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学校を疑ってみる(管見)

学校に行けないとか行けるとか行かないとかを考えていると、学校がいかに大きいのかを感じます。でも大きすぎて逆によくわからない部分もある学校を今回は疑ってみたいと思います。

『教育を支える思想』の対話(1990年)話し役ブルデュー(聞き役堀尾輝久・加藤晴久)の言葉を中心に述べていきます。

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特にアメリカで、学校制度は社会構造を再生産することに寄与するという「パラダイム」が広く普及・・・「フランスでは学校制度は再生産する」ということを万人が認めている

学校は、親が裕福であれば子も裕福に親が貧しければ子も貧しくなるよう、社会の位置を再生産していることが(詳しくはこちら)、アメリカやフランスでは広く認められているようです。

教育制度というのは実際上、民主化を実現できないように組織されている・・・学校制度にできる最良のことは、不平等を増大させないこと、子どもたちのあいだにすでに存在する差異を、学校固有の、もっぱら象徴的な効果によって倍化しないこと

学校制度は、格差を大きくすることはできても小さくすることはできなくて、民主化の実現もできないです。

『遺産相続者たち』(1964)は・・・生まれ育った環境に従って子どもが選別されていく・・・経験的観察の根底にあるメカニズムを明らかにした。・・・教員というのは、教育制度に多くの利害を投資・充当している・・・「学校によって解放された者は解放する学校に信頼を置くことによって保守的な学校に奉仕する」

また、学校教員は学校制度と強い利害関係を持っているため、学校に信頼を置き、大きな改革を前にすると今の位置を維持したいがために、保守的・大勢順応的になりやすい傾向があります。

再生産の諸法則を知っていればこそ、学校による再生産の作用を抑制する可能性を僅かなりとも持つことができる・・・問題を学校の中にだけ見出すのではなく、家庭と学校の関係のなかに、学校と企業との関係のなかに見出していく方法意識が重要

以上のことは学校の現実ですが、大事なのはそこからどうするかです。家庭と学校あるいは学校と企業の関係の中に見出していくのが良いのではないでしょうか。

知的作業の諸技術と学習を組織する能力との習得が平等に行われないということが社会的差異の主要な要因のひとつである・・・教育水準の高い家族は・・・子供の勉強の計画を立て、子どもに勉強や時間を計画化する術を教え、勉強の手段、道具を与える・・・そうした家庭の子どもは当然有利になる

たとえば、社会的差異を生み出すひとつは基本的なノウハウだったりします。教育水準の高い家庭は、子どもに計画の立て方や勉強の手段・道具を与えていて、だからこそその子は優位に立ちます。

基本的なノウハウというのは、基本的であるだけに誰もが平等に教えられていると考えられがち・・・しかし実際は知的作業の基礎技術をマスターしている者はむしろ少数・・・たとえば、ノートの取り方とか、カードの作り方、ファイルや索引の作り方と利用の仕方、辞書の使い方、略語の知識、データバンクや図書館の利用方法、情報機器の使い方、数値・図形資料の読み取り方、口頭発表の技術など、知的作業のテクノロジーは十分に教えられていないだけでなく、蔑視されているのが実情

基本的なノウハウは平等に与えられていると思われていますが、習得しているのは、教育水準の高い家庭に育った子どもに集中しています。

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