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広島県|公立高校入試統計問題2024

 次の図は,ある中学校のA班23人とB班23人のハンドボール投げの記録を班ごとに箱ひげ図に表したものです。この箱ひげ図から読み取れることとして必ず正しいといえるものを,下のの中から全て選び,その記号を書きなさい。ただし,記録はメートルを単位とし,メートル未満は切り捨てるものとします。

 A班の記録の平均値は18mである。
 B班で,記録が16mの人は,少なくとも1人はいる。
 A班の記録の範囲は,B班の記録の範囲より小さい。
 B班の記録の四分位範囲は,A班の記録の四分位範囲より大きい。
 記録が22m以上の人は,B班にはA班の2倍以上いる。

 1つ1つ見ていきましょう。

ア 平均値

 箱ひげ図の中の縦棒は第2四分位数(中央値)を表しています。平均値ではありません。引っかかりやすいかもしれません。
 箱ひげ図は中央値・四分位数や最小値・最大値を使ってかきます。これだけだと,平均値に関する情報はありません※。
 この箱ひげ図からは平均値は読み取れませんので,×です。

イ 第1四分位数

 B班の16mのところに第1四分位数を示す縦棒が来ているので,ちょうど16mの人のデータ!とすぐに思うかもしれませんが,本当かどうかちょっと確かめてみましょう。
 まず,23人の記録データの中央値(第2四分位数)は,小さい順に並べた12番目のデータです。
 第一四分位数は,最小値を含む方の11個のデータのデータの中央値で,小さい方から6番目のデータということになります。これが16mということですから,確かに記録が16mの人が必ずいる,ということになります。〇ですね。

ウ 範囲

 範囲とは,最大値から最小値をひいた値です。箱ひげ図では,ひげの左端の縦棒から,右端の縦棒までの長さが範囲を表しています。箱ひげ図全体の長さですね。

 箱ひげ図は,A班の方がB班のよりも2m分長いですので,範囲もA班の方が大きいです。ですから,この選択肢は×。

エ 四分位範囲

 四分位範囲は,第3四分位数から第1四分位数をひいた差で,箱の横の長さが表します。

 確かに,箱の横の長さはB班の方が長いですね。〇。

オ 四分位範囲に含まれるデータ数

 B班の記録データの方からみてみることにしましょう。ウでも触れたように,23人の記録データの中央値(第2四分位数)がちょうど22mで,12番目のデータがこれにあたります。ですから,少なくとも12番目から23番目の12人は,記録が22m以上だということがわかります。何なら,7番目から11番目も22mの可能性があるわけです。

 A班の記録データの方はどうでしょう。第3四分位数が20mですから,18番目の人の記録が20m。23番目の人は34mということも読み取れます。では,19番~22番の人は? 19番目の人は22m以上の場合もあれば,18mの場合もあります。22m以上は,多くても19番~23番の5人しかいません。なんなら,データがこの範囲に入るのは23番1人の可能性だってあるわけです。箱ひげ図は,もとのデータを4等分して,それぞれの端にあたる5つの値だけを示しているわけで,それ以外の細かい情報はそぎ落としているのです。

 というわけで,記録が22m以上の人は,B班には12人以上いる一方で,A班には多くても5人しかいませんので,どんな場合でも2倍以上いるといえます。〇。これはパワーがいります。(そして,選択肢がすべて正しく選ばれていないと,得点にならない採点基準になっていました・・・)

イ ・ エ ・ オ

※高校では,箱ひげ図に平均を書き加えることを学びます。発展的に,このことに言及している中学教科書もあります。


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