合コン行ったら彼女がいた話

むかーしむかし。僕が20歳くらいのとき。


僕には2つ年上の彼女がいた。
彼女はすでに働いていて、僕はまだ学生だった。


ある日のデート中、彼女が深刻な顔でこう言った。

『あのね、いつもお世話になってる友達から来週合コンに誘われてて、、、人数足りないからどうしてもって、、、断れそうにないんだけど、、、行ってもいい、、?』


とのこと。
僕は僕でその日は卒業して就職した先輩から合コンに誘われていたがそのことは言わずに


『わかった。しょうがないね。変な男に引っかかんなよ?』

とか。
訳分からんこと言って。


さてさて合コン当日。


先輩と駅で合流する。
男子チームは僕と先輩、あと先輩の職場の同僚の3名。


聞くところによると女性陣は7名おり、すでに予約した居酒屋で待っているとのこと。


ウキウキドキドキ。


居酒屋の襖を開けたときの光景はいまだに忘れない。


今でも思い出す時はなぜかスローモーションである。


襖の隙間からこちらを向いた女性陣の姿が奥から一人ずつ僕の目に飛び込んでくる。


1人目、、普通。

2人目、、今回はハズレか?

3人目、、ん?

4人目、、普通。

5人目、、いやちょっと待て。


3人目ぇーー!!!!


二度見どころではない。

こんなことがこの世にあっていいものか。


天変地異。

青天の霹靂。

温故知新、、いやこれは違う。


とにかく奥から3番目の席には僕の彼女が座っていたのである。


『合コンに』である。

『実の彼女が』である。


さてここからどうしたものか。

僕はすぐさま彼女の顔色を伺った。


一瞬驚いた顔を見せたものの、彼女はすぐに笑顔を作った。


その瞬間僕は悟った。


『あぁ、言うなってか、、』


無常にも地獄の合コンは始まってしまった。


しかも最悪なことに僕の席は彼女の目の前になってしまった。


自己紹介を一人ずつしていく。

時折視線の槍は大谷翔平の直球を遥かに越えるスピードで飛んでくる。

その瞳はこう言っているのだ。
言葉にするよりはっきりと伝わってくる。


『なんでお前がここにおるんじゃ!私はちゃんと事前に言ったよな!?なぁ!?おぉ!?』


返す言葉もない。

元より僕の瞳は大谷に匹敵するフィジカルは持ち合わせていない。


冷や汗をかきながら力無く作り笑いを浮かべる以外に僕にできることはなかった。


自己紹介タイムが終わり料理が運ばれてくる。

目の前の彼女がサラダを笑顔で取り分けてくれる。


『はい!○○くん!』


名字である、、。いつもはもちろん名前で呼ぶ。


いちいち一挙手一投足に恐怖を上乗せしてくる。


そして気づいたことがある。


彼女は先週会った時から髪を染め直している。


メイクもいつもと違う。


そしてそもそも女性陣は男3人に対して7人もいる。人数など1人減ったところで倍から間に合っている。


一方的に怒られる理由もないのだ。


1次会が終わって2次会はカラオケだったが事が事だけに辞退することにした。


彼女も辞退したようだった。


みんなと別れて、数秒後に彼女からメール


『楽しかったね♪』


正気ですか?


詳細は省くが僕がこの後彼女と合流して『合コンお持ち帰りプレイ』をしたことは言うまでもない。


どんなオチやねん。

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