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【カスタマーサクセス】顧客ヘルススコアはどのように活用すべきか【事例紹介】

どうもタイゾーン(@tai_zoone)です。

YouTubeの市場調査、インフルエンサーマーケティング、YouTubeチャンネルの運営、カスタマーサクセスを日々仕事にしています。

今日はカスタマーサクセスの記事、ヘルススコアについて書いていきたいと思います。

扱っているサービスについて

私が扱っているのは、kamui trackerというYouTube分析ツールです。BtoBで月額は最低でも10万円~の商材となっています。AppAnnieなどをイメージしてもらえると分かりやすいと思います。

こういう事例、「うちとは商材が全然違う」と読んでいる途中に思うことはあるあるなので、先に書かせていただきます。ただ、考え方は参考になるかと思います。

ヘルススコアの算出方法について

さて、今回の記事はヘルススコアの活用がメインなので、ヘルススコアの算出方法についてはサラッと書きます。

基本的には、ユーザーの利用データをGoogleAnalyticsで管理していて、各機能のイベント数を元にヘルススコアを見ていきます。

具体的には、数百ある機能のうち、計測する機能を2-4個まで絞り、それぞれ機能ごとの利用状況を[good][normal][bad]の3段階に分けて、それぞれを3ヶ月の期間で見ていきます。

機能A:good
機能B:bad
機能C:bad

みたいに管理し、最終的な企業ヘルススコア
[normal][1bad][2bad][3bad]
と判断しています。

A機能&B機能が今月bad ->[2bad]
B機能が3ヶ月連続bad ->[3bad] みたいな感じです。

スクリーンショット 2020-11-15 16.13.59

ヘルススコアは行動に結びつかない

ヘルススコアを出すことで、利用が進んでいない企業は月初に把握できるようになりました。具体的にどの機能が使えていないという情報もあるため、オンボーティングの内容も自然と決まってきます。

ですが、ヘルススコアを作っただけでは実際にCSM(カスタマーサクセスマネージャー)は行動できないのです。
え?何故?と思うかもしれませんがそういうものなのです。

・[3bad]だが、この前アプローチしたので、すぐにはオンボーティングできない。
・連絡したけど、返ってこない
・ヘルススコアは3badだが、特定の機能を気に入って使ってくれているのでチャーンの心配はない

などなど、ヘルススコアの精度に絶対がない以上[3bad]でも放置してしまう企業は少なくありません。
つまり利用状況が悪い([3bad])=即行動すべき企業ではないことが実際はかなり多いのです。

ちなみに、ヘルススコアを利用状況以外の値で管理しているところは、後々紹介する内容に近い事をしているのだと思います。

カスタマーマーケティングがデータを管理する

さて、話は変わりますが、弊社ではカスタマーサクセスが
・カスタマーコンサルチーム(主にオンボーティング)2.5名
・カスタマーマーケティングチーム(利用データ、ヘルススコア管理)1.5名
・カスタマーリレーションチーム(問い合わせ一次対応)1.5名

という少数チームで構成されています。

ヘルススコアを作成するのは、カスタマーマーケティングチームですが、ヘルススコアを活用して行動をするのはカスタマーコンサルチームとなります。

ここで問題なのは、
カスタマーコンサルチームは普段クライアントとコミュニケーションを取っているので、ヘルススコア以上の情報を持っていることが多く、実際に[3bad]と出されていても、感覚的に大丈夫と判断してアタックしないことが多くあります。
ちなみにこの判断自体は悪いものだと思いません。ですが、大丈夫だと判断する基準がメンバー間で違うというのはメンバーの行動量に差が出たりするので大変危険で、そこは改善すべき課題となります。

同じようなカスタマーサクセスチームは意外と多いのではないでしょうか?

