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【移動日記】アンタナナリボからサンパウロへ

約10日のマダガスカル滞在を終え、この地を出発する日がやって来た。
この地というよりは、アフリカを出る日でもある。約2ヶ月旅してきたアフリカを出て、次なる目的地である南米へと向かうのだ。

向かう先はブラジルのサンパウロ。ここに向かうまでに、まずはナイロビ乗り継ぎでヨハネスブルグに戻り、その後に航空会社を変えアンゴラ経由でサンパウロに入るという工程になる。
色々と航空券を検索した結果、これが最安だという判断に至った。

まずはアンタナナリボの空港に向かおう。タクシーの相場は50,000アリアリくらいと目処がたっていたので、その金額だけ残るように買い物をしてお金を消費した後にタクシーを探す。
アンタナナリボにはいたるところにタクシーが屯している場所があるので、そこに行けば勝手に向こうから声をかけてきてくれる。

「Taxi??」。案の定すぐに声をかけてくれる人がいた。そしてなんとマダガスカルでは珍しく英語が話せる。
「空港まで行きたいんだけど。」私が言うと、「いくらが良い?」と逆に金額を聞いてきた。
「いくらで連れて行ってくれるの?」とさらに質問をすると、彼は少し考えてから「70.000アリアリかな」と答えた。
「空港からここまで50,000アリアリで来たんだけど」。と言うと、「分かった、60,000アリアリでどうだ?これがミニマムだよ」と少し値段が下がる。
私が続けて「もう出国するから50,000アリアリしか残っていないんだよ」と言うと、「OK分かった。50,000で行こう。」と割と簡単に50,000まで下げてくれた。

車に乗り込もうとすると、「VIPタクシーだよ」と彼は言う。マダガスカルのタクシーは基本体にオンボロの古いクルマなのだが、確かに彼の車はKIAのSUVでかなりきれい。タクシーという表示も無かったので、個人で勝手にタクシー業しているような人なのかもしれない。
とはいえ彼は英語も喋ることができ、空港までの道のりで何も変なことは無かった。50,000アリアリと端数で少し残っていた現金をチップとして渡し、空港に到着。

通常のチェックインプロセスを踏み制限エリアへと向かう。途中3回ほどセキュリティの人にパスポートを見せろと言われた。そんなに何回も見て何が変わるというのだろうか。また、荷物検査の後に現金があれば渡せというジェスチャをされた。
そういえば、荷物チェックのところでチップを要求されたという話を聞いたことがある。これのことかな?私は現金を使い切っていたので特に渡す金もなくスルー。ただこのお金の要求、マダガスカルの現地通貨を海外に持ち出させないようにする措置である可能性もあるなと思った。海外で使えない(換金も基本できないだろう)のに、現金持ち出されたらお金少なくなっちゃうからな。真偽の程は不明である。

これらのチェックを終え、特に何事もなく定刻でまずはナイロビへと飛び立った。

ナイロビへの到着もほぼ定刻通り。予約しているケニア航空は簡単に欠航させることで有名。乗り継ぎ便が変わっていないことを確かめ、ラウンジへと向かう。
ラウンジでシャワーを終え食事を食べていると、スマホから通知音が。案の定予定していた飛行機が欠航し、振替便の案内が来ていた。まぁ振替便は元々の予定から1時間しか変わらなかったので、それならばまぁ許そう。適当な時間にラウンジを出て、トランスファーデスクで新しいチケットを発行してもらう。荷物も載せ替えてくれるということはしっかりと確認した。その際に、どうやら振替のお手数保障的なものとしてフードコートで無料の夕食を提供できるとのことらしい。しかしすでにラウンジでしっかりと夕食を食べているし、このときはもう真夜中を超えている。無料食事は諦め、適当な椅子で寝ることにする。この移動一日目の空港泊となった。

シャワールーム
ラウンジにて夕食

翌朝。新たなラウンジに入り朝食を食べ、適当な時間に搭乗ゲートへ向かい、飛行機はヨハネスブルグへと到着した。

航空会社が変わる都合上、一度ここで入国する必要がある。パスポートコントロールでは何を聞かれることもなく入国スタンプが押された。続いて荷物の回収。ただ、荷物につけているトラッカー情報が未だにナイロビにあることになっている。ロストバゲージの可能性を濃厚に感じつつ、回転する荷物コンベアの前でしばし待ってみる。
全く持って荷物が出てこない。トラッカー情報も動かない。

ということでロストバゲージが確定した。人生初のロストバゲージである。それが、滞在する場所でもなく次の目的地に向かわなければならない場所で起こるなんてついていない。
ロストバゲージデスクに向かい、次にサンパウロに向かわなければならないことを伝えると、「サンパウロまで荷物送るよ。でもサンパウロの空港までは取りに来てもらわなければならないし、いつになるかも確約できない」とのことらしい。正直送ってくれるという言葉も信じられないし、もう一回空港まで行くのもめんどくさい。
「この空港で待ってたらすぐ持ってきてくれる?」と聞くと、次のナイロビ発ヨハネスブルグ着の便に乗ってくるとのこと。ただし、もともと予約していたサンパウロ行きの便には間に合わなくなる。
実は、このサンパウロ行きの便が若干の時間変更のためキャンセル料無料になっていたのだ。そして翌日の同じ便をとったとしても2,000円プラスになる程度。ということで、来るかも分からない荷物をサンパウロで待つよりも、もう一泊ヨハネスブルグ空港泊を選ぶことにした。

