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第三章 未来はこの手の中に #01

 商品の開発は終わったが、これ
から、特許申請をして、売り出さ
ないといけない。
 そのためには、社員を増やして
事務所を、もう少し広い所に移し
たかった。
 株式投資型のクラウドファウン
ディングに依り資金調達をするこ
とにした。

SNSや、Twitter などの口コミから
も火がつき、資金調達は順調だった。
少し広いオフィスへ移り、社員も30
名ほどに増えた。

 画期的な商品の多くは、はじめ
は、少数のオタクに広まり、それ
から、一般へと、だんだんと普及
していく。ビデオの普及も当初は
アダルトビデオの登場が、ビデオ
の普及を後押ししたと言っても過
言ではないとおもう。

 この頃の当社の製品は、世間で
は、まだ知られていなかったが、
ごく少数のマニアの間では、プレ
ミアがつくほどのマニア垂涎の物
となっていた。

 特に、隠し機能である、エクス
タシー機能(長時間吸い付き機能)
は、ごく少数のマニアの間では公
然の秘密であった。
 ま、その情報をリークしたのは、
この僕だが……。

 まずまずの出だしだった。

 この頃に成ると、我が社の商品
をマネしようとする輩が出てくる。

 しかし、肝心の瞬間分解装置は
どこの会社もマネできない。
 というよりも、その構造自体が
この時代の人間には摩訶不思議な
もので、理解できない。到底マネ
できるものではなかった。

 それはそうだろう。この時代の
人間には到底、作り出せるもので
はないはずだ。
 手にこん棒を持った原始人が、
コンピュータを作ろうとしても、
作れないのと、一緒だ。

 我が社の独走態勢は続いた。
 大きく商品の宣伝をしなくても、
「アプデパンツ」は口コミで、み
るみる広まった。

 MeTuberが、「アプデパンツ」
を履いて、お漏らしをするという
ドッキリ動画を作ったり、
通販大手の「アフリカン」が、
「アプデパンツ」を発売すると、
たちまち品切れになって、転売ヤー
が何十倍もの値段で売るなど、
ちょっとした社会問題になった。

 巷では、アプデパンツを履いた
オタクが襲われ、身ぐるみをはが
れ、すっぽんぽんで街に放りださ
れるとう、事件も起きた。

 テレビのワイドショーでは、
たまたま、その事件現場に居合わ
せた、報道関係者が、被害に合っ
た男性にインタビューをしていた。

「大変な目に遭いましたねー」と
記者が被害男性にマイクを向ける
と、すっぽんぽんの男は前を隠し
ながら「ちょっとー。うつさない
でくださいよー」と言っている。

 当然、全体にモザイクがかかっ
ていて、よくわからない。
 スタッフが、急いで毛布を、
その被害男性に被せた。

 こういった社会現象にまで成っ
た、我が社のアプデパンツは、売
れに売れて、生産が間に合わなかっ
た。


つづく


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