【詩】七夕
海面鉄道を列車が走る。
星の満ちた海を渡る。
海 そう、海なのだ。
川より広く
涙より辛い海なのだ。
朽ちた橋の傍を渡る。
海面鉄道列車が走る。
他人行儀なカササギが
切符を拝見、と目を合わす。
僕は
僕はいつもの往復切符を
カササギ車掌に放り投げ
ベガ十二時発アルタイル行の
片道切符を星に翳した。
星 ああ、星なのだ。
君はずっと星なのだ。
握ることなく手を握り
触れることなく君に触れ
僕はずっとこうなのだ。
アルタイル発の列車が走る。
海面鉄道列車が走る。
二枚の切符を水面に翳し
いつかの君の声を想う。
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