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【コラム】なぜ人は80歳になってもdogを忘れないのか?

 突然ですが、fogを和訳してください。

正解は…
 「霧」です。訳せましたか?
 この単語は、中学校で習います。それゆえ、fogはほぼ全ての人が一度は記憶したことがある単語と言えます。それにも関わらず、訳せない人もいることでしょう。今訳せたとしても、10年後、30年後、50年後にも訳せる自信がある人は決して多いとは言えないでしょう。

 それでは次に、dogを和訳してください。

正解は…
 「犬」です。これは訳せますよね。
 この単語も中学校で習うので、fog同様です。しかし、fogとは異なりおそらくほぼ全ての人が訳せることでしょう。そして、何十年経っても、死ぬ間際でも訳せる自信がある人がほとんどだと思います。

 そうだとすれば、fogに限らず、記憶したいものを、"dogの領域"に持っていくことができればいいのです。では、どうすれば記憶のレベルをそこまで持っていけるのか。これを解明するためには、上記2つの単語の違いを明らかにする必要があります。

 まず、誰もが思いつく違いの1つは、"身近なものかどうか"です。すなわち、fogは、普段目にする頻度が低い「霧」を意味する上に、英語学習において例文で用いられる機会は少ないです。一方、dogは、普段目にする頻度が高い「犬」を意味する上に、例文で用いられる機会が多いです。
 次に、もう一つの核心といえる違いをお伝えします。それは、"いつの間にか記憶したかどうか"です。
 fog「霧」をかつて記憶した時の自分自身を想像してください。おそらく、"fogを覚えよう"と意識して記憶したと思います。一方で、dog「犬」はどうでしょうか。おそらく、"dogを覚えよう"と意識して記憶した人は限りなく少ないのではないでしょうか。言い換えると、"いつの間にか" "自然に" 覚えていたのではないでしょうか。これこそが、記憶の神髄なのです。
 つまり、fogとdogの違いは、①身近なものかどうか、②いつの間にか記憶したものどうか にあります。

 そして、私たちが何かを記憶しようとするとき、fogと同様の状況になってしまうため、かろうじて短期記憶はできても、いずれ忘れてしまうのです。皮肉にも、記憶しようと意識した瞬間に長期的な記憶がしにくくなってまうのです。

 ここから先は、これら2つの違いを軸に、具体的な記憶方法について詳述します。


 1 ①身近なものにするには?
  結論から言います。"長期的に毎日"触れることです。
  どんなに私たちの生活に根付いていないものを記憶の対象とする場合でも、長期的なスパンで毎日触れることで、身近なものに変えることができます。
  英単語、歴史上の出来事・年号、論証、人の名前・誕生日など、記憶の対象について、ほんの少しの時間でも構いませんので、とにかく毎日インプットまたはアウトプットをして触れてください。

 2 ②いつの間にか記憶するには?
  "無意識になる場面で"記憶することです。
  メモを取ると忘れるように、人は意識的に記憶すると、その場では記憶できてもいずれ忘れてしまいます。
  そこで、人が無意識になるいくつかのシチュエーションに記憶の対象を設置しておき、dogのように"いつの間にか覚えていた"という状況を意図的に作り出すのです。
  1で述べた"長期的に毎日触れる"ことができ、かつ無意識となる典型場面は、トイレで用を足しているとき、浴槽で湯船に浸かっているとき、眠りにつく直前、目覚めた直後、スマホを起動させる瞬間です。
  そうだとすれば、トイレの前の壁、浴槽の壁、ベッドの真上の天井、スマホのロック中画面・ホーム画面に、記憶の対象を設置しておけばいいのです。そうすることで、無意識になる場面で記憶することができます。

 3 まとめ
  以上より、記憶したいものを、トイレの前の壁、浴槽の壁、ベッドの真上の天井、スマホのロック中画面・ホーム画面に"長期的に"設置することで、必然的に"毎日触れる"ことができます。それにより、"いつの間にか"記憶し、記憶のレベルを冒頭で述べた"dogの領域"まで持っていくことができるのです。

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