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【時事抄】 日本の長期金利もついに上昇開始

いよいよ、日本の長期金利も上昇が鮮明になってきました。日本を除く世界主要各国は、インフレ沈静化に向けて短期金利を引き上げてきましたが、長期金利は経済の基礎的条件で決まるのが定説です。経済成長物価上昇を市場が織り込んで日々の値に反映されます。

とはいえ、記事では日銀の政策判断が長期金利の急上昇の要因とする市場関係者の声を伝えています。教科書的な定説と異なる見解に疑問に思うところもあって、この日本経済新聞の解説記事を取り上げてみました。

<要約>
長期金利の代表的指標である新発10年物国債利回りが29日、1.075%に達して12年半ぶりとなる高水準を付けた。日銀の早期利上げ断行の思惑、国債買い入れ方針の不透明感から、債券への買いが入りにくい。今月末に公表される日銀の国債買い入れ方針に市場は注目する。

長期金利上昇は、固定金利の住宅ローンの利率を引き上げ、住宅販売にも影響を与える。企業の資金調達コストの増加も招く。一方、定期預金や個人向け国債利回りの改善を通じたプラスの効果もある。日銀が金融緩和路線からの路線変更に舵を切りつつあるなか、適正な長期金利の水準を探っている。

しかし、今の長期金利上昇は、「良い金利上昇」とは言えない状況だ。16日に内閣府が発表した1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比(季節調整値、年率換算)で2.0%減と市場予想を下回った。日本経済が好景気に至らぬなかでの金利上昇であるからだ。

この上昇の背景は何か。市場関係者は日銀の政策を巡る不透明感を上げる声が多い。次回会合での利上げ観測に加え、日銀の国債買い入れを巡る不透明感が市場参加者を慎重にさせている。

債券市場における国債の最大の買い手は日銀だ。その日銀は、市場参加者の予想に反して4月の買い入れ減額をしなかった。これで市場参加者は日銀が国債の買い入れ規模をしばらく据え置くとみた。

ところが5月、一転して残存5~10年の国債買い入れを500億円減らした。この一貫性に欠ける日銀の対応に、市場参加者は日銀の意図を測り兼ねている。「利上げ期待と国債買い入れの減額観測を背景にした需給悪化懸念」により金利の振れ幅が大きくなっていると専門筋は指摘する。

今月末に公表する6月国債買い入れ予定、6月13~14日の金融政策決定会合に注目が集まる。27日には日銀 内田副総裁が足下でインフレが定着し「これまでと違う」とコメント。この金利上昇は、日本でも想定以上の金利引き締め局面が来るかも、という市場の警戒感を反映しているのかもしれない。

(原文2011文字→847文字)


バブル経済の華やかなりし頃、10年もの長期金利は6~8%台で推移し、郵便局の定期預金なら2年も預ければ8%の利子がつく、という時代でした。

ところが、21世紀に入るや長期金利は1%台にまで低下し、リーマンショック後はついに「金利のない世界」が常態化しました。日銀の政策によるもの以上に、これが世界的な傾向だったのだと考えています。

この世界的な長期金利の低迷を、当時マエストロと尊称されたアラン・グリーンスパンFRB元議長は「謎」だと語っていました。

出所:ニッキンOnline
https://www.nikkinonline.com/article/128473

恐らく、21世紀初頭のWTO加盟を機に台頭した中国が、実物経済と金融経済の両方で世界に組み込まれ、モノとカネの巨大な需要者と供給者を同時に産み、世界各国の経済成長と低インフレの両立をもたらしたと疑っています。

いまや関税や貿易圏で中国を締め出し、その帰結として、古典的なインフレ経済が呼び戻されている。日本の長期金利上昇も、教科書的な「物価上昇の織り込み」による上昇という文脈でとらえた方が見誤らないと思う。

ま、記事を読んだ素人の考えです。

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