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未来人の僕(回顧録)

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ベンチャー企業から、一代で世界的な大企 業へと育てた男、坂上ケンタ。 坂上ケンタの生い立ちは謎に満ちていた。 彼の死後、パソコンから、厳重に暗号化さ れたファイルが見つかった。 …
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『未来人の僕(回顧録)』

                   テール  この物語はフィクションです。 物語に登場する人物及び団体は架 空のものです。実在の人物および 団体とは一切関係ありません。 登場人物 〇坂上ケンタ  未来人。本編の主人公。西暦2325 の未来から、西暦2025年の現代へ 来たタイムトラベラー。 年齢27歳。将来の事業の成功を夢 見る若者。 〇井上綾香  坂上のベンチャー企業に入社し てきた女性。 自動おむつ試作品の開発を坂上と 共同で行う。坂上から試作品の着 用をお願いさ

人類は3種類の人間に分かれた #01

テール  この物語はフィクションです。 物語に登場する人物及び団体は架 空のものです。実在の人物および 団体とは一切関係ありません。 プロローグ 第一章  人類は3種類の人間に分かれた #01  これから書いていく内容は、僕、 坂上ケンタの人生の回顧録だ。  記述内容に、嘘偽りは一切ない。  この回顧録は誰にも公開されな い。 僕が生きた、「あかし」として、 残してお

人類は3種類の人間に分かれた #02

 西暦2321年。僕は工学系の大学 を卒業し、業界では、ある程度有名 なバルブ製造会社へ就職した。  そこの情報システム部門へ配属 され、早1年が経とうとしていた。  ある日、サーバーのログに不振 な痕跡を発見した。  外部からの侵入の痕跡を発見し た。  一部の限られた人のみが扱える ファイルへアクセスした履歴が残っ ている。  急いでファイルの所有者に確認 してみると、ここ何年もアクセス したことの無いファイルだという。  これは大変な事になった。  ハッカーに会社が狙

人類は3種類の人間に分かれた #04

 明日からは、実世界の坂上ケン タだ。心機一転、実世界でのし上 がってやる。  目覚めると、カプセルの中にい た。自分の手を見るといつもの見 慣れた手ではなかった。体は手術 着のようなものを着ている。  自分の入っているカプセルを覗 き込んでいる、二人の人間がいる。  一人は、原口で、もう一人は見 知らぬ人間だ。  カプセルのフタが自動的に開い た。僕は半身を起こした。あらた めて自分の体を確認すると、いつ もの見慣れた体ではなかった。 「やあ、目覚めたか」原口が僕に

人類は3種類の人間に分かれた #06

 僕は原口に聞いた。 「ところで、何で、君はこんなに 僕に親切にしてくれるんだ?」 「前にも言ったが、電脳世界で俺 がやってきた事を誰にも喋らない でくれたら、それでいいのさ。  もし、仮に君が、この世界で成 功したら、後でお返しをしてくれ たら、それでいい。 まあ。期待はしないがな」 「俺は、これで帰るよ。何かあっ たら、呼んでくれ。アレクサに話 掛ければ、すぐに俺につながる」  そういうと、原口は去って行っ た。  原口の話では、AIによって、 人々の暮らしは支配さ

21世紀へ #02

 来週には、21世紀の世界に居る のかと思いながら、代理店をあと にした。  一週間が過ぎて、いよいよ、 21世紀へ旅経つときが来た。  この世界から、タイムトラベル する場合は、タイムポートへ行く。  タイムポートはタイムマシンが 設置してある建屋で、人々はそこ から、過去へと旅立っていく。  タイムポートの建屋に入ると、 タイム通関のコーナーへ向かった。  タイム通関とは、旅行者がこの 世界から過去へ旅立つ資格がある かどうか、検査する機関である。  タイムマシ

21世紀へ #03

 とりあえず、用意してくれた、 この世界の僕の家に向かうことに した。  東横線で、神奈川県の元住吉駅 へ向かった。  元住吉駅から、歩いて5分ほど にある、アパートの一室が僕の新 しい住居だ。  ここから僕の新しい人生が始ま る。  やりたい事は決まっていた。 西暦2025年のこの時代で、西暦23 41年には存在していた、自動おむ つ装置を開発することだ。  会得した、自動おむつ装置の技 術をこの世界で再現したかった。  未来の世界では簡単に手に入っ た材料が、この

21世紀へ #05

 数日後、不具合を修正し、バー ジョンアップしたオムツを再び、 試してみた。 「井上君! 直したぞ。今度は問 題ない。見てくれ」 「今度は大丈夫ですよね?」  彼女は、疑わしげに僕を見てい る。 「今度は大丈夫だから」  僕はトイレに入って、おむつを 付けて、そのまま、朝のおつうじ をしてみた。  今度は、大も小も、問題なかっ た。 「やったぞ! 完成だ。見てくれ」 脱いだ、オムツを彼女に見せた。 「本当だー。オムツの中はきれい ですね」 「うんうん。やっと完成し