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残念ながら、人生は「配られたカード」で勝負するしかない

世間を見渡すと、やれ英語だやれプログラミングだと、誰もが異口同音に意識の高いことをつぶやいています。「キャリアはかけ算する時代です」「スキルがないと生き残れません」—— そんな言葉を、一度ならず耳にしたことがあるのではないでしょうか。

これらの強気な言葉に煽られ、自分のこれからを不安視している人が少なくありません。その不安から、慌てて英語の参考書を手に取ったり、プログラミングスクールに駆け込んだりしている人もいるでしょう。

とにかくスキルを身につけようとしたり、苦手なことを克服してゼネラリストを目指したり、とにかく盲目的な努力をしている人がたくさんいます。

でも正直言って、汎用性が高いスキルを、一定以上のレベルでいくつも持っていることを強みにするなんて、普通の人には難しいです(とても頭のいい一握りの人は話が別ですが……)。

だからこそ僕は、むしろ、「あなたはあなたのままでいい」と伝えたい。

……というか、「無理に変わろうとしても、変われない。あなたは、別人にはなれない」という事実を伝えたいと思っています。

「できないことはできない」と諦める

僕が人生で最初にした仕事は、コンビニのレジ打ちです。当時は未熟だったので、コンビニの業務は「簡単な仕事」だと思っていて、「とりあえず生活費を稼ごう」と何の気なしにアルバイトをはじめました。

ただ、想像していた「簡単な仕事」は、僕にとって鬼門でした。レジ打ちした商品を綺麗に袋に詰め、次のお客さんはお弁当を温め、お弁当を温めている間に集荷を依頼される……。

コンビニのレジ業務は、“マルチタスクの権化”ともいえる仕事だったんです。僕にはこれらの仕事が全くできず、先輩社員に「お前ほど仕事ができない人間は、見たことがない」とまで言われてしまいました。

すごいスピードでレジ業務をさばくおばちゃんの横で、クビを宣告される19歳の僕。「簡単な仕事だ」と思っていただけに、相当ショックを受けました。

次に働いたのは、コーヒー一杯1,000円の高級カフェです。プライドが高かったので、「薄利多売で、大量に人を捌くビジネスモデルが向いていないのだ」と自己肯定し、「コンビニよりも単価が高い仕事なら、自分にもできる」と言い訳をしてはじめた仕事でした。

……しかし、そのカフェでも、全く同じことを言われてしまったんです。「お前ほど仕事ができない人間は、見たことがない」。同じく数ヶ月でクビになりました。

人間関係を拗らせて大学に行っていなっかたこともあり、人と交流する唯一の場所だったアルバイトを失い、数ヶ月間の引きもり生活に突入。布団から出ることもなく、四六時中iPhoneを眺めていました。

友達はいないし、アルバイトすらろくにできない。「田舎からわざわざ上京してきたのに、所沢のアパートで、俺は一人で何をやってるんだろう」と、ただただ悲しみに暮れていました。

「たかだかがバイトをクビになっただけ」と思うかもしれませんが、学校での人間関係も上手くいってないし、その上「誰にでもできる」とナメていた仕事でクビになったショックは計り知れません。

しかしそんなとき、眺め続けていたiPhoneの画面で、スヌーピーの名言を目にしました。

「配られたカードで勝負するっきゃないのさ…それがどういう意味であれ」。

偶然目にした言葉でしたが、ハッとしました。友達はいないし、バイトもクビになる。でも、その原因をつくっている特性こそが自分なんだと受け入れられたんです。

正確に表現すると、受け入れるしかなかった。でもその瞬間に、腹をくくることができた。もう「できないことは、できない」と諦め、自分の思考の癖や強みと弱みを把握して、得意なことを強みにして生きていける場所を見つけようと決めたんです。

僕にとってはその選択が起業であり、現在のキャリアに至る最初のきっかけになっています。

苦手を克服するより得意を伸ばした方が“お得な”理由

経営者人生が苦労の連続で、成功よりも失敗の方がはるかに多いのですが、それでもVAZは業界No.2のポジションまで登りつめることができました(もちろん会社規模としても、実績としてもまだまだです)。コンビニのアルバイトはできませんでしたが、経営は少しだけ得意だったのかもしれません。

この経験を通じ、「無理やり変わろうとしても、変われない」と、人生にいい意味で諦めがつくようになりました。スヌーピーの名言よろしく、「配られたカードで勝負するっきゃない」ことを身を以て実感したからです。