行動の判断はカスタマーマーケティング

カスタマーコンサルチームの行動を個々の感覚による判断ではなく、データドリブンにしないといけません。

そこで、カスタマーマーケティングチームが軍師となり、カスタマーコンサルチームが武将という関係値が望ましいと考えました。
軍師の言うことを信じ、武将はガムシャラにアタックしにいくだけです。
そして、武将は戦果を詳細に軍師に伝えます。

いきなりキングダム風に解説してしまいましたが(笑)、ここで言っているのは、
マーケティングチームの指示で動いたコンサルチームが打ち合わせ後に、議事録をSalesForceでしっかりと管理し、マーケティングチームは議事録を元にいつ誰がどのようなオンボーティングを行ったのかを細かく管理するようにした。ということです。

ヘルススコアは行動判断の1指標に過ぎない

軍師であるマーケティングチームがコンサルチームに指示を出すには、単に企業のヘルススコアが[3bad]だからという理由だけでは勿論足りません。

・前回の打ち合わせから●ヶ月以上経過している。
・キーマンとの関係値が低い。
・契約してからまだ日が浅い(3ヶ月以内のオンボーティング超大事)
・連絡が無視されている/定期的に連絡が取れている

このような複数の情報を掛け合わせて考えなければいけません。
さすがに、先週オンボーティングした企業にもう一度オンボーティングしてください。とは言えないですよね。

※ちなみに弊社では毎週月曜日の朝にマーケティングチームから今週どこにアタックすべきかの共有を行っています。

スクリーンショット 2020-11-15 16.33.58

実際このように細かいステータス(画像はその一部)を管理しています。
来週打ち合わせ予定がある企業に対して軍師は「今週オンボーティングに行け」と指示を出す必要はないですからね。

見てもらうと分かるように、HS(ヘルススコア)は行動すべきかどうかの判断の1材料でしかありません。

軍師(マーケティングチーム)の判断もデータドリブンでないといけない

さて、この指標を管理するマーケティングチームも独自の判断で「オンボーティングに行け」と指示を出してしまっては元も子もありません。ここも全てデータで管理する必要があります。

そこで、今はすごく簡易的な足し算と掛け算でポイントを作成しています。

スクリーンショット 2020-11-15 16.37.46

この対応ポイントを算出する際、HS(ヘルススコア)の重みは高く設定しています。

スクリーンショット 2020-11-15 16.39.48

ヘルススコアが悪いと対応ポイントが高くなるように自然と点数を割り振っています。
※意外とシンプルな足し算・掛け算でぽいものが作れました。もっと拘りたいけど。

あとは、この計算式を月一回微調整しながら精度をあげていくということをしています。
コンサルチームから、「ポイント高いけど、対応すべきではない」と言われた場合、何かがズレていることを示唆します。そういった微調整を繰り返しながら現在運用していますが、2-3ヶ月程でだいぶ納得感のあるポイントに落ち着きました。

対応ポイントを導入して得られた効果

まず、指示をコンサルチームからマーケティングチームにしたことで、独自の判断による行動が減りました。現在のコンサルチームは若手が中心だったこともあり、行動判断を別チームに移せたことで行動量のバランスは保てるようになったと思います。

また、対応ポイントという形で現実をつきつけられると、各指標に矛盾がない限り行動するしかなくなります。
「頭では分かっていたけど、打ち手がなかったので行動できていなかった」という企業に対しても「打ち手を考える」というタスクがしっかり積まれるようになりました。
ちなみに計算式も見れるので、何が原因でポイントが上がっているのかも明確です。

さ・ら・に!

打ち合わせ後に忘れがちな議事録をSalesForceに登録するという意識も上がったと思います。他のチームが利用するというのが明確になっているため、自分が議事録を記入しないと迷惑を掛けてしまう仕組みのためです。

ここまで読んでいただいた方は分かったと思いますが、他の企業ではこの対応ポイントを「ヘルススコア」として使っていると思います。
もし、利用状況のみで「ヘルススコア」を作成してうまく活用できていないという方はこのやり方を参考にしてみてください。

ちなみに自分もまだまだ試行錯誤の途中です。カスタマーサクセスという組織作りは深過ぎてゴールが見えないので、ぜひ「こういうやり方をしたらうまくいった」という例があれば私に教えてください(笑)

カスタマーサクセスは、企業間で情報がシェアしやすい職種だと思うので、お互いに発信して、カスタマーサクセスの質が上がっていくと良いですね。

これからもマーケティング、カスタマーサクセス担当者にとって役に立つ情報を発信していきます。