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【詩】スケープ・ゴースト・ビルディング

「なあ知ってるか? このビルお化けが出るんだぜ」
全く何を言い出すのか。
お化けなどいるはずもない。
いるのなら、化けて出るべき人が来ないのはおかしいだろう?

「なんだよ。だからこうして出てきてやったのに」
お前はそうだが違う。違うんだよ。

「僕に会いたくなかったか?」
会いたかったさ。だから、ここにいると余計に悲しいのだ。

窓を開けると埃が舞って、積年の愛憎が散り散りになる。光らない。月明かりでは足りないのだ。この場所を照らすには。手をかざす。あの日と同じように。届かなかった場所に指先を。冷たい、夜への桟橋。

俺は、スケープ・ゴーストを救うために来たんだ。

掴んだはずの腕をすり抜けて落下する。目を開けると、朝靄の中、また同じバス停に立っていた。


舞台『スケープ・ゴースト・タウン』の原作詩、4篇目です。
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