小さい秋、見つけちゃった。
(トップ画像の丹沢大山は全く関係ありません)
小さい秋見つけた。
園芸家、もとい現代のベランダーどもの言う「小さい秋」とは、秋植え球根や冬型塊根の目覚めのことを言う。
あの過酷な夏を一滴の水も飲まず(厳密には雨水が吹き込んできた可能性はあるが)、耐え凌いできた。
奴らがついに狼煙を上げ始めたのだ。
まず気づいたのはマッソニア ピグマエア。
こいつは毎年いちばん初めに目を覚ます。
我が家に迎え入れて3〜4年目になろうか。
たいした世話もしてないのに毎年目を覚ましかわいい花を咲かせてくれる優等生だ。
お迎えする時、「球根には寿命がある」と言われたので、毎年この時期になるとヒヤヒヤするのだが、今年もまた無事あの愛くるしい花を愛でられるようだ。
ピグマエアたちの目覚めを確認したので他の鉢にも目をやると、いた。
オトンナ ユーフォルビオイデス。
「黒鬼城」と言ういかつい和名を持つ植物だが、我が家にいる株はまだ小さく、言うなれば黒鬼小屋くらいだろう。
いつからだろうか、成長点あたりから白いワタ状ののようなものが付き始めた。
水は一滴もやっておらず、その証拠に基部は痩せこけていっていたのだが、その時俺は白カビが生えたのだと思った。
「水もやってないのにカビなんて…」とは思ったのだが、生えてしまったものは仕方ない。痩せこけたのは根腐れでもして中が腐ったのだろうと早合点し、気が向いたら処分しようと思っていたところだった。
それが伝わったのだろうか、そのワタ状のところから新芽を出して生存報告をしてきた。
なんなら蕾もあげ始め、株が充実してきた報告も付けてきた。
これは嬉しい誤算だ。
塊根植物の夏越しはなかなか難しい。春の水やりのやめ時を見誤ると腐ってしまう。万一ゲリラ豪雨が休眠中の鉢の中に入れば翌日の晴天で一気に蒸し上がってしまう。
ベランダのいちばん奥とはいえ、雨が吹き込んできてもおかしくない場所ではあった。ヒヤヒヤしつつも取り込み作業が億劫で植えたまま放置していたので、早とちりしてしまった状況が現実になってしまってもうなづけたであろう。
自分の後回し癖に助かった。
黒鬼小屋の営業再開に安堵し、他にもやってるかと思ったら最後に彼も控えめに声をかけてくれた。
亀甲竜だ。
学名はディオスコレア エレファンティペスだが、この名前ではあまり呼ばれない。亀甲竜の方が一般的だ。
この子が我が家で夏を越すのは二回目だ。
我が家には亀甲竜が二鉢ある。
丸っこいのとゴツゴツしたの。形の違うもので生育に差があったりするのかなと思ったのだが、わりと違いがあって面白い。
今回目覚めを確認したのはゴツゴツした方だ。
この子は昨年の目覚めが遅かった。あまりに遅いので枯れたのだと思い掘り返したところ、根っこが出てきたのを確認したため慌てて植え直したのだ。
今年はそんなことがないよう、早々に発芽してくれたのだ。ありがたいことだ。
さて、この三方の目覚めをもって、我が家には秋が到来しちゃったのだ。ニュアンスとしては「してしまった」のである。
なぜそう思うのか。秋の到来は喜ばしいことだ。ひどく息苦しい夏が終わり、気候的に過ごしやすい季節だ。植物どもは過酷な冬に向けて力を蓄える時期である。何を憂う必要があるのか。
俺が憂いているのは…植え替えがまた遅れてしまったことである。
秋植え球根の植え付け時期は総じて8月末から九月半ばと相場が決まっている。
まだ根っこがちゃんと出てこない時期に植え付けることで、しっかりと新しい土壌に根を張れるようにするためだろうか。
だが例によって奴らの発根時期は予測不能だ。なんせ根っこは土の中にあるのだから。
世の園芸家はその目に見えないものとの対話を通して充実した自分の庭を築くのだが、俺のようなベランダーにはそんな目に見えないものを構ってやる余裕なんぞない。いや、正確には根腐れだとかには気を払っているつもりだが、葉っぱが出てきたら嬉しくて水をジャバジャバやってしまうこともあるし、めんどくさくて水やりを1週間止めることもある。そうして地表に症状が出始めてから慌てるのだ。
今回も例に漏れず俺は慌てふためいている。
例えばマッソニア ピグマエア。こいつはありがたいことに年々球根を太らせ葉っぱを丸く大きなものにさせている。そのため葉が完全に展開する頃には鉢から葉っぱが出てしまうか、鉢の淵にあたり土中に戻ってしまうかのどちらかである。しかも球根が近いからか、隣の花を葉っぱで隠してしまったりすることも多い。
自分が狭い部屋で窮屈にやってる分には構わないが、我が愛する植物に狭い思いをさせたくはないのは全ベランダーの総意であろう。
だから今年こそは植え替えをしようと決めていたのだが、ここ最近の休日はもっぱらウクレレにお熱で植物どもの世話は全然できていない。
だんだん涼しくなってきたし液肥の再開どきだろうかとか、春に植え替えそびれた洋蘭どもも早めに植え替えなければとか色々考えてはいるのだが、全くもって何も手をつけられていない。なんなら生育盛んなこの時期に水やりは週1〜2しかしていない。実にもったいないことをしてしまっているのだ。
だから今週末の三連休は滞った仕事を一気に片付けなければいけない。
幸い天気は悪い。天気が悪けりゃ家から出る気も失せる。となればウクレレ…ではなく園芸に集中することができよう。うん。
そのためには今からモチベーションを高めていかなければいけないのだ。だからnoteを開いた。
見よ、我がベランダに秋が来た。目覚めの時期が来た。
鉢をもて、土を持て、タライを引っ張り出せ。
遅くなる前に、今年こそ我がベランダに安寧をもたらすのだ。
あ、土曜日丹沢天気良さそうかも…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?