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歎異抄(たんにしょう)に学ぶ

はましょーです。

僕は理学療法士として病院で働いています。その業務の中で、いろいろな患者さんと関わってきました。多分これからも関わっていきます。

人間はみんな違う個性を持っていますので、疾患が同じであっても、症状や、その表現の仕方には当然違いがあって、その人に合わせた、その人中心の支援を考えていかなければいけません。

そんな患者さんの多くは、当然ですが僕よりも遥かに人生経験豊富で、患者さんから教えていただくことがよくあります。

その中でも、今回のテーマである「歎異抄(たんにしょう)」について教えていただくことがありました。歎異抄はその患者さんの人生哲学に深く影響を与えた思想であったようで、僕自身もわからないながら、共感できる内容であったように思います。

本記事では、初学者でも理解しやすい、簡単な書籍を一冊読んで学んだことをアウトプットしたいと思います。

【参考書籍】

歎異抄に関連する書籍は多くありますが、僕はこれしか読んでいません。この本は短めの文章で簡単に書いてくれているので、初学者には理解しやすい本かと思います。NHKの「100分で名著」という、伊集院光さんが司会をしている番組の内容を書籍化したものです。

もし、より深く知りたい方は、他の書籍も読んでみることをお勧めします。

歎異抄とは何か?

歎異抄は「唯円(ゆいえん)」という、浄土真宗の開祖である親鸞聖人(しんらしょうにん)の弟子によって書かれた書物になります。つまりこれは、仏教の本になります。

浄土真宗は鎌倉仏教の宗派の中の一つとして有名かと思います。

歎異抄という言葉は「異義を歎く(なげく)」という意味があり、開祖である親鸞聖人の死後、唯円が師の教えと異なる解釈(異義)が広まっていることを歎いて執筆した書物であると言われています。

僕は仏教について詳しくはないので、正確かはわかりませんが、簡単に説明すると、浄土真宗は阿弥陀如来を信じ、念仏(南無阿弥陀仏)を唱えれば、誰もが救われるという教えです。(これは、法然上人によって開かれた、浄土宗の教えを引き継いでいます)

この教えは、これまでの宗派のように自ら修行に取り組み、「私」の行いによって悟りを開くというものではなく、「仏」の力によって浄土(天国みたいな概念?)に生まれたいと願う全ての人を「仏」が救うというものです。自力で修行して悟りを開く教えではなく、自らは念仏を唱えるという行いのみで、他力(仏の力)によって願いを叶えるという教えなんです。

南無阿弥陀仏の「南無」には「おまかせします」という意味があるそうです。浄土真宗における自力の行いは南無阿弥陀仏を唱える(阿弥陀仏におまかせします)ということであり、あとは阿弥陀仏にまかせてくれよ、ということになります。

さて、ここまでは浄土真宗の教えの基本的なところのお話しでした。

ここからは、浄土真宗の考えに根ざした、歎異抄に書かれている教えについてアウトプットしていきます。

歎異抄の教え

今回は、参考書籍に書いてあった文章の中で得に印象に残ったところを引用して、その意味についてアウトプットします。

歎異抄の中には『この慈悲終始なし』という言葉があります。

これは「世間で良いとされている社会奉仕などは完全なものではない」ということを表していて、この「完全なものではない」は「自分の都合が入った善であるという意識なしに、つい善いことをしている気分になって満足するなよ」と戒めている文章のようです。

僕たちが、善い行いだと思っていることの全ては、完全なものではなく、全ての人を救う(良い方向へ導く)ものではないということを、教えてくれているのかと思います。

この言葉を含む文章の全文を以下に引用します。

いかにいとほし不便とおもふとも、存知のごとくたすけがたければ、この慈悲終始なし。

釈徹宗『NHK「100分de名著」ブックス 歎異抄 仏にわが身をゆだねよ』NHK出版 (2019)

→どんなに愛おしい相手でも思いのままに助けることはできない。慈悲は完全ではない。だから、念仏だけが慈悲の心なのだ。

と訳すことができるようです。

これは、「決して思い通りにはならない日常の本質を引き受けて、それでもなお生きよ」という、メッセージが込められています。

僕たちにできることは、念仏を唱えることくらいなんだということ。それだけ不完全な存在なんだという主張が歎異抄から感じられます。

私たちは一体何ができるのか?実際には不完全なことしかできないかもしれない。

しかし、そのことを本当に徹底的に自覚したとき、
なにひとつ出来ないことがわかったとき、

私はなにをするのか…?


※本記事は、あくまで私が書籍等を読んだ上で咀嚼し、私というフィルターを通して表現しています。よって、基本的には私の個人的見解を多く含んだ内容になります。その点ご了承いただいた上で、ご興味を持っていただけたのであれば、是非、参考書籍を手に取っていただければと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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