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シェーン・ウィスカス(アメリカ)のつり輪/2021年全米選手権2日目の演技

つい先日、アメリカの五輪選考が終了し、男女計11名の代表が決まりました。女子の絶対女王、シモーネ・バイルズの東京行きが正式に決定しました。

男子の団体メンバーは4人中3人が五輪初出場。そのうちの1人が22歳のシェーン・ウィスカスです。
2019年にアメリカ代表に選ばれ、勢いそのままに東京オリンピック代表の座を勝ち取りました。

オールラウンダーで、特にゆかと平行棒を得意としています。
且つ、すべての種目で14点台が狙えるほど高いレベルでこなせる貴重な選手でもあります。
日本の萱選手のように、こういう選手は団体戦では重宝されるんですね。

さて、今回はシェーン・ウィスカスのつり輪の演技の紹介です。
前回は特に頻出な【ヤマワキ】【ジョナサン】という振動技2つと倒立技も2つ紹介しました。

今回からつり輪の肝である力技の紹介に入ります。
今回は力技の中でも特に頻出な、振動を使った力技の紹介です。

前回【後ろ振り倒立】という技を説明するときに【後ろ振り上がり】という動きについて説明しました。
2019年つり輪チャンピオン イブラヒム・チョラック(トルコ)のつり輪

(抜粋)
「後ろ振り上がり」は振動を使って体の向きはそのままに輪の高さまで体を上げること。

後ろ振り上がり

この動きはA難度の技として存在しており、足が下に来る純粋な支持の形を取ることで成立します

そして、当アカウント設立の初めの方に書いた 【体操競技】男子各種目の覚えておいた方がいいこと という記事のつり輪の項目では、力技の種類を教えましたね。

今回紹介する技は各力技に【後ろ振り上がり】の要素を組み合わせた3つの技になります。

・後ろ振り上がり十字懸垂(C)
・後ろ振り上がり開脚上水平支持(C)
・後ろ振り上がり中水平支持(E)

まずは【後ろ振り上がり十字懸垂】です。
十字懸垂とはこの形のことでしたよね。

十字懸垂

足が上を向いた逆懸垂の状態から、脚を振り下ろした振動を使って体を持ち上げ、十字懸垂の形で2秒静止する技。
つり輪におけるすべての力技は、2秒静止することで技として成立します。

振り上がり十字

十字懸垂は単体だとB難度の技ですが、後ろ振り上がりの要素が加わることでC難度になります。
もちろん振り上げるときに肘が曲がったら減点です。

次に【後ろ振り上がり開脚上水平支持】です。
開脚上水平はこの形ですね。

開脚上水平

これに後ろ振り上がりの要素を加えるとこのような技になります。

振り上がり開脚上水平

こちらも開脚上水平単体だとB難度の技なのですが、後ろ振り上がりの要素が加わることでC難度になります。
この技はつり輪のスペシャリストと呼ばれる選手以外の選手にはかなり多く使われる技なのですが、姿勢が不十分な選手が多いです。
しっかり腰が伸びていて、つま先が水平方向を向いている姿勢が好ましいですね。

最後に【後ろ振り上がり中水平支持】です。
中水平はこの形。

中水平

これに後ろ振り上がりの要素を加えるとこのような技になります。

振り上がり中水平

中水平は単体でもD難度と高難度ですが、後ろ振り上がりの要素が加わるとE難度になります。この技もDスコアが稼げるのでつり輪の得意不得意を問わず人気の技ですが、減点無しで実施できる選手は多くはありません。

以上、今回は特に頻出な3つの力技を紹介しました。

シェーンのつり輪の演技では、初めに十字懸垂の力技をやった後、②番目に【後ろ振り上がり中水平支持】、続いて③番目に【後ろ振り上がり十字懸垂】、前回紹介した④【ヤマワキ】、⑤【ジョナサン】から直接⑥番目に【後ろ振り上がり開脚上水平支持】をやっています。

シェーンの【後ろ振り上がり十字懸垂】はとても良い実施ですね。

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難度の高い【後ろ振り上がり中水平支持】は演技の冒頭に実施されることが多いです。スペシャリストともなると中盤や終盤に中水平を入れてくる強い選手もいます。


オリンピック代表決定を受けて、インスタグラムでお世話になった人たちに感謝を綴るシェーン。少年時代の写真がかわいいです!


アメリカの代表選手が決まった後、USAgymnasticsのサイトにアップされた写真がめちゃめちゃカッコいい!(男子の一番右がシェーン・ウィスカス)

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