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緊急事態も終わったので、一人で軽く飲んできた。

都知事の体調が心配な今日この頃であるが、緊急事態宣言が6月20日に終わり、通称「マンボウ」と呼ばれる政策に移行した。
私たちの生活に及ぼす影響はいくつかあるが、そのうちの一つに、「お店でお酒が提供できる」ことが挙げられる。
つまり、長らくできなかった外飲みができるようになったのだ。家でちまちまレモンサワーを飲んでいたのが、外でプハーッとレモンサワーを飲むことができるようになったのだ。

そして今日、同棲している彼女が、友達と夜ご飯を食べに行くと出かけていった。これは久しぶりのチャンスである。一人暮らし時代はフラッと飲みに出られていたが、同棲してからはなかなかそういった機会もなかった(それはそれで幸せなものだが)。
酒類の提供も再開したところで、一人飲みに行こうと決意した。

いつも通り、山盛りの仕事を淡々とこなす。しかし、私には外での一人飲みが待っている。楽しみがあれば、それらも前向きにこなすことができるというものだ。18:30完了目標で、優先順位の高いものから消化していった。

予定していた仕事がひと段落したのが18:40頃。正直やること全ては終わっていないが、会社用PCをパタンと閉めて、家を出る支度をし始めた。


店を探しながら、近所をフラフラと歩く。居酒屋の多い商店街は駅を挟んだ向こう側であるが、今日は隠れ家的なお店に行ってみたいので、小さめの商店街を練り歩いている。

普段歩くことのない道なので、新しい発見が数多くある。良さげなカフェ、餃子バー、ちょっと高めの寿司屋、肉バル。これらが私を悩ませる。

海鮮系もいいなぁなんて思いながら歩いていると、ある看板が目に入った。お品書きとともに、「おひとりさま大歓迎!」という文字が私を迎え入れる。
これは、今の私に向けた言葉に他ならない。手書きの看板に二階へと続く少しボロい階段より、個人経営の焼き鳥屋だと思われる。お品書きを見るに、一本150円程度でリーズナブルなようだ。「よし、この店にしよう」と松重豊ばりに決定した。


中に入ると、厨房に並んだスタッフ一同が、ポカンとした顔で出迎えてくれた。高校時代に、クラスの一軍が会話に勤しんでいる空き教室に、間違って入ってしまった三軍のような、そんな気持ちだ。
「おひとりさま大歓迎!」という文字を消すために店を出ようかと思った最中、ワンテンポ置いて、店長さんが「いらっしゃい!好きな席に座って!」と出迎えてくれた。

カウンターに座って一通り注文をして、なんとなく厨房を見渡してみる。
店長が焼き作業をしている隣で、それを大学生くらいの男の子が眺めている。さらに隣で金髪の女の子と黒髪の女の子が楽しそうにお話をしている。接客という面ではアウトなのだが、楽しそうにしているからまぁいいかと思う。

少しして、生ビールと共にお通しのキャベツサラダが届いた。ビールをぐいっと煽る。美味い。いや、旨いといった方が正確であろうか。サラダを食す。上に乗ったサクサクとした何か、そしてドレッシングが美味い。残念ながら松重豊は降りてこず、伝わりやすい食レポはできないのであるが、久しぶりの一人飲みを早くも満喫していた。

少しして、熱々のレバーが出てくる。少し小さめで、プリッとしたものが4つ付いている。盛り合わせを頼んだは良いものの、正直レバーはあまり得意ではないのだ。「お熱いうちにどうぞ」と大学生っぽい男の子店員に勧められる。ビールで流し込む準備をして、一口頬張って見た。

え、美味い何これ。レバー独特の臭みが全くない。何これ美味しい。まるで大トロのように口の中で溶けていく。脂身のようなしつこさもない。冗談抜きで今まで食べたレバーの中で一番美味い。

まさか、厨房で店員が話しているような店の焼き鳥がここまで美味いとは…これは大当たりな店である。

次に出てきたのはもも。店長が男の子店員に「生ワサビで仕立ててあるから」と伝え、男の子店員は私に「生ワサビで仕立ててあります」と伝言してくれた。
これも、当然ながら美味い。ありえないほど美味い。よく考えたら鳥貴族と大して値段変わらないのだが、味の格が違いすぎる(トリキも好きなのだが)。

間髪入れずにぼんじりが出てくる。黒髪女の子店員が、店長からの指示により山椒を持ってきてくれた。店員同士の話を聞くところ、女の子二人は16歳の高校生とのこと。厨房で喋る云々と言ってしまったが、その歳でバイトしているなんてなかなか偉い。
ぼんじりの味はみなさんご想像の通り、神がかり的な美味さであった。焼き鳥3本でビールが空いてしまったので、ハイボールを注文した。あぁ外飲み、なんて楽しいのだろう。

その後も、砂肝やら何やらが出てきて、8本ほどを食したところで満足した。レバーのおかわりを頼んだところ、一人一本限定らしい。仕方がない、また来よう。

それにしても、店員たちは楽しそうに話している。店長は優しい目で彼らを眺め、丁寧に仕事を教えている。その教え方や会話内容から察するに、どうやら3人とも最近入ったバイトのようだ。簡単な作業ばかりではあったが、3人とも一つひとつの手順を一生懸命にこなしていた。
焼き鳥は美味しいし、店員はフレッシュ。店長は優しそうな出来た人で、本当に良い店だと思った。

しかも、2杯飲んで8本食べて、2300円程度。リーズナブルだ。また来る以外の選択肢は、どうやら存在しないようだ。店に入った時とは違い、店を出る時は店員全員で「ありがとうございました〜」と挨拶してくれた。人は成長していくものなのだと、改めて実感したのだった。


帰路。家まで歩く道。美味しいものを食べた後は気分がいい。今日はこのことをnoteに書こうと思った。そして、焼き鳥の写真を一枚も撮っていないことに気がついた。まぁ、そんな日もある。写真を使わない食レポ記事があってもたまには良いではないか。

ということで、今度彼女と行ったら写真撮ってきますので、今日は文章のみにて失礼いたします。みなさんも感染に気をつけて、一人飲みをしてみてはいかがでしょうか。では。

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凡才
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