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神奈川県|公立高校入試確率問題2021

 右の図1のように,3つの箱P,Q,Rがあり,箱Pには1,2,4の数が1つずつ書かれた3枚のカードが,箱Qには3,5,6の数が1つずつ書かれた3枚のカードがそれぞれ入っており,箱Rには何も入っていない。
 大,小2つのさいころを同時に1回投げ,大きいさいころの出た目の数を$${a}$$小さいさいころの出た目の数を$${b}$$とする。出た目の数によって,次の【操作1】【操作2】を順に行い,箱Rに入っているカードの枚数を考える。
【操作1】カードに書かれた数の合計が$${a}$$となるように箱Pから1枚または2枚のカードを取り出し,箱Qに入れる
【操作2】箱Qに入っているカードのうち$${b}$$の約数が書かれたものをすべて取り出し,箱Rに入れる。ただし,$${b}$$の約数が書かれたカードが1枚もない場合は,箱Qからカードを取り出さず,箱Rにはカードを入れない。

図1


 大きいさいころの出た目の数が5,小さいさいころの出た目の数が3のとき,$${a}$$=5,$${b}$$=3である。
このとき,【操作1】により,カードに書かれた数の合計が5となるように箱Pから1と4のカードを取り出し,箱Qに入れる。
次に,【操作2】により,箱Qに入っているカードのうち3の約数が書かれたものである[1]と[3]のカードを取り出し,箱Rに入れる。
この結果,図2のように,箱Rに入っているカードは2枚である。

図2

 いま,図1の状態で,大,小2つのさいころを同時に1回投げるとき,次の問いに答えなさい。ただし,大,小2つのさいころはともに,1から6までのどの目が出ることも同様に確からしいものとする。
(ア) 箱Rに入っているカードが4枚となる確率を求めなさい。(改題)
(イ) 箱Rに入っているカードが1枚となる確率を求めなさい。

分類:応用編❽(その他)

問題の意味わかる?

 まず、問題をしっかり読んで,どうなったらどうなるのか、理解をしておかなければいけません。大きいさいころが1~6のそれぞれの場合に、Pの箱に残るカードと、Qに移すカードを確認しておきましょう。

1 Pに残す[1]    Qに移す[2][4]
2 Pに残す[2]    Qに移す[1][4]
3 Pに残す[1][2] Qに移す[4]
4 Pに残す[4]    Qに移す[1][2]
5 Pに残す[1][4] Qに移す[2]
6 Pに残す[2][4] Qに移す[1]

どんな表をかけば・・・

 では,どんな表をかけばよいでしょうか。ここでは、上の操作によって、Qの箱の中にあるカードを縦軸に、$$${b}$$の約数、つまりQからRに移すカード候補を横軸に並べて、Rの箱に入るカードを各マスの中に入れて、表をかいてみましょう。

 すべての場合の数は,例によってさいころ2つですので、36通りなのは大丈夫でしょうか。このうち、(1)と(2)に示された条件に合うのはどこか? ということを数えていけば、確率が計算できる、というわけです。

では確率を求めましょう。

 ここまで準備ができれば、後は条件を満たすマスを数えるだけです。
 (1)の条件を満たす場合は、表から(a,b)の組が(4,6)の場合だけで、求める確率は$${\bm{\dfrac{1}{36}}}$$。
 (2)の条件を満たす場合は、(1,2)(1,3)(1,5)(2,1)(2,2)(3,3)(3,4)(3,5)(4,1)(5,2)(5,3)(5,4)(5,5)(6,1)(6,2)(6,4)の16通り。求める確率は$${\dfrac{16}{36}=\bm{\dfrac{4}{9}}}$$。

(ア)$${\bm{\dfrac{1}{36}}}$$   (イ)$${\bm{\dfrac{4}{9}}}$$

問題を解いたあとに・・・(1)

 箱Pにある[1][2][4]の3枚のカードのたし算で、1~6の数を一通りに表すことができる、ということが問題には書いていないけど重要な数学的事実です。(2進法というヤツで、20年ぐらい前は中学校で習っていたのです・・・ 今は高校の情報Ⅰでみっちりやるようですな)

問題を解いたあとに・・・(2)

 (ア)について、条件からさかのぼって「迎えに行く」やり方で考えてみましょう。
 Rに4枚あるということは、すくなくとも$${b}$$の約数が4つないといけません。$${b}$$の約数が4つあるのは、1~6の中では6だけですから、$${b=4}$$であることが最低条件となります。Rに入っているのは1,2,3,6ということになりますね。
 そして、そのためにはQの箱に1と2が動いていなければなりません。そうなる$${a}$$の値は、1はダメ(1だけ)、2もダメ(2だけ)、3はOK、4はだめ(4だけ)、5はだめ(1と4)、6もダメ(2と4)というわけで$${a=3}$$、つまり36通りのうち、$${(a,b)=(3,6)}$$の1通りのみ、確率は$${\dfrac{1}{36}}$$ということになります。
 これで(ア)は乗り切れますが、(イ)は上のように表で一覧にしてしらみつぶしに考えた方がモレがなさそうですね。
 この考え方もあくまで「考え方のバリエーション」ということで触れておいて、中学段階での標準的な解き方としては(スマートなとき方からは時間がかかるかも知れませんが)やはりすべての場合を表にして、と言う琴をおすすめします。

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