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中国TechはAIをどこまで活用しているか?驚愕の事例をご紹介

ども、たいろーです。皆さん、今日も急成長してますか?

今日は、2年半前に僕が『中国Techがスゴすぎてヤバいな』と驚愕した時の話をしますね。もはや「スゴイ」を通り越して「コワイ」とすら感じます。

2018年7月。夏休みを利用してニューヨークに滞在し、その足でミシガン州アナーバーに移動。SIGIR2018というカンファレンスに参加しました。
※この時の事は、エンジニア向けに『SIGIR2018 報告会 〜世界の検索テクノロジーとメルカリの未来〜』というイベントで報告しています。

この『SIGIR -Special Interest Group on Information Retrieval-』は世界最大級の検索技術の技術カンファレンスで、世界中の大学の研究者や巨大Tech企業に務めるエンジニアが研究内容を発表する場です。開催地は毎年変わり、2017年は東京、2018年アナーバー、2019年はパリでした。

当時はAIブームの真っ只中で、大学だけでなく企業も自分たちの取り組みを競い合うようにして発表していました。この年もAmazonやMicrosoft、Alibaba、Airbnb、LinkeIn、eBay、Spotifyなど錚々たる企業が参加していましたが、とりわけ印象的だったのが中国企業、特にAlibabaでした。

1. バナー画像を毎秒8,000個生成するAI

最初に驚いたのは、この「AI デザイナー " 魯班Luban"」です。

Alibabaは、前年2017年11月11日に「独身の日キャンペーン(楽天スーパーセールのようなもの)」でこの魯班Lubanを活用し、1日あたり4,000万個のバナー画像を自動生成。A/Bテストを実施して最適なパターンを学習していくことで大きな業績を上げたそうです。

Lubanは、デザイナーの仕事の一部を再現します

背景画像、キーワード、商品画像といった大量の素材から自動でバナー画像を生成。ユーザーがバナーが何パターンか欲しいだけの場合は複数のパターンをワンクリックで生成してくれますし、大量にパターン生成してA/Bテストまで任せることもできます。

これが何を意味するかというと「"バナー画像という粒度では"正解はどれかという議論を人間同士でする意味はない」ということです。バナーは商品やサービスを訴求してクリックしてもらう事が目的であり、大量にパターンを試して良いものを残す方が圧倒的に効率的です。

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そして、Alibabaは社内ツールだったこの「Luban」を、AliCoundという自社クラウドサービスの機能として他社に提供し始めました。今では他社も追随していますが、広告プラットフォームがこうしたAIを標準装備することで、デザイナーはこれを使いこなす事も仕事の一部になって行くと思います。

正直これだけでも驚きだったのですが、中国Tech企業の実験の規模感はこのレベルではありませんでした。

次に紹介するのはこれです。

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