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デザインの問題解決の面ばかりを追っていると似たようなアイデアが多くなる

ざっくり言うとデザインには問題解決と価値創造の2つの性質があります。

つい最近まではデザイン=外観の美しさというのが一般のイメージだったと思うのですが、近年はデザイン思考が広まり、問題解決のためのデザインは知られるようになりました。

しかし、もう片方の価値創造という部分があまり知られておらず、ないがしろになってしまいがちです。この両面を上手に用いることが、デザインにとって必要不可欠です。

問題解決の面ばかりを追ってしまうと最適解に近い似たようなアイデアが多くなってしまうので、価値想像の部分もしっかり考えていこうという話です。


良いデザインは、問題解決と価値創造を使い分ける。

「問題解決」で言えば、まずは機能を提供すること。社会的な問題でも、身近な問題でも、何かの課題や問題を解決するための道具やプロダクトをデザインすることになります。
「価値創造」で言えば、新たな価値や豊かさを提供すること。それは、幸せな気持ちにしたり、欲求を満たしたりすることにあります。つまり、そのためには、美しい外観やコンセプトのプロダクトをデザインします。

どちらかの面だけでも、良いデザインを生み出すことはできます。多くのデザインはこの二つの面が内包しており、どちらかが大きな特徴になっていることがあります。

例えば、カメラ。写真を撮ることはカメラの基本的な機能ですが、その問題解決として「片手で持ち運べるぐらい軽い」や「頑丈で防水」などがあります。価値創造として、「好きな部品にカスタマイズ」、「持ちたくなる美しい外観」や「取りたくなるようなシャッター音」などがあります。

「片手で持ち運べるぐらい軽い」や「頑丈で防水」という機能を持つカメラは市場には多くあります。そこで差別化にするのは難しく、結局は機能性や価格競争、知名度依存になってしまいます。

「持ちたくなる美しい外観」や「取りたくなるようなシャッター音」という価値は、ターゲットとなるユーザーの価値観に寄るので差別化もしやすくなります。コンセプトの段階でどこに価値を持たせるかを考えるにも、デザインは役立ちます。


デザインの価値創造の面

問題解決の面は、課題や問題を解決するための機能や用途を提供する。一方で、価値創造は、少し曖昧なような分かりにくいと感じるかもしれません。

デザインによって、ちょっと楽しい気持ちにしたり、所有欲を満たしたりなど、価値に同じゴールや目的はなく、様々です。

これは現代の価値の多様化が影響しています。良い車に乗って、良い家に住むなどの同じような価値観から大きく変化し、今では何に価値を感じるかは人それぞれ大きく違います。

おすすめなのは、自分と同じ価値観が同じ人に向けてデザインする。つまり、価値観が同じであれば、同じことに問題を抱え、同じものが欲しいと感じることが多いです。自分が欲しいものを作ることで、他の人も欲しいものを作れるという方法です。

メーカーであれば、この手法は難しいので、市場調査やユーザーインタビューを通して、ターゲットの価値観をリサーチし、その価値観に合わせた価値創造をし、販売しています。




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