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悪人の森の「くらし」

内なる声に従い納税を拒否し入出獄した、ヘンリー・デイビッド・ソローが森の「くらし」に論を結びます。

私はウォールデンの森を、森に入った時と同じように十分な理由があって去りました。・・・私たちは、知らず知らずのうちに、決まった道筋にこだわり、自分の道にしてしまいます。その性向の強さは驚くほどです。実際、私の足は。ウォールでんの森に住んで一週間としないうちに、家の戸口から池の岸辺に通じる道を作っていました。私がその道を作って五、六年が経ちましたが、今もその道は、はっきりとついています。
『森の生活』 小学館文庫

私たちは気づかぬうちに同じ道を往復している。

同じように、人の心の旅も、後に道を残します。いったい、世界の人の心の街道は、どれほど使い古され、埃まみれであるでしょう!人々の心の旅路に、因習と同化の轍の窪みが、どれほど深く刻まれているでしょう!
同書

そして内面的にも同じ道を往復している。とソローは言います。

私は、森で生活する実験から、少なくとも次のことを学びました。人は夢に向かって大胆に歩みを進め、心に描いた理想を目指して忠実に生きるなら、普通の暮らしでは望めない、思いがけない高みに登ることができます。かつての生き方の不要な部分をすっかり捨て去り、見えない心の境界を越えることができます。そして新たに、どこでも通じる広く自由な法則が、環境と心の中に打ち立てられます。あるいは、すでに知っている法則も、自分にいっそうかなった形で、広く、より的確に理解できます。そして、人として高い次元の生き方をする資質が備わります。
同書

「夢に向かって大胆に歩みを進め・・・思いがけない高みに登る」とイメージするとき、ついつい地位や名誉やお金が伴っていると思いがちですが、ソローのイメージはおそらくその逆です。

人は、暮らしを簡素にすればするほど、当たり前の法則のより多くを素直に受け入れることができます。・・・あなたの人生がどれほど下劣でも、逃げずに、真正面から向き合いましょう。あなたの人生は、あなたが考えるほど悪くはありません。豊かさはお金では買えず、悪いことばかりに目が向く人は、楽園にあってさえ欠点を見つけます。どれほど貧かろうと、あなたは自分の暮らしを愛し、楽しみましょう。・・・落ち着いた平静な考え方さえできれば、どれほど貧しい住まいでも、宮殿と同じように、明るく元気に、満足をもって生きることができます。
同書

シンプルに、よりシンプルに。地位も名誉もお金も伴わない。自身の内なる声に従って、それを思い切りすると思いがけない高みに登ることができる、明るく元気に、満足をもって生きることができる、そう言うのです。

例えばどんなだろう?・・僕は一人の画家を浮かべました。

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