見出し画像

大発見

お久しぶりである。

しばらく更新が途絶えたこのnoteを
心待ちにしていたあなたは、
この一週間夜も眠れず
いつものバーで古くからの友人と
朝まで飲み明かし
forever youngを歌っていたことだろう。

いつだって
POP PUNKバンドはこの町が嫌いだし、
EMOバンドは今夜眠れない。
だからこそ、
あんな歌やこんな歌で恋を乗り越えていくんだ。

ガレージロックの金字塔を打ち立てた
あいみょんの歌詞を引用したところで、
この一週間なにをしていたかというと、
あまり思い出せないのが正直なところだ。
よって、順を追って回想しようと思う。


まず、
前回更新したのが月曜日の夜遅い時間だった。
野暮用でひたちなか市を訪れていた僕は、
襲い来る使徒から地球を守っていた。
凄惨な戦いだった。
僕の財布から消えた500円が、
その生々しい戦禍を物語っている。
滅びのバーストストリームを唱えながら
電車に乗りHitachi cityまで帰った。
その怒りのままに書き綴ったのが
前回のnoteだった。

今読み返しても名文である。
人はここまで自分をさらけ出せるのだ。
このnoteを書き始めて1か月半程。
面白いと言ってくれる人が意外と多い。
バンドで曲を作って約6年になるが、
反響の多さで言えばこのnoteの方が
多い気がする。
これが才能というやつか。
ふざけるな。
俺はバンドで売れたいんだよ。

俺はバンドで売れたいんだよ。
TAIOSIN

そして翌日になるのだが、
このあたりから記憶が曖昧になる。
晴れていたような気もするし、
雨が降っていたような気もする。
僕の口座に10億円が振り込まれていた
気さえする。
はっきり覚えているのは、うぐいすが
せわしなく鳴いていたことである。
じゃあ雨ではなかったんじゃないかな。
ベッドで横になってその声を聴いていた。

「ホーホケキョ」
この擬音で表現されることが多い
彼らのさえずりであるが、
聞けば聞くほどこの音にしか聞こえない。
最初にこの表現をした人は天才だ。

「ホ~~~~~ホケキョ」
ほ~~。
ビブラートまで操れるようだ。
うぐいすのさえずりを本気で練習したら
ビブラートも習得出来るかもしれない。
しかもさっきより助走が長い。
すさまじい肺活量だ。
これはますます、
大発見をしてしまった可能性が高まる。
ビブラートだけではなく肺活量も鍛えられる。
お得なセットだ。
某テレビショッピングで
¥29,800で売られていてもおかしくない。
もちろん送料は無料で。

「ホケキョ!」
虚を突かれた思いだった。
この大発見を論文にまとめ学会で発表し、
ベンチャー企業を立ち上げ
フォーブス誌の世界長者番付トップ100に
掲載される未来が見えたところで、
僕の思考は現実に引き戻された。
おかしい。
今のさえずりには
「ホー」
がなかった。
「ホーホケキョ」
でワンセットじゃないのか。
「ホー」
という助走がなければ
「ホケキョ」
という大空を羽ばたくことは出来ないはずだ。

じっと息をころして、
再びさえずりが聞こえるのを待った。
汗が滴るのも気にならない。

「ホーホケキョ」
僕は安堵した。
さっきのは聞き間違いだったのかもしれない。
そうだ。
聞き逃した可能性は十分にある。

「ホ~~~~~ホケキョ」
ほら。
またビブラートをきかせてやがる。
大丈夫だ。
まだ慌てるような時間じゃない。
さて、次の学会はいつだろうか。
ワンマンライブもあることだし、
忙しくなるぞ。

「ホケキョ!」
今度は聞き間違いとは言えなかった。
はっきりとこの耳が捉えてしまった。
「ホケキョ!」
「ホケキョ!」
追撃の手を緩める気はないようだ。
ぼくは気づかされてしまった。
助走が無ければ飛べないなんて、
思い違いだったんだ。
勝手に限界を作って、
最初から諦めていたんじゃないか。
助走なんかなくたって飛んで見せる。
その思いだって。
うぐいすはなぜ、助走がなくたって飛べるの?
ねー教えて、おじいさん。

ホケキョ!
うぐいす

そうか。
そういうことなんだね。
うぐいすさんありがとう。
俺も飛んでみせるよ。

そうしてTAIOSINは
激動の一週間を過ごすことになるのだが、
それはまた別のお話。

おしまい。


この記事が参加している募集

いつもコーヒーを飲みながらこの文章を書いています。 一杯おごる感覚でサポートしていただければ幸いです。 そのお気遣いが活力になります。