見出し画像

第10回世界宗教者平和会議に参加して

宗教の世界における役割

遡りますが、8/20-8/23まで、第10回WCRP(世界宗教者平和会議)世界大会がドイツ・リンダウで開催されました。

この世界大会は、5-7年毎に、現代社会の課題に対する道徳的合意の構築、諸宗教による積極的課題への取り組み促進を目的として、諸宗教の枠を超えて、開催されます。

WCRPは、1970年に京都で創設された世界の宗教の代表者による平和を指向する国際団体であり、国連経済社会理事会の諮問を受けるNGOであります。

WCRP国際ネットワークは、世界の6つの地域委員会と90か国以上にわたる国内委員会、国際女性ネットワーク、国際青年ネットワークで構成されています。

第10回世界大会は、「慈しみの実践:共通の未来のために―つながりあういのち」をテーマに世界100ヵ国以上から集まる約900名以上の宗教者、約100名の政府、政府間組織及び市民社会の代表者が参加されました。日本からは、仏教、キリスト教の団体、斯界からは神社本庁の方と私が最年少として参加しました。

大会は、ドイツ連邦大統領フランク=ヴァルダー・シュタインマイアー閣下がによる宣言より始まりました。

「宗教がこれ以上戦争の正当化に使われてはならず、むしろ平和の為の道具となるべきである。我々は、宗教がこれ以上憎悪や暴力の正当化に利用されるべきではないという共通の信念のもとに、団結しなければならない。いかなる戦争も宗教の名のもとに行われてはならない」と述べられました。

大会開催にあたってドイツ政府が多額の資金援助をした理由として、政府が宗教コミュニティと強固な共同協力が必要だと感じていることが、よくわかります。

ドイツは特に「移民・難民問題」に直面しており、多様性を尊重しつつ、多民族が共生する社会作りを目指しながらも、上手く進められていないことが現状です。そんな国内状況下において、今回WCRPとパートナーシップを協力されました。

今回の大会においてドイツだけではなく、世界各国において、政府側より社会問題解決のために、宗教コミュニティとの協力が必要だという世界の潮流を感じました。

マイナー宗教「神道」

画像2

神道が「マイナー宗教」であるいうことを認識させられました。

今回の会議に集結したメンバーは宗教に関する知識人であるが、「神道を知っていますか?」と質問すると、8割以上が聞いたことがないと回答しました。

私が、英国に留学していた際に、多くの友人が神道に関する知識を持っていたことは、大学院自体が東アジアの研究特化していたからであって、決して神道が世界的に認知されていたわけではなかったということに気づきました。

マイナー宗教である理由として、まず英語の書籍が非常に少ないことが挙げられます。実際、英語で執筆された神道に関するベーシックな書物を勧めるとなると、具体的な名前が挙がりません。

もちろん教義経典のない神道において言語化のハードルは非常に高いですが、グローバル化が進む時代背景において、自然との共生という神道に根付く伝統的智慧を伝えられるように務めていくことが今後の緊急課題であると考えられます。

環境問題と宗教の役割

画像2

メインテーマ「慈しみの実践:共通の未来のために―つながりあういのち」の下、五つのサブテーマがそれぞれの分科会において議論されました。

今回「地球を守る」セッションに参加し、宗教者の環境に対する知見を深めました。

私が一番印象的であったことは、宗教者が語る内容が、理念や教義レベルの話ではなく、習慣的にできる具体的な内容に特化していることです。

「今私たちができることについて考え、行動する。」

宗教者の集まりにおいても、各々の宗教の教義について理解し合うという次元から、宗教の智慧を集結し、共同でできるアクションへ繋げていく段階へと進んでいるように感じます。

以前の参加者に話を聞くと、最初は各宗教の違いを理解することに重きがおかれていたが、回数を重ねる中で徐々に変化しつつあるとのことです。

以下のような「諸宗教熱帯雨林イニシアチブ」という諸宗教連合組織も立ち上がっています。

諸宗教熱帯雨林イニシアチブとは、
宗教者のリーダシップを生かす為に、熱帯雨林の乱伐を阻止することを目的としています。

地球規模で、またブラジル、コロンビア、コンゴ共和国、インドネシ
ア、ペルーなど世界に残る熱帯雨林の 70%以上を保有する5カ国での活動を実施。

WCRPと共に、「Faiths for Forests(森林のための信仰)」宣言し、熱帯雨林を守るための行動を呼びかけています。

神道の自然観「人間も自然の一部」であるという考え方には、普遍的な価値があると思われます。人間が自然をコントロールするのではなく、畏敬の念を持ちながら共生してきた伝統的智慧があります。

例えば日本人は、食前に、「いただきます」と言います。

この習慣は、自然の恵をいただくことに対して、感謝の意を表する。つまり、自然に生かされていることに感謝し、食事をいただくという意味であります。

彼らからインタビューを受けた際に、以上のような内容をお話ししました。

私たちができるアクションを考え、実践し、世界でシェアしていくこと。

まず半人前神職ができるファーストステップだと思い、今後も継続していこうと感じました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?