それまでずっと思っていた、「努力すればコンプレックスがすべて解消され、別人に生まれ変われる」という考えは、的外れな勘違いでした。努力で補えることもありますが、生まれながらの才能の有無は、無視できません。

たとえば、スピーチが苦手な人が努力しても、多少なりとも改善するかもしれませんが、もともと話すのが上手で、人前に出るのが好きな人には敵いませんよね。でも別に、みんながみんな話上手になる必要はないのです。むしろ、苦手なのにもかかわらず、コンプレックスを抱えて改善に労力をかけ過ぎていると、生存戦略としてはあまりに効率が悪い。

人は生まれながらに特性があり、その特性を努力で変えることはできません。だから、誰かになろうとする努力は、いってしまえば不毛なわけです。「周りの人はみんなできている」という声に惑わされる必要もないし、「自分だけができていない」なんて不安を持つ必要も一切ない。むしろ、苦手の克服ばかりに汗をかくのではなく、得意を伸ばすことにもっと時間を割くべきです。

得意と苦手は常に表裏一体のギフト

「苦手を克服するより、得意を伸ばす」という基本方針は、プロデュースやマネジメントにも活かされています。

たとえば、弊社所属のねおです。彼女は中高生に絶大な人気を誇るSNS・MixChannelから発信をスタートし、現在はYouTubeの発信はもちろん、TwitterやInstagramなどあらゆるSNSを駆使しています。さらにはアーティストとしてもデビューするなど、活動域を絞らずあらゆるステージで活躍中です。

タレントには歌やダンス、もしくは演技で一点突破する人も少なくないなかで、ねおはなぜ、活動域を限定しないのか。——それが「自分が最も活躍できるスタイル」だと認識しているからです。

歌やダンスだけをしていても、当然有名になっていたと思います。でも、自分が最も活躍できるスタイルを見出したからこそ、“SNS総フォロワー480万人超え”という爆発的な人気を誇っているんです。

また、「苦手の克服ではなく得意を伸ばす」という意味でいうと、僕の発信をサポートしてくれているライターのオバラさんが分かりやすい。彼はタスクのマネジメントが苦手で、度々納期を破るし、ミーティングの予定を忘れてしまうこともあります(笑)。

でも僕は、それを責めないし、改善することも要求しません。なぜなら、僕が彼を頼っている理由が「納期を守る」ではないからです。

彼はライターとして、完成度の高い記事を毎回納品してくれます。僕が思っていることを、的確に言葉にしてくれる。僕はその能力を信じいて、頼りにしています。

僕の理解として、オバラさんは「納期が守れないやつ」なのではなく、「タスクのマネジメントが苦手なことと引き換えに、ライターとしての技術をギフトとして手にしている」のです。

その能力に頼っているのだから、交換条件の「タスクのマネジメントが苦手なこと」を否定するのはナンセンス。納期を守ることが最優先に置かれる仕事に、オバラさんをアサインする方が間違っています(笑)。

完璧な人間など、いません。英語もプログラミングもできて、タスクのマネジメントができて、さらに運動神経のいい人に出会ったとしても、そんなのごくごく一部の天才です。

その前提を理解すれば、苦手なことを克服させようとするのが、マネジメントして愚かだということも分かります。だって、苦手を補い合い、得意を発揮するために組織が存在するのですから(少なくとも僕の会社はそうです)。

あなたはあなたのままでいい

こういう話をすると、「苦手なことは全部やめちゃえ!」みたいな極論で話をする人がいます。「努力は無駄なんですか?」ということも聞こえてきそうですが、努力することを否定しているわけでもありません。人生において、できる限りの努力をして乗り越えなければいけないシーンはいくつもあります。

僕が伝えたいのは、「苦手なことを無理して改善しようとしても、普通以上にできるようにはなれないから、得意なことで活躍したほうがハッピー」ということです。

もちろん、苦手なことが多いのが嫌で、苦手が減ることがハッピーなのであれば、そうすればいいと思います。でも、それができたところで「普通」なだけです。

あなたはきっと、「普通」と引き換えに、「相対的に得意なこと」もしくは「人にはない特別な何か」を得ていますから、できないことがあっても安心してください。そして、それで勝負すれば、人生を十分に楽しめます。

だから、あなたはあなたのままで、それを探す努力とそれに懸ける勇気を持てばいいのです。

編集協力:オバラ ミツフミ(モメンタム・ホース)
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エンターテイメントとインフルエンサーマーケティングの未来を創る株式会社VAZ代表取締役社長。アジアを代表する30歳以下のリーダー「Forbes Asia Under30」Media, Marketing & Advertising 部門選出。
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