見出し画像

日常生活の至るところで「旅」を感じたい。Everyday Excellence and People vol.4 片渕ゆり/ぽんず(フォトグラファー)

気になるあの人は、どんな暮らしをしているんだろう。

さまざまな分野で活躍する彼らの日常から、私たちがもっと素晴らしい毎日を送るためのヒントを見つけるインタビュー企画。「台湾エクセレンス賞」のコンセプトである「Everyday Excellence」を体現する方々に、暮らしへの考え方やこだわりについてお伺いしていきます。

「台湾エクセレンス賞」とは
1993年に台湾の経済部(日本の経済産業省に相当)によって始められた、優れた台湾ブランド製品に贈られる賞のこと。台湾産業界のオスカー賞とも呼ばれています。研究開発、デザイン、品質、マーケティングにおけるその卓越性に基づいて選出され、製品に台湾エクセレンスのロゴがあればその製品は信頼できて購入する価値があると言えます。

第4回目は、フォトグラファー / ライターとして活躍されている、片渕ゆり(ぽんず)さん。

カメラを片手に世界を見て回り、そこで感じたさまざまな気持ちを、写真・文章とともにnoteやSNSで発信してきました。2021年に出版された、世界中の心ときめく建物や風景を集めた写真集『旅するために生きている』(KADOKAWA)では、風景や建造物をそれぞれの「色」をテーマにまとめることで、各国の美しさを伝えると同時に、新しい旅の楽しみ方も提案しています。

今回は、そんな片渕さんに「日常の中にある楽しみ」をテーマにインタビュー。旅を仕事にするまでの軌跡や、自分の強みを作るために大切にしている習慣、そして台湾との出会いや、台湾製品に感じる魅力などについて、お話を伺いました。

PROFILE:片渕 ゆり(ぽんず)
1991年生まれ、佐賀県出身。京都大学総合人間学部卒。コピーライターとして働いたのち独立、2019年より旅暮らしを開始。現在は東京を拠点にフォトグラファー・ライターとして活動中。
X(旧Twitter)@yuriponzuu
Instagram @yuriponzuu

大人の反抗期から始まった!? 片渕さんの旅する人生

ー ライター/フォトグラファーとして活躍されている片渕さんですが、キャリアの出発点について教えてください。

もともと言葉に関わる仕事がしたいという思いで、新卒ではメーカーに入社して、広告作成部のコピーライターとして働いていました。有給などを利用して海外旅行をしていたのですが、もっと旅がしたいという気持ちが増して…。

自分のキャリアに疑問を持つことも増えてきたので「もういっそのこと、好きにやってみよう!」という気持ちで退職を決めました。そこからは貯金を切り崩す生活にならないように、さすがに何かやらなきゃ、という感じで、撮影やライティングの仕事を個人で受け始めたのがキャリアの始まりです。

ー なんと! 随分とチャレンジングな決断だったんですね。

今思えば、もうちょっと計画的にやっておけば… と思うこともあるんですが(笑)。
私は長女気質なところもあって「しっかりしなきゃ!」みたいな気持ちが子どもの頃からずっと強かったんです。だけど、なぜか突然吹っ切れて。自分で働いて貯めたお金なんだし、好きにしてやる〜! みたいな(笑)。大人の反抗期みたいな感じでした。

それで会社を辞めたのが、2019年の秋。さあこれからたくさん旅に出るぞ! と意気込んでいたところで、予想もしていなかったコロナ禍に突入してしまい、楽しみにしていた旅行も、夢だった海外取材のお仕事も実現できないまま、フリーランスとしての日々が始まりました。

撮影:片渕ゆり

ー それは本当に辛い時期でしたね…。まさかこんな状況になってしまうとは…。

そうなんです。だけど、それならフリーランスとして本腰を入れて働いてみよう! と決意することもできました。これまでの趣味や仕事の経験を生かして企業のSNS運用のお手伝いをしたり、知人の撮影に同行させてもらったり、今まで書いていなかったジャンルの記事を書いてみたり…。今のキャリアの土台となる仕事や案件を個人で受けるようになりましたね。

ー 与えられた環境から、道を切り拓かれていったんですね。
2021年に出版された写真集『旅するために生きている』(KADOKAWA)は、過去に海外で撮りためた写真を再編集しているのでしょうか?

はい、そうです。自分の誕生日に「誕生日だから言うけど、本を出すのが夢です!旅の写真集を出したい…!」と、X(当時はTwitter)にポストしたのがきっかけで、出版社の方から声がかかりました。夢を叶える秘訣の一つは、やっぱり口にすることだなと感じたできごとですね。

旅との出会いと、ひとつの旅を味わい尽くすための工夫

ー もともと片渕さんが「旅」と出会ったきっかけは何だったのでしょうか?

