オープン・ダイアローグ、対面とオンラインではどう違うの?
こんにちは、対話スペースけやきのきよこです!
日本でオープンダイアローグを実践しておられる方は年々増加しています。
その中でも特に増えているのは、Zoomなどのオンラインシステムを使ったものです。
感染症拡大の状況下で人と合うことが困難になる中で、孤独や分断を感じる方は増えています。
そのため、逆説的にインターネットを使った対話のニーズは高まりを見せているのです。
オープン・ダイアローグについても、非対面での需要が増加しています。
スマートフォンの普及も、オンライン対話に参加できるハードルを下げ、対話の数を格段に増やしたと考えられます。
対面からオンラインへ
オープンダイアローグは元々は同じ部屋に集まり、対面の場で行うものでした。
精神科医の斎藤環さんは
「対面でできないことは危機的状況と当初思っていました。しかし、リモートで行うスタイルが普及し、自分でもやってみましたところ、意外なほど有効なことが分かりました。OD発症の地、フィンランドの治療者も『リモートでいける』と言っています」
オンラインでの対話は、使用する感覚情報は視覚と聴覚のみです。
同じ空間で、そこに流れる空気を共にして行う対面方式に比べると、お互いがやりとりする情報は少なくなります。
例えば、相手の匂いは健康や生活を理解するためのヒントになります。
上半身以外が見えない、という視覚情報の制限もあります。
互いの手や足はどうなっているのか、例えば笑顔で話していても手がズボンをきつく握り締めているのが見えたなら、それと話の文脈から相手の心象を慮る事も可能でしょう。
そういった情報の制約のため、従来はオンラインでの対話実践は、対面での対話ができない場合の次善の策あるいは劣化版だととらえられている印象が強かったです。
しかし、ここ2,3年のオンライン対話の経験知の蓄積から、オンラインにはそれ自体のメリットがある事が分かってきました。
オンライン対話実践のメリット
オンラインのオープン・ダイアローグで考えられるメリットには次のような物があります。
私が実践の中で感じた物なので、そうでないと感じられる方もおられるかもしれません。
・外出しなくて良い。心身の不調のため移動が難しい方でも参加しやすい。また、移動のための時間、交通に感じるストレスや人混みへのストレスなどの、参加のハードルが無くなる
・遠くに居住している相談者の関係者や、他団体の支援者など、色々な方に協力してもらいやすい
・視覚と聴覚、情報がラウドにならないよう調整されているため、感覚過敏の方や体調がすぐれない方でも耐えうる場合がある
・声を出している方に画面が切り替わる仕組みを使うと、話している方が明確になり、他の方は聴く事に集中しやすい
・心理的安全性が高い。対話が嫌になれば画面をオフにしたり、退出ボタンですぐ離脱できる
・相談者さんの背景にある日常の生活空間を見る事ができる場合がある
いかがでしょうか?
対話実践を行っておられる方は、他にも感じておられるメリットや、あるいはデメリットもあるかも、と思います。
日本ではオープン・ダイアローグにライセンスはありません。
斎藤環さんは公演で、原則を大事にしつつ、それぞれの場に応じた対話実践を、と仰っておられました。
そのため、日本では心理専門職以外にも、当事者性の高い団体、社会活動家など、様々な方によってオープンダイアローグが行われるようになりました。
その場所、集まった方、それぞれに応じた対話の知恵が産まれ、そこに日本人の精神性、現代の心的課題なども加味され、オープンダイアローグは発展を続けています。
〈オープン・ダイアローグについて〉
フィンランドで考案された対話メソッドです。
対等な立場でお互いに敬意を持ちながら「聴く」「話す」を続けていくと、本人の中から自然と改善や回復が湧いてきます。
元は精神疾患の治療法として生まれましたが、
現在では福祉や教育、会社組織など色々な場所に広まりを見せています。
★対話で話された内容は外部へは持ち出されません
★対等な立場で行う、安心・安全な対話の場です
★対話中のどんな一言にも、沈黙にも価値があります。
対話スペースけやきは広島県福山市を中心に、オンライン・オフラインで対話実践やオープンダイアローグに役立つ勉強会を行っています。
下記公式LINEにコミュニティの概要や開催予定などを掲載しています。
ご興味のある方、ご質問のある方は、どうかお気軽にお問い合わせください。
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