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【前編】太宰初心者の我々が考える、太宰に対する偏見

表現学部2年生の髙瀨・小嶋のふたり。Fukiyaに所属し、太宰治に本格的に触れることになりました。
しかし二人には、教科書で学んだり、話を聞いてきたことくらいしか太宰治の知識がありません。そこで処女作と遺作、年表を見つつ「太宰治という小説家を知る」ことにしました。


髙瀨
情報文化デザインコース(文芸)2年。Fukiyaで自分の表現をさがしています。

小嶋
街文化プランニングコース2年。好きなみそ汁の具は馬鈴薯と甘藍。


髙瀨
ゆるっとやっていきましょう。

小嶋
やっちゃいましょう。


消しゴムカバーの下に芥川の名前書いてそう

髙瀨
初心者とはいえね、多少知識はある。学校で読んだりね。

小嶋
でも、そこから読むことはなかったな。
結構私たちは昔の作品とか読むことが多いけれど、太宰さんをあえて読んでこなかった理由はなんかある?

髙瀨
闇が深いからかな。

小嶋
それは、文豪の人たち意外とみんなそうよね。
でも、特別闇深そう。

髙瀨
あとは旧仮名遣いで読みにくいってところかな。

小嶋
私は人間性が、あれだな。女癖が悪い印象しかない。 

髙瀨
びっくりするくらい入水自殺はかってますからね。

小嶋
5回ぐらいしてたっけ?

髙瀨
すごいわ。
でも年表によれば、肺結核を患っていたみたいだね。

こちらの年表を見ながらお話をしています

小嶋
昔はみんな結核にかかってたイメージだけど、太宰さんもそうだったんだね。

髙瀨
あとは、芥川さんへの敬愛かな。

小嶋
ノートにブロマイド挟んでいたっていう話は聞いたことある。

髙瀨
ノートに名前を書きまくっているとかね。

小嶋
現代のオタクと変わらない……(笑)

髙瀨
ノートに好きな子の名前書く感じ(笑)

小嶋
消しゴムのカバーの下にも名前書いていそう。
推し活めちゃくちゃやっていそうだな(笑)

髙瀨
芥川賞とりたすぎて、佐藤春夫に長文の手紙をぶん投げたのもやばい。

小嶋
「文豪とアルケミスト」のアニメでみたなあ。

髙瀨
私実際に見たよ。資料館で。
うわーーーっ! 長ぇーーーー! て感じ。

小嶋
どんぐらいの長さあったの?

髙瀨
もう巻物ぐらいあったよ。

小嶋
ゼロか百かみたいな人生歩んでそうだな……。


『グッドバイ』のキヌ子さんは、沼

髙瀨
ちなみに今回二人とも『列車』『グッドバイ』を読みました。
偏見ばかりだとよくないので、彼の初めて世に出た作品と、最後の作品を読んで、太宰について考え直そうかなと……。
どうだった?

小嶋
やっぱり男女のもつれだよね。
愛だの恋だので、二つとも同じような話ではあった。どっちも男性が主人公じゃん?
でも女性の扱いみたいなものが、最初の『列車』より『グッドバイ』の方が、丁寧な感じ? 地位が上がった感があった。


『列車』
処女作品集『晩年』に収録された短編小説。
主人公は、上野発青森行きの列車に乗り、故郷の津軽に帰る青年です。列車の中で、彼は自分の人生や恋愛について思い悩みます。列車は彼を運び続け、彼の心は揺れ動きます。

『グッドバイ』
太宰治の未完小説、かつ遺作です。
主人公は、自分の人生に絶望し、愛人とともに自殺を図ります。しかし、自殺に失敗。彼は、新たな生きがいを見つけようとします。この作品は、太宰治自身の最期を予感させる内容で、彼の苦悩や葛藤が表現されています。


髙瀨
確かに……。
『グッドバイ』が、戦後の1947年に発表されてる。
『列車』が1933年で、第二次世界大戦前になるよね。満州事変あたり。

小嶋
時代の影響も受けているのかなという感じだね。

髙瀨
この二つを読んで、女性の扱いみたいなところに焦点を当てたとき、『女生徒』読んだら面白そうだなと思った。
太宰治って、女性の描き方がめちゃくちゃ上手い作家さんだなって。女性目線の話を読みたい。

小嶋
女の私でも、「こういう女いるよな」っていう共感があった。
『グッドバイ』のキヌ子さんいいよね。深みハマっていっちゃう感じ。
これは沼だよ。ちょっとずつ「良いな」って思える部分が見えてくるのが良いなって思った。

髙瀨
『列車』から『グッドバイ』にかけて、女性の描写が綺麗になってるなって比較してとても感じた。丁寧になってるというか。


主人公って結局太宰なの?


小嶋

私さ、このぐらいの年の作品読むとどうしても『主人公と作者を重ねて読んじゃう』んだよね。

髙瀨
はっ、私もだ。私太宰だと思って読んでいたのか。

小嶋
私『列車』読んで「やばい、太宰だと思って読んでしまっている」ってなって。『グッドバイ』は違うふうに読もうとしてたけど、結局「太宰じゃん」って思ってしまった。

髙瀨
多分ね、それもあるんじゃないかな。
私書き手だから思うよ。一人称視点が書きやすいんだよね。
太宰は、割と主人公に自分をちょっとずつ反映しているように感じる。作風として。

小嶋
太宰の作品の中のノンフィクションの部分と、フィクションの部分を詳しく知りたいな。
結局女の人は何人いたんだろう。


次回 太宰の闇に触れる。

「でも、これだけはわかるね。太宰は色男だ」
「もし太宰が現代に生きていたら、会いたい?」


▼後編記事はこちらから要チェック▼



おまけ 死と隣り合わせのモテ男


中学生の時に見た某文豪フィクションアニメ。
私が太宰治および文豪に興味を持ったきっかけです。とはいえフィクションなので実際の太宰治とはかなりかけ離れたキャラクター像でした。


今回、太宰について語り合い、知らないことに触れたことで、太宰を語る上で
」と「女性」が外せないことがはっきりわかりました。

何度自分の中の「死」と向き合ったか、
太宰にとって女性の存在がどれほど大きかったか、
「死」からも「女性」からもモテる、私はそう思いました。

また今回は対談形式ということで、何を話そうかと実は対談する直前まで悩んでいたけれど、いざ話してみると脱線がいい方向を向いてくれて、より太宰治と作品について掘り下げて話ことができました。
まだ読んでいない話もたくさんあるので、作品を読みながら太宰治がどんなひとだったのか、私なりに考察していきたいです。(髙瀨)

太宰治(髙瀨作)


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