見出し画像

リモートワーク試行錯誤の体験談

私はいまリモートワークで働いています。リモートワークでの働き方が現在の形に定着するまでの間には紆余曲折がありました。どなたかの役に立ったり参考になったりしたらよいなぁと思い、体験談を書いてみます。

私の仕事と、リモートワークメンバーについて

私は、ソフトウェア開発のプロジェクトマネージャーをしています。ソフトウェア開発は非常にリモートワークに向いた性質です。
成果物(プログラム)の確認も、コミュニケーションも、進捗などの各種管理も、パソコン・ネット回線・用途に応じたツールさえあれば、いつでもどこでもできます。
ここ約1年で、開発規模の大小は様々ですが20回弱のリリースをしてきています。

私の働き方としては、出社したり、(令和元年生まれの子供がいるので)日によっては家庭の事情でリモートワークにしたり、臨機応変にしています。

ソフトウェア開発メンバーは、私以外の全員が常時リモートワークです。人数は基本は 3名で、時々何名か増えます。家庭のため、複業のため、遠方のため、事情は様々です。ソフトウェア開発の仕事上、リモートワークが原因となる問題や不便は感じません。コミュニケーションは基本的にチャット(Slack)のみで、1ヶ月弱に一度オンラインで面談をしています。

体験談を書く上で、前提や現状はこんな感じです。

結論:オフィスの常識をリモートワークに持ち込まないほうがよい

思い切って結論を先に書いてしまうと、見出しのとおりです。

実はこのフレーズは、「リモートワークを当たり前にする」をビジョンに掲げている【株式会社キャスター】のかたの話を聞いての受け売りなのですが。骨身に沁みて実感しています。具体的には…

1.行動管理はしない。成果を出してくれることを信頼する。
最近は Twitter などでもリモートワークの話題が盛んでそこでもよく挙がっていますが、「リモートワークで他人の目がないとサボるんじゃないか?」なんてよく言われます。そういう人はオフィスでも既にサボっています。行動管理が必要なレベルのメンバーは、リモートワークは適用しないほうがよいです。

成果主義とまでは言いませんが、会社から求められるのは、元から、何よりも成果であるはずです。ソフトウェア開発であれば、定めた期日までに、要件を満たす機能を良い品質で、リリース・デプロイすることが成果であり、これらが評価されるべきです。もう少し言うと反省点を次に活かすことも。
リモートワークだと頑張っているかわかりにくいから評価しにくい、なんていうのはおかしいです。これらが達成できていれば◎です。

ただ、これは、最終成果物が出来上がってくるまで何もせず放置している、という意味ではありません。1日1日の成果はウォッチしますしできます。成果に至るまでの過程も見えますから、過程のナビゲートが必要ならします。つまり過程の評価もできます。リモートワークでも、成果だけでなく過程を可視化することは可能です。
ただし、オフィスと違って何もしないと見えないので、見えるように管理者・遂行者ともに留意は必要です。

2.いつでも声を掛けられると思わない。
オフィスにいればすぐに気軽に声を掛けられますが、リモートワーク つまり 空間的分断があるメンバーにはいつでも声を掛けられると思わないほうがよいです。(具体的には後述します)

コミュニケーションは基本的にはチャットで、ある一定のラインでオンライン会議へシームレスに切り替えられる心構えが必要です。

3.非同期コミュニケーションが大事。
非同期コミュニケーション、つまり時間や空間を同期しない(揃えない)コミュニケーションが大事です。

これは、リモートワークに限らず大事です。メールだって、カレンダーの予定共有だって、タスク管理ツール(Redmine、バックログ、GitHub、Trello …など)での連絡だって、全て非同期コミュニケーションです。

普段からこれらの、リモートワークで大いに活用できるコミュニケーション手段をせっかく既に習得しているのに、「リモートワークをしよう!」となった途端に急に尻込みする人が多い印象ですが、かなりもったいないと思います。

