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【時事抄】 上司も部下も外国人

数ヶ月前のこと、自宅近くの古びた民家の解体工事が行われていました。重機を操作する人、廃材を運送車両に積み上げる人、いずれも外国人の方でした。東南アジア系とアラブっぽい顔立ちの、多様な国籍と思われる4〜5人の男性でしたが、目に止まったのが現場監督とみられる指示役で、恰幅の良い中年女性!でしたが、こちらも東南アジア系でした。

都内の閑静な住宅地で行われた解体作業に従事する作業員が全て外国人という風景。彼ら彼女らは何語で会話しているのだろう?という疑問とともに、これが日本の現実と感じ入りました。外国人労働者に頼らなければ物事がまわらなくなっています

今朝の日本経済新聞で紹介されていた記事を見てみます。

<要約>
語学力や海外調達、海外への販路拡大を見込み、外国人を管理職に登用する中小企業が増えている。日本で働く外国人材は、2023年に初めて200万人を超え、増加する外国人の「まとめ役」の重要性が増したことが背景にある。従来の現場中心とする外国人労働者の位置付けが変わってきている。

北九州市のパルプ製造メーカーでは、材料調達を担う購買課長に外国人を登用した。韓国企業との取引が増えるなかで営業として採用されたが、正確な仕事ぶりが社長の目に止まり、本社の課長に抜擢された。海外からの資材調達を増やして原材料費の価格高騰の影響を抑える貢献を果たしている。

大阪市の金属加工メーカーは、技能実習生として来日したベトナム人が10人の部下を従えた工場長を務めている。社員の半数がベトナム人というこのメーカーでは、日本人採用が年々難しくなる一方、若い社員は外国人ばかりになる。こう同社社長は予想している。

東京都の人口知能の開発会社は、インド人が取締役に就任する。新規事業であるエンジニア評価システム開発の責任者となる。この会社に勤める7割のエンジニアが外国人で、流暢な英語力と日本語で外国人従業員と日本人社員をつなぐ「ブリッジ人材」として活躍している。

国際協力機構(JICA)は、政府が示す公的年金制度の給付水準を維持する成長シナリオならば、674万人の外国人材が必要と推計する。円安が進行して賃金面から見た日本の魅力が薄れてきていて、日本で就労を希望する外国人は91%と高水準ではあるものの、22年調査より5.8ポイント低下している。

日本貿易振興機構(ジェトロ)の専門員は、外国人の活躍には文化や生活習慣、宗教などの国内外の違いを理解したまとめ役が必要で、中小企業が管理職に登用する動きはさらに強まる、と指摘する。

(原文2060文字→756文字)


現在200万人を超えた外国員労働者は、記事にあるように700万人近くまで更に増やさないと、社会保障制度が回らないと試算されています。生産年齢人口は現在約7200万人、これが30年後には5000万人弱へ減少すると推計されており(出生率から見てほぼ確実な数字)、人手不足は深刻です。

円安の進行によって、日本での就労を希望する外国人が減っているというデータがありますが、治安が良く、社会的インフラが充実した日本での暮らしを望む外国人の数は今も多い。需要のあるうちが花。避けられない現実を前に、徐々に外国人に門戸を開いていくことになるのでしょう

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