今みたいに一人旅を楽しむようになったのは大学生のときですが、一番最初に「旅が好き!」と自覚したのは小学生の頃ですね。私は佐賀県の出身なんですが、佐賀って韓国にすごく近くて。博多港から出る高速船に乗れば、片道3時間ぐらいで韓国に行けるんです。なので私にとっては、家族と韓国旅行へ行くのが何よりの楽しみでした。

そこで驚かされたのは、町並みも人の顔も日本とすごく似ているのに、そこにある文化は全然違うということ。その面白さが、原体験として心に残っていますね。

撮影:片渕ゆり

ー 世界各地を訪れたことのある片渕さんですが、「片渕さん流の楽しみ方」みたいなものがあれば教えてほしいです。

これは旅というか、自分にとっての「心地よい暮らし」につながる話なんですが、私は常に ”日常生活の中にいかに旅を取り込むか?” を考えているんです

次の旅のことを考えている時間って本当に幸せですよね。なので、旅の計画を立てるだけではなく、その土地に関する本を読んだり、映画を見たりして過ごしています。いつもと変わらない日常だけど、気持ちだけはどこか別の場所にいる、みたいな時間が大好きで。そんな風に感じられる環境を意識的に作っていますね。

ー わあ、素敵! 出発する前からもう旅は始まっているという感覚なんですね。

そうなんです。旅の前や旅の最中もそうですし、もちろん旅から帰ってきたあとも同じで、旅行中に撮影した写真を編集しつつ、現地で聴いた音楽を検索して、その土地で知った曲のプレイリストを作ったりもします。出発前に観たときはただの背景だった映画の中の景色も、行ったあとにもう一度観てみると「あ、ここ分かる!」ってなったりするのが嬉しくて。

いつでも旅ができるわけじゃないからこそ、一回の旅を色々な角度から楽しみたいし、貪欲に、骨の髄まで吸い尽くすぞ! という強い気持ちがあります(笑)。

雑貨や小物も大好きなので、日常で取り入れやすい食器や文房具を自分用に買ってきて、自宅で使ったり…。自分の生活空間に少しずつ旅のモノを取り込んでいくのが好きですね。

撮影:片渕ゆり

ー そういう楽しみ方は、昔から自然にやっていたのでしょうか?

高校生の頃から、旅の思い出を写真やコメントをたくさん入れた「プリ帳」みたいな感じで作ったりしていましたね。今の楽しみ方の源流のようなものは当時からあったと思います。

意識的に旅を日常生活に取り入れようと思ったのは、一人暮らしを始めてからです。限られた休みを数えながら旅する日々だったからこそ、「実際に行けなくても、せめて気持ちだけは旅を感じていたい!」という想いがあったのかもしれません。縛りがあることで、逆に工夫するようになったというか……。

ー ちなみに片渕さんの旅中はどんなスタイルですか? 事前にしっかり計画を立てたり…?

かなり、せかせかしてると思います(笑)。旅慣れた人によくある、何も決めずに現地へ行ってその場の出会いで考える! みたいなことはあまりなくて、わりと入念にリサーチしてから行くことが多いですね。このスポットは人が少ない時間帯に行きたいから、絶対この時間に起きる! とか、細かいところまでスケジュールを立てることが多いです。

ただ、おそらく他の人の2〜3倍ぐらい同じ場所にいますね。半日で観光できるとガイドブックに書かれている街なら、2~3日は滞在したり。

まず初日は普通に見て回って、2日目は撮影をして、3日目は、初日に通らなかった路地裏を散策して…。非効率なんですが、こうすることでようやく「その街を見尽くした!」って思えるんです。

ー そんな風に撮影されていたんですね! 片渕さんの写真に映し出されるスローな空気感、その理由が少しだけ分かったような気がします。

自分の武器を増やすためのインプットが、新しい景色を見せてくれる

ー 最近は会社員としての仕事もしながら個人の活動もされているそうですが、毎日のスケジュールはどのような感じですか?

大体朝の時間帯に英会話のレッスンを受けて、始業時間からは会社の仕事、そして会社の仕事が終わったあとの時間を、個人の仕事や創作に充てていますね。今働いている会社は、副業もOKで比較的自由な環境なので、旅に関わる仕事も続けています。

前職を辞めてからはフリーランスとしての生活も楽しんでいたのですが、ずっと一人で働いていると、自分の頭で考える以上のアイデアは出てこないし、なにか新しい挑戦をしたいと思ったときの選択肢も限られるような気がしていて。会社員としてまた働くことで、自分の可能性を広げられるかも! と就職を決めました。

撮影:片渕ゆり

ー 最近は中国語の勉強も始められたとSNSで拝見しました。さらに「短歌」の創作も始められましたよね…!?

