Taisei Tanaka

大学卒業後、産学連携による各国地域の視察旅行や留学・実地研修などの教育旅行を10年ほど…

Taisei Tanaka

大学卒業後、産学連携による各国地域の視察旅行や留学・実地研修などの教育旅行を10年ほど担当。現在は大学向けに教育現場の課題解決に向けた営業を行っています。旅行業界時代に訪れた44か国の思い出をエッセイにして書き記しています。

最近の記事

「不可解な銃弾」

2015年、夏。 黒竜江省の哈爾賓(ハルビン)には凛と澄んだ空気があった。 中国で最も北部に位置するこの地は、ロシア風建築が建ち並び、中国語とロシア語の入り混じった不思議な世界感を作り出していた。シベリア鉄道でモスクワへと通じる東北アジア交通の枢軸都市である。旧満州帝国の歴史をなぞりつつ大連、長春を北上してきた鉄道の旅で立ち寄った。 哈爾賓駅と言えば、伊藤博文が朝鮮民族主義者の安重根の銃弾に倒れたとことも有名だろう。 極東を取り巻く欧米型帝国主義全盛期。日本は地理的にも

    • 「空は青くそして白い」

      トナカイ肉は臭みがなく美味だ。 バルト海に面したスカンジナビア半島の最奥。フィンランドの濃緑の木々が生い茂る自然豊かな風景はまさに“森と湖の国”にふさわしく、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのようだった。 かつてスウェーデンや帝政ロシアに支配されながらも力強く生きてきたフィンランド人の歴史と民族愛は、どこか女性的で滑らかな曲線が似合う港湾都市から感じることができる。「バルト海の乙女」という異名を誇るヘルシンキの空は青くそして白い。 ヘルシンキ大聖堂、エテラ港のマーケッ

      • 「移動時間の効用」

        陸路で国境を越えることはロマンだ。 ベトナム・カンボジア国境にあるモックバイ(Moc Bai)には地平線を前にうだる暑さを振り切る日本人旅行団がいた。 ホーチミン市から約70km。果てしなく続く悪路を前に、砂埃を舞い上げながらひたすらバスは進んでいく。熱帯モンスーン気候は年間を通して高温多湿なのが特徴だ。強い日差しと蒸し暑さでは、その場に立っているだけで汗が滴り体力が奪われる。雨季だからか、道路の両脇には一面に水田が広がり、放たれた水牛の姿が見られた。プノンペンまでは残り

        • 「リアルにこだわる理由」

          ここまで美しい夕陽にはあの日以来、出会っていないだろう。 バリ島西部ジェンブラナ県プンゲラゴアン村から眺めるインド洋岸を切り取った瞬間だ。 一通りすべき最低限の添乗業務をこなせるようになり、ワンランク上の社会人を目指し情熱を燃やしていた。 心地よい業務の疲労感を覚えながら、その甘美な癒しをくれる茜色の前で、時間は意味を成さず、潜在意識としてこの瞬間を脳裏に焼き付けなければとならないと思った。 入社4年目の夏だった。 その3年後、再びこの地を訪れた時は大学生約60人と

        「不可解な銃弾」

          はじめまして

          学生時代から一人旅が好きで、将来は旅行やレジャーに関わる仕事に就きたいと思っていました。 就活中は会社規模にこだわりはなく、ただ自分のやりたいことを実現できそうか、そうじゃないかで決めました。 旅行業界に携わり10年が経ちました。 現在は大学のインハウスエージェントとして産官学と連携しながら、各国・地域の視察旅行、留学・語学研修などの教育旅行、訪日外国人旅行、クルーズ、MICEに関する団体企画、手配、添乗業務などをお手伝いしております。 入社直後から国内添乗や、2年目か

          はじめまして