以下、これまでの体験談をお話してみたいと思います。

始まりは週一のオンライン会議のみだった

私が初めてリモートワークをすることになる 株式会社 aba に入社したときのことです。

週一のオンライン会議がありました。目的の一つに、ソフトウェア開発状況の進捗報告がありました。

私は定例会議が基本的に好きでないし、普段からのコミュニケーションで理解できる内容を週一でわざわざ改まって報告を受けずともよいという考えだったので、この定例会議は無くしました。
週一でドカッとコミットを受けるよりも、毎日チビチビとコミットを受けたかったのです。これは行動管理ではなく、日単位での成果管理だと捉えています。

それまでは、リモートワーカーとのチャットでのコミュニケーション自体が、開発も雑談も、現在と比べて断然少なかったですが、結果的にチャットでのコミュニケーション量は現在もぐんぐん増え続けています。(ううんもっと増やしたいとも思っています(笑))

オンライン会議(テレビ電話)の常時接続を試してみた

週一のオンライン会議が無くなるのなら、テレビ電話を常時接続をしようということになりました。狙いは、いつでも互いに声を掛けられるようにするためと、オフィス側のやり取りがリモートワーカー側にも聞こえるようにし情報共有できるようにするためでした。

しかし、今になって思えば、リモートワーク初心者がゆえの悪手だったなぁと思います(笑)

リモートワーカー側の立場になって考えてみると、その理由はすぐにわかります。
リモートワークをしたい都合は人によって様々であり、その仕事環境も様々です。自宅に仕事専用部屋がなく家族が同じ部屋や近くにいる人、カフェのほうが集中できる人 …などなど。
リモートワーカー側からすれば、自宅にいる場合にマイクもカメラも常時オンにするのは厳しいときもあります。カフェにいる場合に常時スピーカーやイヤホンでオフィスの声に耳を傾けるなんていうのも無理がある話です。オフィスの常識、固定観念を押し付けすぎた発想だったなと思います。

オフィス 対 個人での常時接続は現実的ではないと学んだ出来事でした。
(ただ、オフィス 対 オフィスの常時接続は、将来に拠点が増えたら試してみたいなとは思っています。効果がある確信はありませんが、興味本位で)

これが、オフィス(オフライン)の常識をリモートワーク(オンライン)に持ち込まないほうがよいというよい例の一つです。

行動管理は諦めて、信頼したほうがよい

前項の体験を踏まえて、コミュニケーションは基本的にチャットになりました。ただ、オフィスでと違ってスルッとはコミュニケーションが始まらず、意識して"話しかける”ということをする必要があります。そのコツはこちらの記事で。

これに慣れて、あとはリモートの向こう側の一人前以上のメンバーたちを信頼して、コントロールしようとしすぎないことが肝心だと考えます。
信頼する。任せる。託す。

リモートワーカーの情報格差を受容するか、オンラインコミュニケーションに振り切るか

リモートワーカーが社内において情報弱者にならないようにするためには、社内の全てのコミュニケーションをオンライン上でする必要があります。

私たちの場合ですが、ソフトウェア開発チームのみがリモートワークを習慣レベルで導入しています。それ以外の部署の人たちは出社してオフィスで仕事をしていますから、仕事上の業務連絡や雑談等のコミュニケーションは、口頭会話のみになりがちです。これだとリモートワーカー側は社内における情報弱者になってしまいます。

・情報格差が起こるということを割り切って受け容れるか、
・全員のコミュニケーションをオンライン側に振り切るか、
のどちらかかなと考えています。

現在は、情報格差を受容するほうに倒しています。情報の差に気付き次第、適宜補足するということです。
オンライン上でのコミュニケーションを全社員で習慣化するのはかなりハードルが高いです。コミュニケーションをオンラインに振り切る恩恵よりも手間のほうが大きいからだと思います。ハードウェア(つまり"物理”が絡む)開発プロジェクトや営業に関するコミュニケーションなんかは、オンラインで進めるよりも、オフィスで直接やったほうが早いことのほうが断然多いですから。

まとめ

今回の記事では特段伝えたいポイントがあるわけではなく、リモートワーク試行錯誤の体験談について書いてみました。

リモートワークをするなら、オフィスの常識をリモートワークに持ち込まないこと。これに尽きると思います。持ち込んでしまうと、却って効率が落ち、せっかくの恩恵を全く享受することなくリモートワーク自体を負担に感じイヤになってしまいます。

次は、リモートワークで受けられる恩恵についてまとめてみたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?