そうなんです。やっぱり理想としては、これからも旅の仕事の分量を増やしていきたいですし、そのためにも自分の武器を増やしたいなって。中国語の勉強を始めたのも旅のためで、言葉が話せるようになることで旅先での情報量も全然変わってくるし、今まで気づくことのできなかった発見ができたらいいなって。

短歌については、たまたま友人と「やりたいよね」という話になって、SNSで宣言して始めてみることにしました。実は、 ”旅の思い出を残す” とか ”その一瞬を閉じ込める” という意味で、短歌と写真はすごく通ずるものがあると感じています。そのときの景色や感情を一首一首にすることで「なんかあの瞬間良かったよね」というのを覚えておけるんです。

もしかしたらこれも、ひとつの旅を色々な角度から楽しみ尽くしたいという気持ちの表れかもしれません(笑)。

撮影:片渕ゆり

ー なるほど… 短歌と写真が似ているというのは、意外な発見です! そうした自身の創作活動が、今は日常の中の楽しみになっているのでしょうか。

日常の中にある楽しみや幸せって、私にとってはそういうものです。
だからあまり難しく考えずに、何でもいいから自分で作ってみる、やってみることを大事にしています。

短歌については、一緒に始めた友人と「まずは100日続けよう」ってことで始めたので、まずは100首。最短ルートが分からないなら、一旦数をこなしてみよう! っていうマインドです(笑)。実は、会社員からフリーになったときも、note を500日更新を続けていたんです。そのときも、少しでも出し続けることで見てくれる人がいるんだなという実感がありました。

文章なのか、写真なのか、短歌なのか… なんらか出し続ける。それによって見ることができた新しい景色があるので、この習慣やマインドはこれからも大切にしていきたいなと思っています。

自然体の自分を受け入れてくれる、台湾の居心地の良さ

ー 片渕さんが台湾に行かれた際に撮影された写真を拝見したんですが、可愛らしさと懐かしさが詰まっていて、とっても素敵でした!

ありがとうございます。私は「いわゆる絶景!」みたいなものよりも、日常に近い風景が好きなんです。台湾は街の至るところにディテールが可愛いものがあったり、ガラスの細工が素敵だったり、看板のフォントが懐かしかったり。写真を撮っていてもすごく楽しくて、ただ街を歩いているだけでもワクワクしました。

ー もともと台湾へ行き始めたきっかけは何だったのでしょうか?

最初に台湾へ行ったのは、大学時代のシェアハウスの仲間で、それがすごく楽しかったので、社会人になってすぐに、女友達との海外旅行先に台北を選びました。

それからまたしばらくして、今度は家族で旅行へ行こう! となったときに、じゃあやっぱり台湾だ!って(笑)。そのときは台北だけでは物足りず、自分だけ延泊して、南部の台南に行きました。それがすごく楽しかったのを覚えています。

撮影:片渕ゆり

ー 台南での滞在で、特に印象に残っていることはありますか?

具体的な出来事としては沢山あるんですけど、個人的にいちばん印象に残っているのは、台南にいるときの自分が好きだな、と思えたこと。せっかちだったり、ルールに縛られていたり… っていう普段の自分を、台南にいる間はなぜだか忘れられたんです。

ただかき氷を食べているだけなのに「それ全部食べられる?」と他のお客さんが自然に喋りかけてきたり、気がついたらなぜかお店の人とツーショットで写真を撮っていたり(笑)。お互いに言葉が通じなくても交わっていくというか、ニコニコ愛想を振りまいているのとはまた違う、ゆるい繋がりを感じました。

必要以上によそ者扱いもされず、自然体のまま、自分を扱ってくれる感じがとっても心地よかったのを覚えています。普段の自分の嫌なところをしばしの間忘れさせてもらえて、この場所にずっといたいし、ここだったらずっといられるな、みたいな感覚がありましたね。

撮影:片渕ゆり

ー すごくわかります…! 台湾の人たちの懐の深さによるものなのかもしれないですね。ちなみに、帰国後も日常の中で台湾を楽しむために、買ったものはありますか?

便箋やマスキングテープ、可愛い文房具なんかを購入しました。台湾の建物やタイル柄のマステなども…。

次回台湾へ行ったら買いたいなと思っているのは、ガラスペン用のインクですね。台湾の文房具って、日本にありそうでないものが多くて。個人のクリエイターさんが活躍されている印象もありますし、ここでしか出会えない ”一期一会感” に心がときめきます!

