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予防業務の仕事内容について③予防広報編

消防の仕事といえば、消火活動や救急・救助といった現場活動をイメージされる方が多いかもしれません。

しかし、消防には影の立役者ともいえる「予防業務」という仕事があるんです。一般の方からすれば、印象が薄い仕事かもしれませんが、私は予防系消防士として、この仕事を世に広めていきたい。

ということで、シリーズ第3弾「予防広報編」です。

シリーズ第1弾、第2弾は「査察編」、「審査・検査編」と一般の方からすれば馴染みの薄い仕事の紹介でしたが、今回の「予防広報編」は比較的イメージがしやすいのではないでしょうか。



予防広報とは?

予防広報とは書いて字のごとく火災予防について市民に広く知らせることです。

例えば、「住宅発生する火災は夜間に発生することが多いため、発生した場合これに気づくことが出来るか否が生死に関わります。そのため、火災を覚知するために住宅用火災警報器を設置しましょう」といったように、火災を防止するための対策や方法を伝えます。

消防の仕事は火災や救急など実際に事が起こってから対応する仕事のイメージが強いですが、このように火災が起きないように市民にお知らせする仕事があります。それが予防広報です。

具体的には何をしているのか?

ひとえに予防広報といっても様々な方法があります。
「火災を予防するために人に伝える」というところは共通していますが、そこに至るアプローチは様々な方法があるのです。

まずは人に対して直接伝える方法です。
例えば、保育園や幼稚園に行って、園児に火災についての話をして火災の恐ろしさを知ってもらう。これも予防広報の形です。

次に広報媒体を作成する仕事です。
例えば、野焼き防止の注意喚起のチラシを作成することも重要な仕事です。
人の印象に残るチラシを作成するため試行錯誤しデザインやメッセージを考えます。

そして、現在はSNSが発達し、消防本部がYouTubeやインスタグラム、Twitter(x)などの公式アカウントを持っている場合が多いです。

ここで発信するため動画コンテンツの作成というのも重要な仕事のひとつです。

私の場合は人前喋って伝えることが得意な方なので「防災についてこんな話ができますが、いかがですか⁉出してくれませんか。」と地元ケーブルテレビに営業をかけて番組のひと枠を獲得しました。

また、個人的な趣味でヒップホップカルチャーのラップが好きなので、ラップで広報できないかと考え、住宅火災警報器啓発ラップの製作も行いました。

堅いイメージが強い消防の仕事の割に自由です。
予防広報という業務は個人の裁量や自由度が高いと思います。


予防広報の魅力

予防広報の最大の魅力は「ゼロから一を生み出す仕事」ができることではないだろうかと私は考えています。
消防士の仕事の中でこの「ゼロから一」ができる仕事は他にありません。

伝えることは決まっていたとしても、それをどんな方法で、どんな層に届けるかは自分で考えていくのです。もちろん行政なので公平性や内容について制限があったりはします。しかし、ここまで裁量や自由を与えられている仕事はありません。

ゼロから一を生み出すためにはクリエイティブな思考が求められ、結果的に自発的に仕事をするようになります。こうなると仕事って面白いですよね。

他の予防業務である「査察」や「審査・検査業務」も私は好きですが、予防広報が一番好きでやりがいを感じる仕事です。

業務の標準化と誰に変わってもできる仕事が求められる公務員ですが、唯一予防業務は属人化が許されるのです。

まとめ

今回は「予防広報業務」について書かせていただきました。

火災予防広報は消防にしかできません。

消防設備士や防災コンサルの方々が行う広報と我々消防士が行う広報では影響力が違うと思うのです。(消防設備士さん、防災コンサルさん、ごめんなさい。)しかし、それほどに消防のブランディングは世間に浸透していると言えます。

消防設備のことや消防法の規制については消防設備士をはじめ消防法に精通した民間の方々がおられます。しかし、この予防広報だけは私たち消防士がやらなければならないのです。

現役の消防士の方々も興味を持たれた方は一度やってみることをおすすめします。

これから消防士を目指す方もキャリアの参考にしていただければ幸いです。

最後まで記事を読んでくださりありがとうございました。

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