「この人 最高だな」と思えるYouTubeチャンネルを見つけました
人にものを教えるってすごく深いんだよな、とあらためて感じる今日このごろです。たきもとです。
あるジャズピアニストの方のチャンネルがなぜか僕のYouTubeのおすすめに上がってきたのでふと見てみたんです。
一発でファンになりました。
自分のことを天才ジャズピアニストって言っている時点で最高なんですが、とにかく動画の内容が素晴しいんです。
ただ、動画をチラッと見ただけでは、ほとんどの人は僕の言っている意味がわからないかもしれませんね。
動画の編集は荒いし、映像も汚いし、喋りも噛み噛みだし、オヤジギャクやサムいギャグもウザいし、ときどき毒を吐くし。。。
これのどこがいいの?
って思うかもしれません。
でも彼が語っている内容にフォーカスすると、本当に芯を食ったことを言っていて、プロのミュージシャンなら誰もがうんうんってうなずくと思います。
個人的には彼の独特の喋りもずっと見ていると愛おしくなってきてむしろ病みつきになっています(笑)
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この方の何が素晴しいかというと、とにかく音楽やジャズの本質的な部分をもっと大切にしようということを強く訴えている点ですね。
僕も常々思っているのですが、やはり世の中ノウハウを教える動画が多いんです。そしてそれはノウハウを求めている人がそれだけ多いということの裏返しでもあります。
誰でも手っ取り早く、近道をして、楽に結果を手に入れたい。
そういう気持ちを否定するつもりはありません。僕だって手っ取り早く体重が落とせるなら、すぐにそのやり方に飛びつくと思います(笑)
けれどやっぱり突き詰めていくとそういう都合の良い話なんてなくて、そうやって近道をして手に入れたものは結局本物ではなく、レプリカでしかないんですよね。
○○抜きダイエットで確かに体重が落ちたとしても、筋肉のついていないただのガリ痩せの肉体は健康体とは呼べませんし、ふとしたきっかけでリバウンドしてしまう偽物のダイエットなんですよね。
楽器の演奏もそれと同じ。
ジャズっぽくピアノを弾くことはある程度練習すれば誰でもできるようになります。けれど本当にジャズという音楽を理解して弾いているか、とりあえず教えてもらったジャズでよく使われるフレーズをただ並べただけなのか、には天と地ほどの差があります。
厳しい言い方をすれば後者は音楽ではありません。
なんとなく横文字を使って、それっぽい発音で喋れば外国語を喋っているように聴こえるかもしれませんし、日本にいる限りはそのハッタリが通用するかもしれませんが、実際に海外に行ってそんな調子で喋っても通じませんし、コミュニケーションができません。一発でメッキが剥がれます。
音楽、楽器演奏もまったく同じなんですよね。
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ただ、(ここから先はこのYouTuberさんと意見が異なる部分だと思うのですが)、僕個人としては、○○っぽいフレーズを教えること自体は否定はしません。
楽器を始めたばかりの人に対して、最初に僕が最優先に考えるのは
楽器ってなんて楽しいんだろう
という喜びを体感してもらうことなんですね。
そのためには○○っぽいフレーズを形式的に覚えてもらって、とりあえず音楽に合わせてそれを演奏してもらうこともあります。
それは厳密に言えば音楽とは呼べないのかもしれません。
ただ演奏している初心者さんがそれでも
わー、楽しい!
って感じられるのであれば、僕はそのプロセスはその生徒さんにとって無駄ではないと考えています。
どんなジャンルでも大切にすべき本質部分や真髄と呼ばれる部分があります。
ただそれを学んで身につけるというのはとても時間のかかる作業だし、退屈な面も正直あるんですね。
今プロで演奏家として活躍されている方は、そもそも楽器に向かうエネルギーが一般の人と比べたら尋常ではないくらい大きかったからこそプロになったのだろうし、そういう人たちは普通の人が無理ー!と投げ出すようなハードな練習や勉強をとてつもない情熱を持って突破することができました。
ただ、それと同レベルの情熱をプロを目指すわけでもない、ちょっと楽器に興味が出てきた一般の生徒さんに求めるのも酷かなと思う部分もあります。
ですので、僕のレッスンではひとまずドラムの難しい部分には触れず、知識や情報もサラッと覚えてもらうだけにとどめて、とにかく叩いてもらってドラムの楽しさを体感してもらうことに集中しています。
そのためこのYouTuberさんが否定するような教え方をしている部分もありますが、そこはあえて意図的にやっています。
ONE OK ROCKの曲が叩きたいという人にロックの歴史を学べと言ってジミヘン聴かせたり、ツェッペリンを聴かせても、ピンと来ないだろうし、正直説明しても意味がわからないと思うんですよね。
それって僕らだって若い頃はわからなかったりしたものじゃないですか。
僕は若い頃はスティーヴ・ガッドのすごさも、ジョン・ボーナムのすごさもわからなかった。(もちろん最初からわかる人もいますよ)
もし14歳当時の僕がグルーヴを極めたければバーナード・パーディを聴けと言われてもおそらくポカーンとしてたと思うんですよね。
音楽や楽器演奏に対する理解度というのは最初から身についているものではなくて、多くの楽曲を聴き、楽器の演奏のレベルが向上していくのに比例して、自分のアタマの中身(音楽に対する理解度)も成長していく、という順番だと思うんですね。
だからあまりスタートの段階で生徒さんに音楽や演奏のめっちゃ深い本質部分を熱く語っても、相手の受け止める準備ができていないと、拒絶されてしまって、音楽や楽器演奏自体嫌いになってしまう可能性もあります。
それは避けたい。
というわけで僕としては(妥協というと言葉は悪いですが)スタート段階ではとにかく演奏の喜びを体感することに軸足を置いたレッスン内容をし、生徒さんの成長レベルに合わせて、ちょっとずつ深い話を織り交ぜていくようにしています。
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