超小型圧縮マシン「VAGO-Z」、ここが自動化できるんだ! という発見

【2020年度 台湾エクセレンス受賞製品】
VAGO 「VAGO Z」
https://otomapcorp.com/brand/vago/ https://www.taiwanexcellence.org/jp/product/110099
<旅先で使用できる、手のひらサイズの衣類圧縮機>
わずか55gの手のひらサイズで、パワフルな圧縮能力を実現。衣類を極限にまで小さく圧縮し、荷物のスペースを節約することができます。USBケーブルで電源に接続し、ボタンを押すだけで使用可能。およそ2分で圧縮が自動完了します。

(動画はメーカー公式YouTubeより)

ー さて、今回片渕さんには旅先で使える超小型圧縮マシン「VAGO Z」を使っていただきました。衣類などの荷物を圧縮することでスーツケースのスペースを確保できるという製品なのですが… 実際に使ってみて、いかがでしたか?

まず届いたときに、想像していた大きさの 1/3 ぐらいでびっくりしました! 
こんな小型なのにハイパワーで、私の厚手のブランケットなんかもあっという間に付属の袋に収まりました。

今まで自分で圧縮袋なんかを使ってパッキングしていたのですが、力もいるし、時間もかかるし…。なので、こんな製品があったんだ! って感じで全くの新体験でしたね。台湾といえばレトロなイメージがあったので、こういう先進的なアイテムもあったんだ! と驚きました。

ー バックパックで旅している方にとっては、荷物の圧縮って必須ですよね。

そうなんです。基本的にバックパックなので、圧縮袋はマストでした。ただ、パッキングってなかなか気が重い作業で。毎回出発前にバタバタと準備することが多いので、自分が他の作業をしているあいだに圧縮の作業を終わらせてくれるのは助かりますね。

今まで自分がやっていたことを数分間手放せるだけでもありがたいし、ひとつ仕事を振れる人がいるような感覚というか…。スイッチをオンにしたらあとは放ったらかし。2~3分後、十分に圧縮できたら勝手に止まってくれるんですよ。

ー え! 勝手に止まるんですか!?  それは便利ですね〜!

放ったらかしにしても、圧縮しすぎて衣類を傷めたり、故障したりすることがないので安心ですね。冬物の洋服とかブランケットとかだと手動で圧縮させるのはそもそも大変ですし、一回の旅で、寒いところも暖かいところも行く、みたいなときには特に重宝しそうですね!

あとこの製品、電源を入れるとキュイーンみたいな、思いがけずかわいい音がするんですよ(笑)。

ー 本当だ! 確かにちょっとかわいいかも(笑)。

役に立つロボが増えた!って愛着も湧いちゃって。旅の仲間みたいな感覚がありますね。

あとは機能面もよく考えられていて、充電不要で、軽い。モバイルバッテリーにつなぐだけでどこでも使えるっていう、場所を選ばないところも良いですね。仕事柄、モバイルバッテリーは大体いつでも持っているし、空港とか外出先でも気軽に使えるのは助かります。

ー 今回「VAGO-Z」を使ってみて、台湾製品に抱いた印象はありますか?

旅をしていたときは、台湾のレトロな面を見ていることが多かったので、「え、ここが電子化できるんだ!?」みたいな、そもそも発想としてなかった製品が台湾から生まれていることに驚きました。それこそ、自分の経験や発想だけでは出会えなかったアイテムだな〜って。

あと、台湾メーカーの冷蔵庫や洗濯機などの家電を見たときに、とにかくシンプルだなという印象を持ったことがあります。「VAGO-Z」も、こんなに小さいのに馬力があって、それでいてシンプルなデザイン。普段自分が旅先に持って行っているアイテムと並べても、すっと馴染みそうです。

ー これから「VAGO-Z」が、片渕さんの旅のお供になれば最高です!

私は旅行中にドミトリーに宿泊することもあるので、大部屋で「VAGO-Z」を使ってパッキングしていたら「それなに?」って他の旅客とコミュニケーションが生まれそうですよね。

製品をきっかけに、世界中の旅好きさんたちと会話が生まれるようなことがあればいいな。思わず期待しちゃいますね!

_______________________________________
▼片渕ゆりさんにご紹介した製品はこちら:
VAGO 「VAGO Z」

▼「Everyday Excellence and People」第5弾もお楽しみに。ぜひフォローとスキをお願いします。

【台湾エクセレンス 公式アカウント・チャンネル】
Twitter (@TWexcellence_jp)
Facebook(@TaiwanExcellence.jp)
Instagram(@taiwanexcellence_jp)
YouTube(日本
台湾エクセレンス製品が購入できる楽天サイトはこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?