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試合10日前。勝ちに執着する。

全日本選抜まで残り10日となりました。

オリンピックを賭けた試合です。
ここで勝つことができれば世界選手権の代表プレーオフに回り、最短でオリンピックを決めるチャンスを手にできます。
逆に、この大会で負ければオリンピック出場が絶たれる可能性を含んでいるわけで、これまでの取り組み、レスリングの才能、器の大きさ、運など自分自身のレスリング選手としての全てにジャッジメントが下される時期がやってきたなという気持ちです。

振り返れば小さい頃からレスリングに対して多くの時間、多くの労力を費やしてきました。
小さい頃は同級生の皆んながゆっくりテレビを見ている時間に練習をしていて、はねるのとびらやナルトは観たことがなかったし、ゴールデンウィークをゴールデンウィークと思ったことはコロナの期間を除いて一度もないし、朝練があれば5時半に起きて6時から走りました。
人生はトレードオフで、レスリングをしてきたことで得することも山ほどあったので苦労したことに対して今となっては何とも思わないけど、僕の人生で最も時間を費やし、労力を費やしてきたものは間違いなくレスリングです。

レスリングを通して学ばせてもらったことは本当にたくさんあるし、仮にこの挑戦が失敗に終わっても人生で大きな財産になることは確実です。
でも今の自分にとってはそんなことはどうでもよくて、とにかく勝ちたい。勝って少しでもオリンピックへの距離を縮めたい。それだけです。
これまで取り組んできた自分自身のためにも勝ちたいし、何よりも今まで応援してくれている全ての人のために勝ちたいです。

幸福度の観点から言うと「執着」は良くないことだと言われているし、「執着」を手放すことが大切と言われているけど、今はあえてこれに執着し、結果にこだわっていきたい。
人生においてこれしかないということはないんだろうけど、僕が叶えたい夢は今の自分にはこれしかなくて、これに支えられて今の自分がいる。
とにかく「勝つ」ことに執着してやっていきたい。

他の選手も、僕のような想いでやっていると思う。
僕と同じように人生の多くをレスリングに捧げてきているし、小さい頃からの夢を叶えるために全員死に物狂いで試合に臨んでくる。
簡単な試合は一つもないし、簡単な相手は一人もいないことをしっかりと理解して心身ともに万全の状態で挑めるよう残りの時間を過ごしていきます。


こういった重要な局面、力や気持ちが入りやすい局面でこそ「いつも通り」「自然体」でいれることに価値があると思います。
試合のように練習して、練習のように試合する。
普段の練習から本番を想定して練習をしているので練習以上のパフォーマンスを望まないし、「いつも通り」やることにフォーカスしていきます。
僕の経験上、試合で120%を出そうとすると100%を下回ります。
100%しか目指さないし、全てを出して負けたら仕方ないと思えるまでやってきたつもりです。100%に近いものを出せるようコンディションを整えて「いつも通り」良いパフォーマンスを出せるようにしていきます。


パワーや技術、レスリングが強いかはもちろんだけど、レスリング選手としての器の大きさが試されるような気がしています。
ここで勝ち切ることができるのか、相手と自分のどちらがレスリング選手としての器が大きいのかが問われると思います。
相手に対してヒヨったらそこでお終いですからね。
オリンピックを賭けた戦いで勝ち抜く器があることを自分自身に証明したいです。


僕も今年で26歳。
年齢的に一番脂が乗っている時期なはずだし、オリンピックへのアタックは現実的に最後になると思う。
試合でのパフォーマンスを通してこれまで支えてくれた全ての人に感謝を伝えたいと思います。

残りの10日間、心身ともに良いコンディションで挑めるよう良い準備をします。

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