笑いとシリアスの高低差がエグい!『パレハライブ』
観劇録?ライブレポ?……どう表現すべきか迷いますが、コントと演劇の合同公演『パレハライブ』の千秋楽を見てきました。
今回は、お笑いが主戦場の「パトルパ」と、小劇場で活躍する劇団「演人の夜」の合同開催。
コントと演劇の二大プログラム、「いったいどうなるんだ……?」という感じでしたが、楽しみに会場へ向かいました。
会場は阿佐ヶ谷のアートスペースプロット。
劇場前の商店街・すずらん通り、イルミネーションがきれいだったなあ。
……と、そんな話は置いといて。
パワフルなコント7本立て
前半は、コントパート。
お笑いライブらしい前説、さらに一本目でちゃっかり役者さんの紹介も済ませるという親切設計。
客席は多くないものの、満席の温かい雰囲気で進みます。
こういう時の空気って、もっと硬いものだと思っていました……笑
コントは全部で7本。
すべて、パトルパ主宰・ヤマダンさんによる作・演出です。
7人の役者さんが、様々なシチュエーション、キャラクターを演じ分けていました。
衣装替え、大変だったんだろうな……
私が特に好きだったのは、『BARのマスターとのやりとり』という一作。
仕事で悩む男がバーにやってきて、マスターと女性客の会話を盗み聞きしていると、解決策をひらめいて……という展開。
一本のコントで、バーのシーンと職場のシーンの二場構成ですが、それぞれのシーンが思わぬ形でリンクします。
何気ない伏線や言葉遊び、好きだなあ。
笑えるというよりも感心なのですが、イチオシの面白さでした。
心から叫ぶ『トロイメライ』
休憩をはさんで、後半は演劇パート。
演人の夜主宰・金子賢太朗さんによる作・演出、『トロイメライ』という中編作品。
コントパートでキャラチェンジしまくっていた役者さんたちが、今度は一本の演劇で、ひとりの役を演じます。
当たり前なんだけど、ちょっと不思議な感覚。
『トロイメライ』の舞台は、いわゆる「普通の家庭」。
そのはずが、役者を目指していた長男は、夢を否定され、家族を手にかけることになります。
犯行に至るまでの長男の葛藤。
事件後にわかってくる、両親や兄弟の思い、家族への愛情、人生観……
様々なものがごちゃまぜになって、ある時は魂が抜けたような独白、ある時は叫び、ある時は得体の知れないノイズとなって、舞台上に表れます。
普通の家庭、家族ってなんだろう。
「善い行い」「悪い行い」とされることでも、別の角度から見たら?
どこかで起こっている事件を、ニュースで眺めている私たちは……?
自分の価値観を改めて疑いたくなるような、そんな作品でした。
高低差が凄まじい!
予想はしていました。
だから、おそらく見事に狙い通り……という感じなのですが、コントと演劇で空気感がまるっきり違う。
笑えるコントと、高低差が凄まじかったです。もはやエグい!
きっと私たち観客は、その高低差が忘れられない読後感、終演後の大きなショックになっていると思うのですが……
冷静に振り返ってみると、役者さんたちの様々なお芝居が見られて、面白いイベントだったなと思っています。
表情でしっかり語る役者さんってすごい。改めて思いました。
同時に、作演出のお二人のフィールドや作風がまるっきり違うので、よくぞ一本のイベントとして成立させたな……!と驚きました。
おそらくお二人とも「今やっておきたいこと」を、得意なやり方でやり切った結果。
役者さんも全力で応えたからこその、今日だったんだろうなあ。
しかし、千秋楽まであのパワーと高低差とは……
素晴らしくエグいです。
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