この紙一枚がロストバゲージ証明

言われた時間まで待ったのだが、荷物のトラッカー情報が動かない。ということで、ロストバゲージを取り扱っている場所まで行ってみる。
そこの場所がわからなかったのだが、色んな人に聞いたら最終的に建物の外から行かなければならないとのこと。なんてわかりにくい。ロストバゲージの証明書に受取場所とかしっかり書いといて欲しい。

整理番号を教えると、なんだか建物の逆側に置いてしまっているとのこと。ちょっと意味はわからないが、少し待っていたらトランクに乗せて私のバックパックも運んできてくれた。ひとまずバックパックが戻ってきて良かった。ということで、空港2連泊ヨハネスブルグ編、その後は夕食を適当にフードコートで済まし、良さげなベンチを見つけて横になった。

戻ってきたバックパック
ここに入れていたソムリエナイフ消えてた

翌日。寝ていたベンチの近くにある航空会社窓口の職員に起こされた。どうやら、朝の便に乗り過ごしていないか気にして起こしてくれたらしい。私のフライトは16時。まだまだ時間がある。またまたフードコートで日記を書いたり動画編集したりして時間を潰す。うん、なんだかこんな時間も有意義な気がする。

お昼すぎくらいにチェックインカウンターに行くと、すぐにチェックインが開始した。カウンターに行く前にスタッフにパスポートを見せると、何やら不穏な雰囲気で確認が入り、セキュリティーのところに行けとか言われる。
現れたのはゴツいスキンヘッド。「どこから来たのか」「なぜそこから直接サンパウロに行かないんだ」とか、正直お前に関係ないだろということを聞かれる。高圧的に。かなりうざい。
結局要件は、ブラジル出国便のチケットがなければ搭乗を認めないということだった。最初からそう言え。まぁそのような話は良くあるので、仕方なく適当にチケットをその場で購入。彼の高圧的な口ぶりが、なぜか出国ではなく日本に帰るのはいつかとしきりに聞いてきたので、安全策のためにブラジルから日本に行く便を予約。
これで良いだろとチケットを見せると、「アメリカ経由だから、ESTA申請しろ」とか言われる。そんなのあとからやるし、そこで入国拒否されてもお前に関係無いだろ的なことを言ったら「じゃあ搭乗は認めない」とか言いやがる。仕方なく行く予定もないアメリカの電子ビザ申請を行いなんとかチケット発券に進むことができた。ちなみに、その後も出国便のチケットは確認されたが、ESTA申請の話が聞かれることはなかった。
ていうか、この出国時以外帰りの搭乗券の話なんか聞かれることはないから、本当に無駄なプロセスだと思う。まぁ一応決まりだから仕方ないのだけれど。

制限エリアに入り、イライラした気持ちをビールを飲んで落ち着かせる。搭乗の時間も近くなったので、ゲートまで行くとまたセキュリティに止められる。今度は、ホテルの予約日数と帰国便の日程が全然合わないじゃんとか言われる。イライラしながら、「そのホテルが気に入れば滞在を伸ばすし、もしだめなホテルだったらずっと滞在したくないからこの予約日数なんだ」と伝えるとしぶしぶといった感じで通過させてくれる。
やっとこさ搭乗ゲートまでたどり着き、チケットを出すとそこでもまた止められる。発券デスクの人が必要な情報を入力していないとかなんとか。そこでも少しもめ、先程のセキュリティが「こいつはホテルの日数が合ってなくて不審だぞ」とか言ってやってくる。あんまり誰もその話は聞いていなかったけど。
10分くらい待たされたが、その後はなんとか機内へと通された。ほんとヨハネスブルグ空港のセキュリティは仕事をしようとしているのか何なのか良くわからん。
先ほども書いたが、その後の乗り継ぎ地でもブラジル入国時も、出国便のことなんて一度も言われることは無かった。
ケープタウンからサンパウロに向かう同じ航空会社の場合は、出国便の確認なんてないらしい。ヨハネスブルグは最凶都市だった。

乗ってしまえばあとはなんてことはない。アンゴラで乗り継ぎ、深夜便でサンパウロへと早朝に到着した。この移動は2.5泊を空港泊、0.5泊を機内泊という、飛行機なのに割と過酷な旅になってしまった。
アンゴラ行きの機内で横に座っていたアンゴラ人が、JICAの研修か何かで帯広にいたということで少し親密感を覚えたのがこの度唯一の良かった点である。

アンゴラ航空
乗り換え時にラウンジで飲んだアンゴラビール
味は普通


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