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中学のブラスバンド部の思い出 #01

                        テール

はじめに

◆小学生の僕

 僕は小学生の時は、「ボーッ」
とした子供だった。

 その為、学校の成績も良くない。
勉強なんて、うわの空で、授業中
も別のことを考えていた。

 そんな訳だから、勉強なんて出
来る訳がない。
成績はいつも、下の下だった。
僕が小学生の頃は5段階評価の1
~5だった。
1が最低で、5が最上である。
僕の通信簿にはアヒル("2")がいっ
ぱい泳いでいた。親に見せるのが
とても嫌だった。
見せるたびに怒られた。

 小学5年生の時、あまりに勉強
が出来ない僕をみかねて、親は僕
をそろばん塾へ通わせた。

 親は塾の先生に、「珠算3級を
取るまでお願いします」と頼んで
いた。
 小学5年、6年とそろばん塾へ
通い、なんとか珠算3級を取った。

 そんな出来ない子供だったので、
当然、小学生の時の音楽の成績は
いつも"2"だった。
 音符も読めないし、リコーダーも
吹けない。オルガンなんて、とて
も弾けない。できるのは、カスタ
ネットだけ。

 そんな、僕が中学に入って、な
ぜ、ブラスバンドに入ったか。
まずは、その経緯から書いてみよ
うと思う。

◆音楽"2"の僕がブラスバンド部に入部した

 中学の入学式を終えた。
 何の根拠もないのだけれど、中
学に入れば、環境が変わって、こ
れまでの僕ではなく、新しい自分
に成れるのではないかと思った。
自我が少しづつ、芽生えてきた。

 中学に入って、部活動は必須だっ
た。強制的に全員が部活動を強要
された。

 運動音痴の僕は、野球は嫌いだ
し、走るのも遅いし、人と対戦す
る競技も嫌いだった。

 とくに入りたい部はなかった。
かんがえてみると、幼少の頃、
チャンバラが好きで、近所の子と
よくチャンバラごっこをして遊ん
でいた。
 自分の記憶には無いのだが、
親戚のおばさんが言うのには、
おもちゃの刀を振り回して、
橋幸夫の「潮来の伊太郎」を歌っ
ていたらしい。

 このさい、運動は嫌いだが、し
かたないので、剣道部にでも入ろ
うとおもって、体育館に向かった。

 体育館に行ってみると、剣道部
の人は誰もいなかった。
 諦めて、教室に戻ろうと引き返
す途中、音楽室の階下を通った。
 すると、今まで聞いたことのな
い音が音楽室から聞こえてきた。

 音楽室は2階にあった。階段を
上って音楽室の前まで行くと、大
音量の楽器の音が聞こえてくる。
 中を覗いてみると、僕に気づい
た上級生が、話しかけてきた。
「君、入部希望?」
僕は挙動不審に、どぎまぎしながら、
「あ、いえ、剣道部に入ろうかと
思っていたんですが、まだ、決まっ
ていません」
というと、先輩は嬉しそうに「じゃ
ー、ここに入りなよ」と入部を勧
めた。

 ブラスの男子は少なかったので、
入部は大歓迎だったのだろう。
「あのー、僕、音符読めないんで
すけど……」
というと、先輩はそんなの全然問
題ないといった。
「じゃー、トロンボーンやりなよ。
トロンボーンの音符は他と違うか
ら」と言って、音符を見せてくれ
た。
たしかに、小学校の音楽の授業で
習ってきた音符と違っていた。
(トロンボーンの音符はトーン記
号ではなく、へ音記号で書かれて
いるのだ)

運動部じゃないし、運動音痴の僕
にはピッタリだ。音符読めなくて
も大丈夫だと言ってくれた。

「入ります!」
僕は、その場で入部を快諾した。


つづく



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