話は基礎編18以降で触れることにします。

 ・・・話が長くなりました。表は別にさいころ2つの問題に限ったことではなく「偶然が2つ起こるとき」の道具としてジャンジャン使えばいいのでというのがこのnoteのメインテーマです。

偶然が2つ起こるとき、表を書く

 じゃあ、偶然が2つ起こる,というのはどういうときか? それは、偶然を1人1つに分担する,と考えるわけです。

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