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萱和磨(日本)のあん馬/2019年世界選手権予選の演技

日本団体主将、萱和磨選手です。
アテネオリンピックの富田洋之選手に憧れて体操を始め、今では富田洋之コーチの元で練習を積む萱選手。

2015年の世界選手権ではあん馬のスペシャリストとして出場し、予選、団体決勝、個人総合、種目別決勝と一度もミスをする事なく演技を完遂し、種目別あん馬では銅メダルを獲得しました。
2019年の世界選手権では種目別平行棒でも銅メダルを獲得しています。
日本団体は2016年リオ五輪で金メダルを獲って以降、世界選手権で2018,2019年と銅メダル続きでした。
長年のライバルである中国、近年力をつけるロシアに団体金メダルを明け渡している状況です。
2019年は内村航平選手を欠く中、団体の要として萱選手は演技をまっとうしました。 

さて、今回は萱選手の得意種目のあん馬から、下向き転向(ロシアン)での移動技を紹介します。
前回は1カ所で下向き転向を3周回す技を紹介しました。
今回紹介するのは、馬端から馬端まで移動しながら下向き転向(ロシアン)をする技です。
多くの選手が使う頻出技なので覚えておくと良いでしょう。

あん馬の名称

下向き転向(ロシアン)の周数が少ない順に紹介します。  
まずは【トンフェイ】です。
【トンフェイ】「両ポメル(画像②④)を挟んで馬端(画像①)から馬端(画像⑤)まで下向き180°転向」というD難度の技です。

トンフェイ

馬端から馬端まで直接移動するので腕が長い選手はよく使う技ですね。

 

続いて同じくD難度の【ロス】
 この技は馬背部分(画像③)を経由して馬端から馬端まで移動しながら下向き転向を1周(360°)もしくは1周半(540°)する技です。
 これは「下向き(ロシアン)360°(540°)転向3/3部分移動」という技になります。

ロス


そして【ウ・グォニアン】という技。
これもまた、馬端から馬背を経由して逆馬端まで移動します。
ここまでは【ロス】と同じです。
【ロス】と違うのは、【ロス】が1周もしくは1周半回るのに対し、
【ウ・グォニアン】は2周(720°)もしくは2周半(900°)回る事で成立します。
 これだと【ロス】より難度が上がってE難度になります。

ウ・グォニアン

 この技はE難度なのでよく使われる技です。
【ロス】【ウ・グォニアン】の見分けが難しいですが、下向き転向で回ってる時間が長ければ、それはきっと【ウ・グォニアン】だと思います。

 演技中はいちいち何周回ったかなんて数えてられないですもんね。
 萱選手のあん馬は頻出技の宝庫。
 セア倒立から入り、フロップ、コンバインを経て、今回紹介した下向き転向の移動技を3つ、【ロス】→【トンフェイ】→【ウ・グォニアン】の順に実施しています。
 そのあとは開脚での【マジャール移動】【シバド】をして終末技もD難度のおり技です。

画像5

 萱選手はリオ五輪以降、個人総合で力を入れており、あん馬以外の種目の強化を図ってきました。
そのため、あん馬はこの演技構成を2020年までずっと続けてきました。
しかし、先日の全日本種目別選手権で、6年前に世界選手権で銅メダルを獲った時に使っていた大技、【ブスナリ】を復活させて得意種目あん馬の難度を上げてきたのです!
跳馬の得意な3人が団体に入った事で、自分の跳馬での不安要素を取り除き、得意種目に集中できる環境ができ上がっています。
失敗しない男という異名を持つ萱選手。
東京オリンピック本番でも、ブスナリを入れた構成を無事に成功させてくれるでしょうか。楽しみです。



追記:団体決勝はゆか、跳馬以外の4種目に出場します。すべて1番手です。
「失敗しない男」がこれほどまでに頼もしいことはありません。
最高の舞台でいつもの演技を見せてください!

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