見出し画像

【詩】本当に最後まで好きだった。

消しゴムを忘れたから、
この文字は消せなかった。
まだ夜は続いてるのに、
あの子はずっと朝だった。
眠らない羊を数えても、
眠れるはずがなかった。

オレンジ色のバラが、
三輪だけ咲いていた。
夜の中で、
それだけが、
朝日みたいに光っていた。
いや、光っていたのは水滴だった。
水の分子と花弁の繊維は、
交わるはずがなかった。
夜に存在する水分は、
少し塩からい×××だけだった。

だから、
ばいばいだった。
明るいどこかに向かって
爽やかな風と一緒に歩いていく
あの子の背中に言ったのは、
ばいばいだった。

だけど、
やっぱり、
まだ、
朝になりたいと
願っていた。

バラが、
食べおわらないんだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?